第18回(令和8年)受賞者
前年中に刊行された短歌・俳句に関する文芸作品の中から最も優れたものを顕彰する小野市詩歌文学賞の受賞者が決定しました。
短歌部門
桑原(くわはら) 正紀(まさき)
『麦熟(むぎう)るるころ』
受賞理由:永田 和宏
脳動脈瘤破裂によって倒れた妻を、二十年の長きにわたって介護し続けてきたのが、桑原正紀である。その妻との最後の別れの歌を含む、本歌集『麦熟るるころ』では、妻への視線がいよいよ透明になり、最後まで一緒にいてくれた妻への感謝の思いさえ感じられるものとなった。桑原によって介護の歌というジャンルが開かれたと言っても過言ではないが、本歌集はその一つの到達点を示すものでもある。
受賞コメント
敬愛する上田三四二氏ゆかりの第十八回小野市詩歌文学賞をいただきましたこと、まことにありがたく、選考委員また推薦くださった皆様方に心より御礼申し上げます。私は宮柊二を師として短歌を始めましたが、他の方々の作品を学ぶにつれて、かなり早い時期から上田氏の歌にも強く惹かれるようになりました。深い苦悩を詠みながらそれに光を添わせる心のありよう、また、「短歌は日本語の底荷」という捉え方のつつましさ等、歌の作り方や考え方の上で大きな示唆をいただきました。そんな上田氏にも誉めていただいたようで、この度の受賞は大きな励みとなりました。改めて感謝申し上げます。
俳句部門
大木(おおき) あまり
『山猫座(やまねこざ)』
受賞理由:高野 ムツオ
宿痾(しゅくあ)に加えコロナ禍の閉塞感や憂鬱と抗いながら、瑞々しい感受世界へ言葉を軽やかに解き放った句集。しなやかで強靭な詩魂(しこん)の成果。
受賞コメント
第十八回小野市詩歌文学賞をいただくことになりありがとうございます。選考委員の先生方、また主催者の方々に心より感謝を申し上げます。角川源義に俳句の指導を受け、源義師が亡くなったとき俳句をやめようと思いました。しかし、今日まで俳句を続けてこられたのは、すぐれた俳句の先輩や友達のお陰です。表現者は栄光から遠い場所でつつましく仕事をする者、と思い俳句を続けてきました。これからも、ささやかなものに目を向け、自然の中で生きることの喜びや悲しみを詠んでいきたいと思います。
更新日:2026年03月13日