第17回(令和7年)受賞者
前年中に刊行された短歌・俳句に関する文芸作品の中から最も優れたものを顕彰する小野市詩歌文学賞の受賞者が決定しました。
短歌部門
黒木(くろき)三千代(みちよ)
『草(くさ)の譜(ふ)』
受賞理由:小島 ゆかり
ベテラン歌人の30年ぶりの歌集にして、圧巻の一冊。昭和前期の子供時代の回想、社会への切込み、心理の陰影など、幅広く類想のない独特の世界である。
受賞コメント
第17回小野市詩歌文学賞を賜りありがとうございます。選考委員の先生方、また主催者の方々に心よりの感謝を申し上げます。
上田三四二は歌集『照径』のあとがきに「もと、心そのものであるべき詩歌の言葉は、それゆえに、かえって、決断して物の上に降りて行かねばならない。写実とはそういうことだ。」と書いています。この口吻に、本来の資質を矯めようとした努力を読むのは誤りでしょうか。
私は理論も持たず歌を作ってきました。分かっていることは、言葉に任せなければいい歌にはならないということです。私などがどう考えたところで大したことはなく、言葉が自ずから動いて言葉を呼び出してくれるまで、待つほかはありません。
俳句部門
中村(なかむら) 和弘(かずひろ)
『荊棘(おどろ)』
受賞理由:高野 ムツオ
無機質なもの、見捨てられるもの、恐ろしげなもの、およそ俳句と縁遠いものに命の息吹を与える。俳句のハードボイルドというべき独自独歩の世界である。
受賞コメント
第17回小野市詩歌文学賞をいただくことになり、まことに光栄です。
私の俳句の師である田川飛旅子は、21歳(昭和10年)一高在学の時期、短歌を志しており、「アララギ」の土屋文明先生の添削を仰ぎ、その後「アララギ」の編集を手伝ったりしており、上田三四二とは短歌では同門・同じ師系ということになります。その後「寒雷」(加藤楸邨主宰)発行とともに入会し、俳句に転じましたが、生涯「アララギ」に親しみを持っていたようです。
そんな縁もあり、私のこの度の受賞、師である田川飛旅子が誰よりも喜んでくれていると思います。この受賞を励みとして、更に『荊棘』の先を、と思います。選考委員の先生方に心より感謝しております。
更新日:2025年03月14日