第15回(令和5年)受賞者

更新日:2023年04月15日

前年中に刊行された短歌・俳句に関する文芸作品の中から最も優れたものを顕彰する小野市詩歌文学賞の受賞者が決定しました。

短歌部門

大辻隆弘先生の写真

大辻※(おおつじ) 隆弘(たかひろ)

※辻は一点しんにょう

『樟の窓』の本の写真

『樟の窓(くすのきのまど)』

受賞理由:永田 和宏

歌壇の時流や流行に流されることなく、歌の持つ本質的な良さは何かを常に考え、着実に実力を蓄えてきたのが大辻隆弘である。助詞一つに注目することによって歌の読みがどれほど違ってくるかについても、詳細な検討をも行ってきた本格派。その本格派が毎日一首をインターネットを通じて公開するという短歌日記に挑戦したのが、本歌集『樟の窓』である。師・岡井隆への思慕を含めて、樟の窓辺には、静かで爽やかな風と時間が流れている。

受賞コメント

このたびは第15回小野市詩歌文学賞を賜り誠にありがとうございます。ご推挙いただいた選考委員の方々に深く御礼申し上げます。
上田三四二は、私の親愛の歌人です、彼の歌には特有の甘やかさがあります。佐藤佐太郎ばりの厳しい写実にあこがれながら、その隙間から彼本来の叙情が抑えがたい形で滲み出る。そんな彼の歌に深い共感と、かすかな近親憎悪に似た思いを抱き続けています。
賞をいただいた『樟の窓』は、2021年の短歌による日記です。1日1首の歌を詠み続けながら、私は徐々に歌を作る楽しみの中に入り込んでゆきました。歌を作り始めてから40年、私にとって歌は私の全てとなりつつあります。本当にありがとうございました。

俳句部門

小川軽舟先生の写真

小川(おがわ) 軽舟(けいしゅう)

『無辺』の本の写真

『無辺(むへん)』

受賞理由:宇多 喜代子

日常の中の様々な出来事その他を、分かりやすい言葉で句にしている句集。はじめから終わりまで読んで、親しみを非常に感じさせるものでした。

受賞コメント

小野市詩歌文学賞をいただき、身に余る光栄に存じます。選考委員の皆さま、主催者の皆さまに心より感謝申し上げます。
俳人とサラリーマンの掛け持ちを続ける私は、ここ十年余り、関西に単身赴任しています。歴史と文化が奥深く刻まれた風景に惹かれて各地を巡りました。小野市の浄土寺も印象深いものの一つです。句集『無辺』も関西の地から多くのものを得ました。
西村和子さんがこの賞を受賞された平成二十八年の授賞式に私も参加し、その時の蓬莱市長をはじめとする小野市の皆さまの詩歌振興に対する熱意に感動しました。そしてこの度は私自身が受賞者として再訪できますことを、夢のようにうれしく思います。