2010年1月~3月分のバックナンバー

更新日:2022年02月11日

2010年3月31日(水曜日)

新年度の方針は、市民満足度志向の進化と深化に向けた「更なるMM(見えるマネジメント)の実践」

明日から新しい年度が始まります。「変えよう小野、変わろう小野市」というスローガンを掲げ市長に就任して、早や12年目を迎えました。昨年は、国内外において政権のチェンジがありました。国も変わらなければならないし、地方行政もまた変えていかねばならない。と同時に国民、市民自らの意識改革も求められております。これらの大きな流れは、市長就任時に掲げたスローガンと同じであり、その方向性は決して間違っていなかったと改めて決意を新たにしたところであります。

市長就任以来、「市役所は市内最大のサービス産業の拠点」と位置付け、「行政も経営」であり、「より高度で、より高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を追及し、まさに「ゼロベースの発想でチャレンジする」という一貫した理念で、「顧客満足度志向」「成果主義」「オンリーワン」「後手から先手管理」という「行政経営4つの柱」を基軸に行政運営を進めてまいりました。

その経営の管理手法は、「小野市型方針管理制度(TQC)」であります。市長方針を頂点とし、それを実現するために部長、課長、係長へブレイクダウンして具体的方針をたて、PDCAのマネジメントサイクルを展開して、「結果とプロセス」を評価し、改善を進めながら組織全体として市長方針の達成を目指すというシステムです。それらは、「方針実行書」と「方針管理体系表」にまとめられ、進捗管理が展開されています。

年度初め、真っ先に、市長自ら市の方針を示します。いわばその年度の経営方針であります。その市の方針を達成するために、それぞれのセクションにおいて、部長は何時までに何をどうするのか、その部長方針を達成するために課長はどうするのか、組織内でしっかりと議論をしながら、目標を自ら考え、ひとつ一つ実行していきます。大切なことは、職員全員が絶えず目的意識を持ち、「目標設定」と「管理項目」を明確にすることであります。

平成21年度の小野市の方針は、「『見えるマネジメント』~MMの実践~」でありました。将来の地域医療のモデルとなる三木市との統合病院、北播磨総合医療センターの建設へ向けた取り組みが、見える形として動き出しましたし、総事業費60億円をかけた学校整備計画も着実に進め、全ての学校の耐震補強工事を終えて、小野中学校の建て替え工事に取りかかっております。

安全安心パトロールの拡充により、市内の犯罪発生件数は、パトロール開始前の半分に減らすことができました。県下で唯一、中学3年生までの医療費の所得制限なしの完全無料化も実施し、今後も継続致します。最新システムを採用した船木浄水場が完成し、より安全でおいしい水道水を供給しております。

一方、財政面では、預金にあたる基金残高は69億円を確保し、地方債、いわゆる借金の残高は、目標である140億円を下回る139億円となる見込みであります。また、実質的な借金返済の割合を示す実質公債費比率は、許可が必要とされる18%を大きく下回り、前年度の14.2%からさらに改善して13.7%を見込んでおります。

また、全国全ての自治体に公表が義務づけられた「財政健全化判断基準(4指標)及び資金不足比率」は、いずれも高い安全水準を保っており、中でも、将来支払うべき借金等の負担割合を示す「将来負担比率」は県下29市中第1位で、唯一10%以下という健全性を維持することができました。

さて、新年度、平成22年度の方針は、「市民満足度志向の進化と深化に向けた『更なるMM(見えるマネジメント)の実践』」であります。超少子高齢社会の到来や長引く大不況の中で、我が国では「自分の子どもが安心して食べてゆくことさえできれば」という若者の言葉に代表されるように、もはや将来に希望が見いだせない、未来の夢が描けないという状況に陥ってしまっております。

行政の使命は、何といっても「『市民=顧客』と捉えた顧客満足度志向(CS志向)の徹底」であります。このような時だからこそ原点に立ち返り、「サービス産業の拠点」として、「市民満足度志向」を更に向上させ、更に深く掘り下げ(深化)、市民に見える形でその成果を示すことが何より重要だと考えております。

社会経済環境は、かつてないほどのスピードで変化し続けております。それとともに我々地方自治体も進化し続けなければなりません。市民の皆様が、「住んで良かったまち小野」を実感していただくため、「更なる飛躍と変革」に向け、ポジティブシンキングでチャレンジし続けてまいる所存であります。

平成22年度の市長方針について書かれた画像

2010年3月24日(水曜日)

住民主体の地域づくり

小野市では、市内6地区のコミュニティセンターを拠点とし、地域住民主体の新しい地域づくりを推進するため、平成16年度に「地域づくり協議会」を発足しました。各地域での活動は年々活発になってきており、年間の各活動への延べ参加人数も当初のおよそ4倍となる約11万人が参加されています。そのような中、先日、毎年恒例となった地域づくり協議会の実践発表が行われました。

パワーポイント等を用いてプレゼンテーションを行っている地域づくり協議会の写真

発表は、各地区協議会の代表者の方がパワーポイント等を用いたプレゼン形式で活動内容を紹介されました。各地域づくり協議会では、地域の特色を活かした祭りをはじめ、文化祭やスポーツ大会、駅や公園を花で飾る花いっぱい運動、防犯パトロール、広報誌の発行など、地域独自の様々な取り組みが行われています。

また、各協議会の理念や方針がしっかり出来ており、目的を達成するための計画を立てて実施し活動の検証を行うなど、PDCAのマネジメントサイクルに基づいて活動が展開されています。このような地域づくり協議会の自主的な取組は他市では見られない素晴らしい活動であります。

ところで、地域活性化には、「ことおこし」「ものおこし」それらを支える「ひとおこし」が必要不可欠です。それぞれの地域資源の掘り起こしを行い、地域のよさや特色を見つけ、独自性を出していくことに加えて、いかにして若い人や転入された人などを活動に巻き込んでいくかということも重要であります。

昨年、下東条地区の未来を考える会から「下東条地区まちづくり活性化計画」の提言書が提出されました。20年、30年先の地域のあり方を地域自らが考え、2年をかけて策定されたものです。既にこの計画に基づきコミセン周辺整備をはじめており、来年度の予算にも反映し市として支援してまいります。この取組は、地域づくり協議会の発展的な活動であると共に、今後、市の施策展開のあり方も行政主導から市民主導へと変えていくものと思っています。

市長への手紙で「小野は良いまちに変わってきた」とのお便りを頂きますが、それは「市民が変わってきた」ということだと思っています。市民の意識改革が地域を変え、そして小野市全体を変えていきます。この地域づくり協議会を起点に住民主体のまちづくりが進み、ますます小野市が元気になることを期待しています。

2010年3月17日(水曜日)

10年先のビジョンを描く

地方自治体では地方自治法に基づき総合計画を策定し、その計画に従って行政運営を進めています。今の総合計画は、10ヵ年を見越して平成11年に作成したものですので、現在、次の計画の策定を進めているところです。

総合計画というのは、自治体が行っている全ての事業の基本となる計画のことで、市が目指すべきまちづくりの将来像や基本理念を示す「基本構想」と、その基本構想で示された将来像を実現するための施策を定めた「基本計画」から成り立っています。中でもその基本構想は、議会の議決を受けなければなりません。

策定に当たっては、市の目指すべき方向性を市民の方々と共有するために、「小野市基本構想審議会」を設置し、区長会や農会長会、民生児童委員、老人クラブ、PTA、女性団体の代表者など、市内の各界各層から30名もの方々に参画いただいております。また、市民アンケートやパブリックコメント等により幅広く市民の意見も取り入れながら、これまでの取組の検証とともに今後のまちづくりの課題や対応などを協議してまいります。

しかしながら、10年一昔といわれますが、最近の社会経済情勢は、ドックイヤーどころか、マウスイヤーであります。超少子高齢社会、地球規模の急速なグローバル化、超情報化社会の到来、めまぐるしく変わる経済情勢、財政状況の悪化など、10年はおろか、1年先を見通せない状況であります。

新政権で、地域主権という言葉が強調されていますが、これからの自治体は、まさに自らの責任において、自己決定、自己実現の時代に入ってきたわけであります。そのような中で重要なことは、「今まではこうであったという前例を踏襲することなかれ、かくあらねばならんという固定観念にとらわれることなかれ」、「画一的横並びの仲良しクラブから脱却」し、小野市の持ち味を追求することだと確信しています。

このような時代だからこそ、常にゼロベースの発想で、悲観的ではなく前向きに、小野市の将来について大いに夢を語っていただきたい。計画を策定することも大事ですが、そのようなポジティブな意見を交わしていただくことが将来につながるものと思っております。

2010年3月10日(水曜日)

地域福祉を支える力

先週の土曜日、民生児童委員、主任児童委員、民生児童委員協力委員の合同研修会が行われました。このような研修会は年に何回か行われており、様々な福祉施策を学んだり、お互いの情報交換や連携強化に努められています。

小野市には、民生児童委員さんが99名、主任児童委員さん7名、民生児童協力委員さんが198名おられ、それぞれの地域で高齢者、障害のある人、子育て世代の方々などの福祉に関する幅広い相談にのり、必要に応じて行政機関とも連携をとり、福祉サービスの利用についてアドバイスを行っておられます。

また、地域の子どもの健全育成のため、小学校のアフタースクールで児童に勉強や遊びを教えたり、子どもの登下校時の見守り活動を行ったり、更には1人暮らしの高齢者宅へ定期的に訪問したり、生活保護世帯や要支援世帯の実態把握をされるなど、地域住民一人ひとりを見守る大変重要な役割を担っておられます。

特に、一昨年の原油高騰時には、小野市では市独自に低所得世帯へ年末年始の暖房費として「特別生活支援金」を支給しましたが、その支援金を配っていただいたり、昨年の「定額給付金」では、病気や介護などで申請が困難な世帯に対して申請のサポートをしていただくなど、民生委員さんの協力なくしては実施できなかった福祉施策もありました。また、災害時には要援護者の支援者として、地域住民の生命も守っていただいています。

先週の研修では、財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構の村上寿来先生にご講演いただきましたが、その先生の研究によると、民生委員さんの活動が活発なところは、1人暮らしの老人の要支援認定率が低い傾向にあり、先生の調査から、小野市は県下29市中1番低い結果となっております。これは、小野市の民生委員さんの活動がいかに熱心に行われているかがまさに見える成果として表れたものと考えます。

独居高齢者一人当たりの民生委員訪問回数と要支援認定率の散布図

近年の目まぐるしく変化する社会情勢の中で、地域において各委員の果たすべき役割はますます多様になっており、その取り組みは地域福祉の充実に必要不可欠なものとなっています。日頃の活動に感謝するとともに、より一層の活躍をご期待しているところであります。

2010年3月3日(水曜日)

より安全・安心・おいしい水へ!~船木浄水場リニューアル~

先週の24日、春のような穏やかな天気のもと、保育園児たちの元気いっぱいの演奏とともに、船木浄水場の竣工式典を行いました。

保育園児たちが風船をリリースし、船木浄水場の竣工を祝っている写真

船木浄水場は、1日当たり約9500立方メートルの水を主に市街地等へ供給する、小野市の水需要の実に3分の1強を担う市内最大の施設です。小野市は、市民の皆様に更に安全で安心して飲める水道水を供給するため、平成19年度から3か年計画で総事業費16億7000万円を投じて整備いたしました。

クリプトスポリジウム等の病原生物を取り除く膜ろ過施設の写真

当日は見学会も行い、多くの方に新しい施設をご覧頂きましたが、新システムとして採用した「膜ろ過装置」に注目が集まりました。「膜ろ過処理」は、約1万分の1ミリの孔のある膜を通過させてろ過するもので、下痢などを引き起こすクリプトスポリジウム等の病原生物を完全に取り除き、原水の水質悪化にも対応できるものとなっており、より安全で安心な水を供給することが出来ます。参加された皆さんには、水道水を詰めたペットボトル水「安心して おのみーず」をプレゼントするなどして、小野市の水道事業について知っていただきました。

その他の特徴として、原水から浄水への水処理においても自動運転が可能な施設として整備しており、中央監視装置による市内の各施設のポンプや装置を集中管理できるようになっております。これらの施設管理の自動化により、職員の減少等に伴う経費削減にも繋がっております。

一方、市内の他の水道施設においても水の安全性を高める整備を計画しており、来年度は市場水源地で紫外線処理化による浄化方法に着手し、その後、河合水源地においても同様に整備していく予定であります。また、配水池の耐震化にも順次取りかかっていきます。

このように積極的に事業を推進して参りますが、こういう厳しい経済情勢の中で料金改定は考えておりません。水道施設の整備においては、建設改良積立金や内部留保資金を利用して計画的に進めており、健全財政を持続しかつ上下水道料金は北播磨の中で一番低い料金を維持しているところでもあります。

水は生命の源であり、市民の日常生活には欠くことのできない貴重な資源であります。市民の安全・安心を担う水道事業の管理者としてその責任を痛感し、投資費用は惜しむことなく、「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を基本理念として、今後も水道事業に取り組んでまいりたいと考えております。

2010年2月24日(水曜日)

厳しい経済情勢のもと2年連続の「積極型予算」~平成22年度予算案~

平成22年度当初予算案がまとまりました。大変厳しい経済情勢の下、一般会計は、2年連続増となる184億円、平成21年度の小野中学校の新築などの前倒し分を含めると、実質対前年比7.4%増の195億円となる積極型予算としました。

景気低迷が続く中、当市も税収の減少により財政も厳しさを増すことが予想されますが、基金を取り崩しても、市民の目線に立ってやるべきことはやるという方針のもと、安全安心、子育て支援、教育、環境、地域の活性化の5つの柱を重点に、約50件にも及ぶ新規事業を含め、市民の暮らしを優先した事業を展開してまいります。

まず、総事業費200億円の大プロジェクトとなる三木市との統合病院「北播磨総合医療センター」の建設に着手します。建設にかかる経費については小野市と三木市が半分ずつ負担し、平成22年度は実施設計、そして土地造成を進めてまいります。事業を推進する「北播磨総合医療センター企業団」の企業長として、地域住民のため、より高度でより質の高い医療サービスを将来にわたって提供できる地域医療の拠点づくりに取り組んでまいります。

また、安心して暮らせる地域社会の構築のため、福祉公社などの福祉組織の組織・業務を再編し、あわせて、その拠点となる現みやま荘を「小野市福祉総合支援センター」としてリニューアルいたします。そして、刑法犯罪認知件数が5年で半減するという見える成果があらわれた「安全安心パトロール」も継続して実施するなど、更なる安全・安心なまちづくりを進めます。

小野市では妊娠期から子育て期まで継続した子育て支援を行っており、県内唯一の中学3年生までの医療費完全無料化や妊婦健診14回分の助成に加え、新たに、「子ども手当」の支給(月額1万3000円)、特定不妊治療に対する年間10万円の助成、保育所の施設整備等の補助、そして、子育て世代からの声があった「子育てメール」の配信の開始など、子育て環境の更なる充実を図ってまいります。

また、豊かな人間性を育む教育環境を整備するため、平成21年から2ヵ年、約15億をかけて小野中学校の校舎・体育館の新築を行います。また、それに加え老朽化したプールのリニューアルも実施します。

その他、小野市の「色と香りのまちづくり」を全国発信する「全国ハーブサミット」の開催(5月29日、30日)や、5年間で約10億円をかけ生活道路等を舗装する「道路舗装整備5ヶ年計画」の着手、市街地の良好な住環境をつくるための黒川西土地区画整理事業等の大型事業の推進など、多様な事業展開により更なる市民サービスの向上を図ってまいります。

このように積極的な事業展開を進める一方で、預金にあたる基金残高は69億円を確保し、借金である地方債は6年連続減少となる139億円とし、財政上のガイドラインであります140億円を下回る見込みとなっております。また、財政健全化指標では、実質的な借金返済の割合を示す「実質公債費比率」は更に下げて、13.7%に、また、将来支払う借金等の負担割合を示す「将来負担比率」は8.5%と、昨年に引き続き県下29市中第1位となる見込みであります。

このように、健全財政を維持しながらも、近年にない厳しい経済情勢だからこそ、行政が積極的に、市民の皆さんが元気で安心して生活できる施策を進めてまいりたいと思っています。

2010年2月17日(水曜日)

元気な65歳、元気な小野市

小野市には2つの成人式があります。ひとつは、「二十歳の成人式」です。新成人自らの手で「新成人による新成人のための成人式」が行われています。年々進化し続ける二十歳の成人式は、昨年、「第9回成人式大賞2009」(主催:新成人研究会、後援:文部科学省)において、全国の応募の中から日本一となりました。

そして、もうひとつの成人式が、先週行いました65歳の第2の成人式「エイジ・ルネサンス・パーティ」であります。小野市では、65歳を迎えられた方に、これからの第2の人生が「生涯青春」の契機となり、また、「新たな人生の再出発」となることを願い、ここにしかないオンリーワン事業として実施しております。

きっかけは、ある番組で桂三枝さんが落語の復興(ルネサンス)のため「創作落語」に取り組まれたという話を聞いて、小野市でこのような事業を行いたいと直接お出会いしてお話しをさせていただいたことからです。三枝さんには快くその趣旨にご賛同いただき、以来、今年で10回目を迎えました。

もちろんこのパーティのメインは、桂三枝さんを迎えてのトークショー「サン・ステージ」です。「波乱万丈」や「新婚さんいらっしゃい」のような感じで笑いあり涙ありと、65歳を迎えた出演者の方々の体験を写真やエピソードを交えて語り合っていただきました。

スクリーンに写真を映し、トークショーを行っているエイジ・ルネサンス・パーティの写真

また、突然台本にないことですが、客席にいた出演者のお孫さんを三枝さんが呼び寄せて、膝に座らせてトークショーを進める場面もあったりして、会場の皆さんも巻き込んで、笑いが途切れることはありませんでした。そして、第6代目上方落語協会会長である三枝さんも昨年65歳を迎えられていますが、元気の秘訣は、やっぱりまず笑うことだそうです。笑うと憂さが晴れ、免疫力を高めたりする効果があります。

出演者の方のお話を聞く中で、近くに住んでいた人たちがこんな苦労をされていたのかということに驚いたり、改めてその人の人物像を再認識したりしました。65歳を迎えられたと言っても、人生まだまだこれからです。この第2の成人式を契機に豊かな経験と知識を活かし地域社会の主役として、ますます元気で活躍していただきたいと思っています。その市民力、地域力が、更なる「元気な小野市」を創っていくものと確信しております。

2010年2月10日(水曜日)

実際の体験から学ぶもの

児童たち作った「むらさきの舞」のおにぎりと野菜が入った味噌汁を試食している写真

先週の金曜日、市立大部小学校において、6年生が収穫した古代米の試食会に招かれました。児童たちが一生懸命に作った「むらさきの舞」という紫黒米のおにぎりと野菜がたっぷり入った味噌汁を、児童のみんなと一緒においしく頂きました。

大部小学校では、平成12年から総合的な学習の一環として、6年生児童が地元農家の田んぼを借りて古代米を栽培し始めて、今年で10年目をむかえます。地域の方々の指導を受けながら、苗箱への種まきから、裸足で田んぼに入っての田植え、鎌を使った稲刈り、脱穀、もみすり、精米まで全て児童が行っています。児童にとっては全てが初めての体験で、「稲刈りなど手作業でやっていた昔の人はすごいな」と話していました。

また、児童たちは古代米(紫黒米)の種類や生育、栄養素などについても調べ、パネルにまとめていました。紫黒米は、ミネラルや栄養分が豊富で紫黒の色素(アントシアニン)は、目の疲れや生活習慣病にも良いらしいので、私も大きなおにぎりを2個もいただきました。

こういった取り組みは、市内9つの小中学校においても実施しており、河合小学校や来住小学校では児童が栽培した作物を調理して収穫祭を行ったり、旭丘中学校ではハーブ茶を栽培したりしております。さまざまな体験学習を通して地域の人々とのふれあいの大切さを知り、また単なる料理教育ではなく、食文化の継承や食の安全、良好な食生活などの「食育」も推進していくことが子供たちの健全な成長につながるものと思っています。

しかしながら、このような教育が行えるのも地域の方々の協力があってこそであります。農家の方々は、体験のための圃場を快く提供していただき、作業のときには児童たちに熱心に指導され、また、児童がいないときには草引きなどの圃場管理にも気をつけられるなど、順調に成長していくように見えないところでご尽力いただいていることは言うまでもありません。

私が小、中学生のころには、家の稲刈り作業を手伝い、親からうるさく言われながら稲の刈り方など事細かく教わったことを今も覚えています。「経験は我が最良の教訓なり」。私の信条でありますけれども、やってみて初めてわかることがたくさんあります。子どもたちには、頭で考えるという「認識学」ではなく、「体験学」に学び、生きる力をどんどん身に付けていって欲しいものです。

2010年2月3日(水曜日)

「北播磨総合医療センター企業団」事務局を開設!

北播磨総合医療センター企業団の事務局開設を祝っている市長や関係者たちの写真

2月1日に三木市民病院にて、小野市と三木市の統合病院「北播磨総合医療センター企業団」の事務局開設式を行いました。この企業団は、小野市と三木市が病院事業を共同で行う一部事務組合であります。一般に病院や水道事業など地方公共団体が経営する企業を「地方公営企業」といいますが、その公営企業の経営に関する事務を共同処理する一部事務組合を「企業団」と呼びます。

企業団の管理者である企業長には小野市長、副企業長には三木市長が就任しました。また、一部事務組合は独立した地方公共団体ですので、県や市と同様に独立した議会もあります。議員は全部で10名であり、市議会議員の中から小野市5名、三木市5名の議員さんが選出されます。今後、その企業団の議会に諮りながら、統合病院の建設や病院運営の準備を進めていくことになります。

まずとりかかるのが、用地造成のための基本設計及び実施設計であります。先月には知事とも面談し、病院用地につきまして県のご支援もいただくこととなりました。来年には造成工事に着手する予定です。また、病院の玄関口となる国道175号の市場東交差点からの進入路(新都市中央線)の整備や下水道工事も行います。

そして、平成23年度の秋ごろからいよいよ企業団が新病院の建築工事にとりかかる見込みです。病院本体は、鉄筋コンクリート造の地上7階建でありますが、附属施設として院内保育所や医師・看護師の宿舎など、職員の働きやすい環境をつくったり、駐車場も十分確保するなど来院される方に利用しやすいようにいたします。

ところで、企業団としての新病院は、地方公営企業法の適用により、人事、予算面での迅速かつ効率的な経営を行うことができます。企業長は、経営に必要な全ての権限を掌握すると同時に経営責任を負うことになります。民間で言えば、社長であります。その責任の重さを痛感すると共に、地域住民のため「より高度で、より質の高い医療サービスを提供する」という使命を徹底して追求していかなければならないと感じているところです。

最近では、加古川市民病院と神鋼加古川病院の統合をはじめ、全国あちこちで病院統合の報道がなされております。もはや病院の統合は地域医療の存続のために避けて通れないものとなってきております。この神戸大学の提案によって実現する小野市と三木市の統合病院が、先駆的な取り組みとして全国的なモデル事業となるよう、平成25年10月のオープンを目指して進めてまいります。

2010年1月27日(水曜日)

安全安心な水を目指して

2階建ての白い建物の船木浄水場の外観の写真

船木浄水場の水が新しくなったのをご存知ですか。平成19年度から3か年計画で整備を進めてきた船木浄水場のろ過施設が昨年5月に完成し、新しい水を供給しています。新システム(膜ろ過処理)を採用し、厚生労働省の水質基準値やおいしい水の要件を共に満たすなど、「より安心・より安全なおいしい水」へ進化を遂げました。

船木浄水場は、昭和48年に開設して以来、1日当たり約7,500立方メートルの水を市街地等へ供給しており、小野市の水需要の実に3分の1を担っています。膜ろ過処理の特色は、約1万分の1ミリの孔のある膜を採用することで、下痢を引き起こすクリプトスポリジウムをはじめ、大腸菌、コレラ菌、インフルエンザウイルス等の病原生物を完全に除去でき、原水の水質悪化にも対応できるものであります。このシステムを導入している施設は、全国で700か所近くあり、その高度な浄水能力から年々増えております。

また、浄水場は自動運転が可能な施設として整備しており、中央監視装置導入により、24時間体制で、市内の各施設のポンプや装置を集中管理しています。更には、赤外線センサーや防犯カメラによる侵入者防止対策、メダカによる水質管理(フィッシュモニター)など危機管理面にも対応しております。

青色のひまわりがデザインされた2本のおのみ~ずの写真

小野市の水道水は、50項目の厳しい水質検査をクリアした「安全で安心して飲める水」であり、これを皆さんに広く知っていただくためにペットボトルを作製しました。その名も「安心して おのみ~ず」。職員自らが考案しました。デザインは小野高等学校の美術部に協力を得て作成し、市花「ひまわり」を青色にすることで、水のもつ透明感を表現しています。

今期の市の方針は「MMの実践」でありますが、まさに目に見える形で市民の皆さんに水道水の安全性をPRしようというものです。先日、このペットボトルが出来上がり、25日の市議会臨時会で議員の皆さんにお披露目しました。そして、今後、市のイベント、会議等で広くPR用としてこのペットボトルを配布する予定です。

観光などで日本に訪れる外国の方々は、人々が公園で蛇口をひねり、水を飲んでいる姿を見て驚きます。世界では水道水を直接飲用するところは少なく、それだけ日本の水は安全で高品質だということです。市民の皆さんには改めて水道水のおいしさを再認識いただき、これからは様々なところで小野市の水を「安心して おのみ~ず」。

2010年1月20日(水曜日)

地域防災力を高める改革へ

平成21年小野市における火災発生件数が、過去45年間で最少件数(平成15年:22件)の21件となりました。消防署をはじめ消防団、自主防災組織など地域が一丸となって、予防消防に取り組んできたひとつの見える成果であると思っています。

消防団が消火ホースを使って消火活動訓練を行っている様子の写真

特に消防団は、市内各地域に6分団(中分団、東分団、西分団、南分団、北分団、女性分団)851名、うち27名の女性団員(北播磨では小野市のみ)が在籍し、日頃から消火活動訓練や防災啓発活動などを行い、災害が発生した際にはいち早く駆けつけ火災の消火や風水害の水防を行うなど、地域防災の要として活動されています。そのような中で、更なる地域防災の強化を図るため、現在、消防団長をはじめ消防団幹部の方々が中心となって消防団改革に取組んでおられるところです。

女性団員が高齢者宅を訪れて防火の説明を行っている写真

そのひとつとして、秋季全国火災予防運動では消防団自らが計画して市内一斉消防団訓練を実施し、各団員が地域の役員さんなどに消火器や消火栓の取り扱いを指導したり、女性団員が高齢者宅を訪れて防火の説明を行うなど、地域と連携した新たな取り組みが行われました。

一方、市においては、消防団員の定数や団員報酬の見直しを行いました。現在、消防団員の減少は全国的な問題となっています。戦後まもなくの60年前には、約200万人を数えましたが、今では90万人を切っています。団員の高齢化も進み、40歳以上が約4割を占め、平均年齢は38歳に達しているそうです。

小野市の団員定数は874人であり、国の基準からすればかなり上回っております。他市を見ると、150万人都市の神戸市ではわずか4000人、5万人の赤穂市で600人であります。しかし消防団員の問題は小野市とて例外ではなく、比較的活動しやすい自営業の団員が減り、サラリーマンの方が約8割を占めております。万が一の時には1人でも多いにこしたことはありませんが、実際に動ける人を確保する方が重要です。

そのような意味で、消防団員の定数を700人にスリム化しました。その代り、団員報酬をアップするとともに、消防団員の保険(消防団員福祉共済)の掛け金も市が全額負担することにいたしました。報酬は、北播磨管内では一番高くなります。ねらいは、少数精鋭であっても、消防団員のモチベーションを高め、安心して消防団活動に取り組んでいただくことです。

消防団は、地域防災の要であります。大地震や風水害などの際には、地元の事情に精通した消防団員の活躍いかんで住民の生死が左右されるとまでいわれています。「自分たちの地域は自分たちで守る」という郷土愛護精神のもと、改革に取り組まれている消防団の活動を側面から支援してまいりたいと考えております。

2010年1月13日(水曜日)

年々進化し続ける成人式

振袖やスーツを着た新成人達がステージの上に並んでいる成人式の写真

1月11日、成人の日の市民会館大ホールは多くの新成人が集い、成人式実行委員による「ゴスペル」の軽快なリズムに合わせ、2010年成人式が始まりました。式典の企画から準備、当日の受付や進行まで全て自分たちで行う「新成人による新成人のための成人式」であります。

最近でこそ「手作りの成人式」が主流となってきましたが、小野市では10年前からこのスタイルの成人式を続けております。そして昨年は、新成人式研究会が主催する全国コンテスト(文部科学省後援)において、念願の成人式大賞に選ばれるなど、6年連続で入賞しているところです。

今年も新成人の代表である18名の実行委員さんが中心となって、学業や仕事の合間に十数回にわたる綿密な打ち合わせをされたと聞いています。そのような中で、昨年の実行委員OBの方々も自主的に参加されアドバイスをするなど、成人式を通じて人と人のつながりも生まれました。今年のテーマは「添志創逢(そうしそうあい)」。志を同じくする者が出逢い、人生の思い出に残る成人式を創り上げるという、昨年に負けないくらい素晴らしい成人式となりました。

ステージに立っている振袖を着た女性2人とスーツを着た男性1人の写真

会場全員を巻き込んで行われた「サイコロトーク」では、新成人の方々がしっかりした夢や目標について語られ、皆さんが主体性のある意見を持っていることに改めて感心いたしました。また、短歌のまち小野にちなんで今年行った「“ハタチ”の短歌」では、新成人から応募された90首の中から短歌フォーラム実行委員会の選考と新成人の投票により最優秀作品が決定しました。「20歳になって」改めて今日この日を大切にしたいという決意や、これまで立派に育ててくれた「大切な人」(両親)への感謝の気持ちなど、作者の素直な気持ちが伝わってきました。

さらに、今年も新成人全員でできる社会貢献としてペットボトルキャップを回収され、学校や地域の方々にも協力を頂き、昨年の4倍にもなる約40万個(ポリオワクチン約500人分)集まりました。このように新成人自らが創り上げる成人式は、年々進化を遂げており毎年感動させられているところです。

新成人の皆さんは社会への一歩を踏みだしたところです。「まずはやってみなはれ」精神でいろいろな経験をして、これからの人生に生かしていただきたい。そしてこの成人式で語ってくれたそれぞれの夢を持ち続け、様々な分野で小野市から世界に羽ばたいていかれることを期待しています。

2010年1月6日(水曜日)

2010年の仕事始めにあたり

市長に就任して12年目となる新しい年を迎えた。
年明けの新聞のコラムに、仕事始めのあいさつにあたり、<大不況で経営が厳しい、各員一層、奮励努力を…、という悲観論と命令口調は、専門家によれば、状況が厳しいことはみんなわかっているので、一番嫌われる訓示らしい。まずは社員をねぎらい、逆風の中でも説得力のある希望を語ることが経営者の見せどころだ>と紹介されていた。

だが、石川島重工業や東芝といった大企業の経営再建を成し遂げた元日本経団連会長の故土光敏夫さんの言葉が思い出された。「知恵を出せ、それが出来ぬ者は汗をかけ、それが出来ぬ者は去れ」、「社員諸君にはこれから3倍働いてもらう。役員は10倍働け。俺はそれ以上に働く」。

大変厳しい言葉であるが、経営者としてそれほどの強い意志がないとあれほどの偉業は成し遂げられなかったと思う。一般庶民より質素な生活を貫かれた人でもあった。

知恵を出すということは、精一杯工夫することであり、頭の良し悪しではない。いくら考えても工夫が出ないときには、現場現物主義で、とにかくやってみることが汗を流すことだと自分なりに解釈している。問題は、能力の限界ではなく、「執念」ともいえる意欲である。

「反省する人には進歩がある。進歩がある人には夢がある。夢がある人には希望がある。希望がある人には目標がある。目標というのは、予測ではない。自らの強い意志である。」仕事始めにあたり職員に訓示した話である。

病院であれば、患者さんに対する顧客満足度志向(CS志向)を徹底して追求することが大きな目標の一つであるが、それは決して難しいことではない。ちょっとした目配り、気配り、心配りで相手が受ける印象は大きく違ってくる。

Changeで始まった2009年。2010年はChallengeの年だ。失敗をおそれず、前に進む、行動あるのみである。土光さんの言葉を自らに言い聞かせ、気持ちを新たに更なる高い目標に向けてチャレンジする思いである。

2010年1月1日(金曜日)

「更なる変革と創造」に向けて

新年あけましておめでとうございます。輝かしい新春の門出を皆様お揃いでお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年は、歴史に残る「政権交代」があり、日本の政治が大きく変わろうとしております。小野市では11年前より、「変えよう小野、変わろう小野市」というスローガンのもと、「行政も経営」であり、「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するかを追求すること」が行政の使命であるとの基本理念を掲げ、「顧客満足度志向」「成果主義」「オンリーワン」「後手から先手管理への転換」という「行政経営4つの柱」を基軸に様々な施策を展開してまいりました。

主な事業では、2013年開業を目指した三木市との統合病院「北播磨総合医療センター」の計画がまとまり、診療科は27科、病床数は県下で6番目の規模となる450床、事業費は約200億円であります。国の財政支援制度を活用し、建設にかかる小野市の実質負担額は30億円程度ですみ、長期的視野に立った地域医療の拠点となる病院づくりを進めてまいります。

一昨年より総事業費60億円をかけて取り組んでいる学校整備事業は、全ての小中学校の耐震補強工事を終え、小野中学校の建替えに着手しました。来年春には新校舎が完成いたします。小野中学校の完了後、引き続き小野東小学校の建替えを行います。

また、子育て世代の経済支援として県下41市町中唯一実施している中学3年までの医療費の完全無料化、まちを元気づける小野まつりの5000発の花火、治安の悪化を防ぐ警察官OBによる7台、15人体制の安全安心パトロールなどは、このような厳しい経済情勢だからこそ継続して実施いたします。

この様に多くの事業を実施する一方、人事制度、入札制度などの行財政改革を積極的に進め、全国全ての自治体に公表が義務づけられた「財政健全化判断基準(4指標)及び資金不足比率」はいずれも高い安全水準を保ち、中でも、病院事業や水道事業などを含んだ全会計の赤字額の割合を示す「連結実質赤字比率」と将来支払うべき借金等の負担割合を示す「将来負担比率」は、県下29市中第1位の健全財政を維持いたしております。

更に、各地区地域づくり協議会やボランティアなどの「市民活動」も年をおうごとに活発になってまいりました。今年5月には、「色と香のまちづくり」をテーマに「全国ハーブサミット」を小野市で開催し、市民の方と一緒になって「美しいまちづくり」と「食育」を全国に発信してまいります。
これからも、「更なる変革と創造」に向けて、全力で邁進する所存でありますので、皆様のより一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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