2008年1月~3月分のバックナンバー

更新日:2022年02月11日

2008年3月26日(水曜日)

小野市流「二束のホウレンソウ」

今年も新入職員を迎える季節が到来した。民間企業でも、新入社員研修で一番最初に取り上げられるのが「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)の徹底である。どの業種であっても、最も重要なルールの一つである。これがしっかり出来なければ、役所でも会社でも組織として機能しない。しかし、理屈ではわかっていてもなかなか徹底できないのが実情ではないか。

小野市では、市長までの「ホウレンソウ」を9年前から仕組みとして構築している。「報・連・相シート」という統一様式を使用し、所属長から随時メールで届くようにしている。始めた頃は、年間200件程度であったものが、本年度は年間1600件を超える。

最初は、改まって何を報告したらよいのか分からないと言う者もいたが、今では、例えば、朝刊に他市の記事が掲載されていれば、小野市ではこのようにしているとか、当市では該当しないとかの報告も主体的に届くようになった。「市長への手紙」が年間約800~900件であるからその倍近い数である。毎日それら全てに目を通し、必要な指示を出している。

もちろん、「報・連・相シート」とは別に口頭での「ホウレンソウ」もあるが、シートに記入させることによって、担当部門で内容が整理され、課題等もはっきりしてくる。市長へ提出する前に、課長、部長も状況をしっかり把握していなければならない。

「ホウレンソウ」の内容は、基本的にはどのような中身でもよい。担当部門では重要でないと思うことでも、市全体にとってみれば重要なこともある。迷ったら「ホウレンソウ」を!と常に言っている。

必ず「ホウレンソウ」すべきこととしているのは、事件、事故、業務ミス、業務上のトラブルである。しかもタイムリーな報告を求めている。それ以外には、マスコミからの取材、事業の進捗状況や行事の結果報告など多岐にわたっている。

市長までまわった「ホウレンソウ」は、プライバシーに関わることなどは除き、市長指示を含めて部長全員に回覧する。すなわち、情報の水平展開である。幹部職員も情報を共有し、市として、同じ方向を向いて仕事をしなければならないからである。

ところで、「ホウレンソウ」には、もう一つの「ホウレンソウ」がある。方向性をきちんと示し、部下を掌握して連携ネットワークをとり、総括してまとめるという上司に求められる「方・連・総」である。

部下からの「報・連・相」、上司に求められる「方・連・総」、この2つの「ホウレンソウ」を、「二束のホウレンソウ」と位置づけている。組織力を強めるためには、トップ自ら状況を的確に把握したうえで明確な方向を示し、部下はトップと同じベクトルで動くことが不可欠である。そのためのツールの一つが「二束のホウレンソウ」である。変化する様々な情勢を見極め、組織自らがその変化にフレキシブルかつスピーディーに対応しながら「更なる進化と変革」を求め、「見える成果」を追求して行くことが不可欠である。

2008年3月19日(水曜日)

“そろばん”の新たな可能性

皆さんは“そろばん”が計算の道具として以外に、どのような機能があると思われますか。
先週、商工会議所の主催で、「そろばんフォーラム」が開催されました。
 “そろばん”を計算の道具から一歩進めて、“そろばん”の持つ新たな可能性を探ろうというものです。

小野市は、400年の伝統を持つそろばんの産地であります。その起源は、天正八年(1580年)に豊臣秀吉が、三木城を攻略した際、戦火を逃れた住民の一部が大津方面に避難していて、そこでそろばんの製法を習得し、戻ってきて製造をしたのが始まりといわれています。

それ以降、小野市で製造される「播州そろばん」は400年以上にわたる長い歴史と伝統の中で発展してまいりました。珠の製造や、染色、組み立てなど100近くにも及ぶ複雑な製造工程や高度な製作技術が認められ、昭和51年には当時の通商産業大臣から「伝統的工芸品」としての指定も受けています。
かつては、年間11億円以上の出荷額がありましたが、電卓やコンピュータ等の普及により、現在ではピーク時の約10分の1程になっています。

しかし、今、再びその“そろばん”が、注目を浴びるようになってまいりました。従来の「計算機器」から、「脳を鍛える道具」としての新たな可能性です。指先を動かすことで脳を活性化し「脳トレーニング」の道具として福祉施設などでも使われるようになっています。

フォーラムでは、国際医療福祉大学大学院の和田秀樹教授から、単純な計算の繰り返しが脳を活性化し、中でも特にそろばんは、計算の過程が目に見えるので、子どもの計算力の向上や、高齢者の認知症予防などにも役立つといったお話がありました。また、児童心理学などが専門の兵庫教育大学の浅川潔司教授や、兵庫県珠算連盟の藤本和彦副会長からも、そろばんを使った障害児の機能回復訓練や、子どもたちの珠算授業を通して、実際に多動性障害の子どもの数が減るなど、集中力や注意力の向上に繋がっているといった紹介もありました。

「計算力」だけでなく、「集中力」「記憶力」「情報を処理する力」が鍛錬されるとともに、感情の安定や創造力の向上など、心の教育にも繋がるようです。“そろばん”が計算機能のほかに、学力向上や福祉道具としても効果があることを知っていただきたいと思います。

小野市では、「そろばん=計算」のまちとして、東北大学のあの川島隆太先生の脳科学の理論を取り入れて、小中一貫教育による「おの検定」に取り組んでいます。今では子どもから、高齢者まで、多くの方々が検定にチャレンジされるようになりました。商工会議所や、製造業者による“そろばん”の新たな可能性を求めた取り組みとともに、「そろばん=計算のまち」を全国に発信してまいりたいと思います。産学官が一体となって、産業の活性化を目指し、更には、脳の若返りや活性化を図ることでも、元気なまち小野市を創造してまいりたいと考えております。

2008年3月12日(水曜日)

市販小麦の値上げに対抗 小野産小麦粉「ふくほのか」値下げ!

小野市では、「ひまわりの丘公園」にある「サンパティオおの」で昨年から小野市産の小麦粉「ふくほのか」を販売しています。地元産小麦の本格的な販売は、兵庫県下では初めての取り組みです。

国内で消費される小麦の約9割が輸入されていますが、原油高や、バイオ燃料の増産に伴い、小麦や大豆などの輸入穀物は値上がりを続けています。4月以降は更に約30%も値上げされることになりました。その中で、この度、小野産小麦粉「ふくほのか」は、市内での収穫量も増え、販売も好調なことから、約20%前後値下げされました。まだ、輸入小麦粉より値段は高めですが…。

「ふくほのか」は、独立行政法人 近畿中国四国農業研究センターで開発された新しい品種の小麦です。一般の小麦に比べ収穫量が多いうえに、病気に強く、うどんをはじめとした麺類などに加工しやすいといった特長があります。

小野市では酒米山田錦を使った「酒米パン」がテレビや新聞などでも度々紹介され特産品の1つとして有名になっていますが、これに続く特産品開発を進めていく中で、平成15年に市内のきすみの地区営農組合が小麦の新品種である「ふくほのか」の栽培をはじめられました。
これを使うと、コシが強く、小麦の香りが豊かな特長のあるうどんができ、また小麦の皮を少し残して製粉することで、ミネラル分も多く含まれます。製品化を目指して、平成17年には市内の他の地域でも「ふくほのか」の本格的な栽培がスタートしました。

これと並行して、小麦の生産者や食品の加工業者などのメンバーが中心となって「小野産小麦をひろめようの会」も結成され、手打ちうどんの講習会や、乾麺の開発、ケーキやクッキーなども生まれています。
また、最近ではコミュニティビジネスの起業を目指し、「ふくほのか」を使ったうどんなどを販売しようとする女性グループも生まれています。市民が中心となって栽培から加工、販売まで全てを行う活動にまで発展してまいりました。

年々生産量も増え、平成18年は6ヘクタールで栽培され20トンの収穫でしたが、昨年は5倍の30ヘクタールの栽培で、100トンの収穫がありました。今年は更に増える見込みであります。スーパーなどで売られている小麦との値段の差も徐々に縮まっており、減農薬で栽培し、収穫後の農薬散布も行っていないため、安全で安心して食べていただくことができます。

小野産小麦「ふくほのか」は、まだ小野市内だけの展開にとどまっていますが、県外からは小野市でとれた「ふくほのか」を使って焼酎を造りたいといった業者もあり、全国ベースでの契約栽培へと発展しつつあります。商品をどう作り、どう売るかは簡単なことではありませんが、小野市から全国へ、そして将来は世界へと小野市ブランドである「ふくほのか」が広まっていくことを期待しています。

2008年3月5日(水曜日)

おの桜づつみ回廊 ついに完成!

染井吉野(ソメイヨシノ)、大島(オオシマ)、江戸彼岸(エドヒガン)、思川(オモイガワ)、八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)。5種類の桜が加古川の粟田橋下流から東条川古川橋までの加古川の堤防左岸、全長約4キロメートルに渡って立ち並ぶ“西日本最大級”の「おの桜づつみ回廊」がついに完成しました。

これらの桜は種類によってそれぞれ若干咲く時期が異なっていて、上流から下流へ早咲きの桜から遅咲きの桜へと順番に並べ、少しでも長い間桜の花が楽しめるように工夫してあります。

「おの桜づつみ回廊」事業は、平成14年から国土交通省の多大な協力のもとに取り組んでまいりました。同省の桜づつみモデル事業やまちづくり交付金の補助を受けて整備したものです。単に桜の木を植えているというだけでなく、従来の堤防に幅4メートル~10メートルの盛土を行っていただき、水害などに対する堤防の強化が図られています。

この他にも、国土交通省からは、粟田橋下流から新大河橋にかけて河川敷に自生している竹林や樹木の伐採、護岸工事、そして下大部地区で河道掘削も急ピッチで進めていただいています。特に、平成16年の台風23号の影響で大きな被害を受けた万願寺川との合流地点(粟生町)では、早期に対応する必要があり、自ら国土交通省へ出向き要望を行った結果、直ちに今年度3月の補正予算を組んでいただき、樋門の整備に着手していただくことになりました。平成20年度中に完了する計画で工事が進められる予定と伺っております。更に無堤地区である市場町や樫山町の広島地区においても築堤工事や樋門の設置が進んでいます。加古川が安全で美しい景観をもった空間となることで、更に河川や地域への愛着が生まれるものと思います。

桜が咲いているおの桜づつみ回廊をウォーキングしている人たちの写真

桜の木は全部で650本あります。市民の方に1本2万円で販売して、桜の木のオーナーになっていただいています。これまで完成した区間ごとに販売をしてまいりました。子どもの誕生記念に、ご夫婦の結婚記念に、家族へのプレゼントに…など人気が高く売り出せば直ぐに完売となる状況です。また、市外から購入される方も多く、神戸や大阪、遠くは横浜市からも買われている方もあります。全体の3割以上は市外の方からの購入でありました。

桜並木に沿ってウォーキングロードを整備し、所々にトイレも設けています。週末になると、ジョギングをする人や、木の周りの除草や掃除をされている方をよく見かけるようになりました。地元の方が中心となってクリーンキャンペーンやウォーキングなどのイベント等も開催されています。

今では1番最初に販売した桜の木も随分と大きくなり見事な花を咲かせるようになりました。桜の木の成長とともに更なる賑わいが生まれ、数年後には、西日本有数の桜の名所として脚光を浴びるのではないかと期待しています。新たな市民の憩いの場、地域活性化の拠点の1つとして活用してまいりたいと思います。

来月、4月6日(日曜日)午前10時から「おの桜づつみ回廊竣工式」を粟田橋下流の堤防で行います。咲き誇る桜を見に、是非お立寄り下さい。

2008年2月27日(水曜日)

平成20年度予算案まとまる

平成20年度予算案がまとまりました。「安全・安心社会の推進」「子育て支援など福祉・教育の充実」「地域活性化の推進」の3つに重点をおき、45の新規事業を盛り込んでいます。

予算の総額は約383億円、うち一般会計は約178億円で前年度と比べますと約1%減となっています。しかしながら、当初予算に盛り込む予定であった中学校の耐震化事業の一部、約2億円を前倒しして今年度から実施する予定ですので、これらを含めると実質的には“積極型”の予算となりました。

重点項目の1つである「安全・安心社会の推進」では、児童生徒の安全と地域の避難場所の確保を図るため、学校整備事業中期計画に基づき耐震化が必要な全ての小中学校の整備に順次着手してまいります。
全国的に自治体の財政事情等により、小中学校の耐震化率は約58%と進んでいませんが、小野市では、耐震補強工事(5校)に約7億円、大規模改造工事(3校)に約9億円を投入し、校舎や体育館のリニューアルを実施いたします。加えて、平成22年から約41億円をかけて、小野中学校及び小野東小学校の校舎と体育館、特別支援学校の体育館の全面改築にも着手いたします。その結果、耐震化率は、来年度には76%、平成24年度には91%、そして平成28年度には全ての小中、特別支援学校(13校)の耐震化及び全面改築が100%完了いたします。

また、子どもたちの登下校時の安全確保として、市が設置から維持管理まで全てを行っている町境の防犯灯を更に増設してまいります。5年目を迎える「安全安心パトロール」についても継続して実施し、児童生徒、そして市民の更なる安全安心を図ってまいります。
そして、来年度からいよいよ全国初となる「いじめ等防止条例」がスタートします。市民会議の開催や市内各企業等への出前相談なども行い、学校をはじめ、職場や家庭、地域社会における様々な形の“いじめ”に対し、解決に向け市民をあげて取り組む気運を高めてまいります。

次に、「子育て支援など福祉・教育の充実」では、妊婦検診の助成について、現行の1回分(上限1万5千円)から一気に5回分(上限3万5千円)に拡充いたします。県の行財政改革により一旦廃止の対象となった助成額(1回分 上限1万5千円)に、小野市独自で更に2万円上乗せして妊娠・出産にかかる経済的負担の軽減と妊婦検診の促進を図ってまいります。
また、小学6年生までの医療費の完全無料化についても引き続き行ってまいります。県では行財政改革に伴い、小学3年生までの無料化が見直しの対象となっていますが、もともと小野市独自の施策として実施していたものであり、県がどうであれ継続して実施してまいります。

3台で10ルート、140ヶ所の停留所で運行している「らんらんバス」も年々乗車数は増え続け、今では当初の約2倍となる年間約6万人を超える方が利用されるようになりました。昨年県下で初めて取り組んだデマンドバス(予約制バス)の利用も多く、更に利便性を高めるため、専用車両を購入して、土曜日、日曜日も含めた毎日運行へ変更いたします。

自治会が管理されている広場や公園の整備をサポートする“子育て広場”整備についても要望が多く、今年度は16ヶ所の整備をいたしました。来年度も引続き1ヶ所あたり200万円を上限に、遊具の新設や補修に対する支援をしてまいります。
教育面におきましても、7年連続貸し出し冊数日本一となった図書館では受付システムを更新し、携帯電話からも予約ができるようにいたします。また、小学校4校のコンピュータ教室のパソコンを一斉更新します。これにより一昨年から進めてきた市内全小中学校のパソコンの更新が完了いたします。

「地域活性化の推進」については、北播磨の基幹駅であるJR粟生駅の隣に3月に完成する陶芸体験施設「あお陶遊館アルテ」に加え、JR粟生駅の駅舎やコミュニティ施設の建設等を進めてまいります。いよいよJR加古川線の市内5つの駅の全ての改修が終わることになります。また、神戸電鉄樫山駅の改修、市役所と大池総合公園を結ぶ道路の拡幅や歩道の整備、河合運動広場のリニューアルなども行っていく予定です。

これらを含め多くの事業を展開してまいりますが、きちんとしたFS(予備調査)やシミュレーションを行い、健全財政の維持を図っています。借金である市債残高は、前年度から更に9億円減らして、市長就任以来10年間で最も少ない143億円となり、また、一方では市税収入は過去最高の73億円、貯金にあたる基金については少し減るものの約74億円を確保できる見込みであります。
実質公債費比率も、近隣各市が借金である起債発行の制限される18%を越えて苦戦する中で、小野市は18年度決算の16.7%からさらに改善し、15.8%となる予定です。

来年度は、地方分権改革の一層の推進、新たな財政指標の導入、兵庫県の行財政改革などあらゆる分野で大きな変化が予想されます。自治体間競争がますます激しさを増していく中で、持続的な健全財政の維持を図りながら、小野市の更なる飛躍を目指してまいりたいと考えています。

2008年2月20日(水曜日)

生涯青春 第2の成人式“エイジ・ルネサンス・パーティ”開催

平均余命という言葉をご存知でしょうか。平均余命とは、各年齢ごとにその歳の人があと何年生きるかという余命の平均値です。そして、その年に生まれたばかりの0歳のこどもが何歳まで生きられるかが、普段よく耳にする平均寿命です。

小野市では、多くの方が仕事や子育てなどを終えられる65歳の人生の節目を迎えられた方を対象に「エイジ・ルネサンス・パーティ」、いわゆる“第2の成人式”を開催しています。

65歳の人の平均余命は、現在、男性が18年、女性が23年であります。まだまだ約20年間も余命があるということです。20年といえば、もうひと活躍できる期間です。「エイジ・ルネサンス・パーティ」は、これからの人生に再びチャレンジするその起点にしていただきたいという思いで行っています。

ステージの上でパープルシックスがコーラスを歌っているエイジ・ルネサンス・パーティの写真

この趣旨に、上方落語協会会長の、あの桂三枝師匠にも賛同をいただき、1回目からずっと8年間トークコーディネーターとして出演していただいています。パーティのメインであるトークショー「サンステージ」では、5名の方に、思い出深い写真やエピソードを交えて桂三枝さんと楽しく愉快に語り合っていただきました。テレビ番組「波乱万丈」や「新婚さんいらっしゃい」のような感じで笑いあり涙ありと、参加された多くの方々に喜んでいただけたものと思っております。

今年は当初のシナリオにはありませんでしたが、桂三枝師匠が関西大学グリークラブ“パープルシックス”の皆さんを率いてこられ、コーラスも行っていただくというありがたいプレゼントもありました。

小野市内の65歳以上の方は人口の約20%=1万人を超え、10年前と比べますと約25%増えています。多くの人生経験を積んでこられた皆さんが、その経験を地域社会に活かしていただき、生涯青春の実践をおこなっていただくことが、これからの小野市を元気にする大きな原動力になると思います。参加者の方から、「これからガーデニングボランティアを生きがいにしたい」「いろんなことにチャレンジしたい」といった前向きな意欲を聞きました。小野市独自の取り組みである「エイジ・ルネサンス・パーティ」が新たな人生のスタートへのきっかけとして定着してきたことを嬉しく思います。

2008年2月13日(水曜日)

更なる地域の活性化をめざして

2月3日節分の日、JR小野町駅の「ぷらっときすみの」では、なんと約3000本もの巻寿司が売れました。約20名の地元の営農組合や女性の方たちが、前日から徹夜をして巻寿司を作られたそうです。「ぷらっときすみの」では地域でとれた蕎麦や野菜を使い、手打ちの蕎麦や巻寿司、惣菜などを販売されています。新聞や雑誌等でも紹介されることが多く、大阪や鳥取、徳島県など県外からも買い求めに来られています。

小野市では、平成16年のJR加古川線の電化に併せて、この小野町駅だけでなく、市場駅、河合西駅、青野ヶ原駅の各駅舎及びその周辺も市単独で改修いたしました。改修にあたっては、地域の方も一緒になって検討を行い、駅としての機能だけではなく、地域住民がコミュニティの場として利用できるように整備を行いました。地域の方々は、駅舎や駅舎周辺の清掃、花の植栽など、地域の玄関口にふさわしいようにきれいにされ、また、交流の場としても活用されています。

そして、市内JR5駅のうち残っている粟生駅についても、新たな交流の拠点となる「あお陶遊館アルテ」が今年の3月末に完成いたします。初心者向けの陶芸教室から本格的なろくろを使った教室まで、数多くの講座も開講する予定です。子どもから高齢者の方まで、男女を問わず楽しんでいただける施設にしたいと思います。

また、この粟生駅では、地元の女性約20名の方が中心となって、駅舎を活用して手作りのケチャップやお漬物など地産地消にこだわった加工食品を販売する計画もたてられています。

一方、河合西駅では、地元の女性約30名の方がグループを結成されています。駅前の空き店舗となっていた建物を活用して小野産小麦「ふくほのか」を使ったうどんや、地域でとれた野菜を使った惣菜、料理などを販売しようと取り組まれています。

次から次へと元気なグループ、元気な地域がでてまいりました。特に中心となっているのは女性の方たちであります。

ところで、地域に賑わいをもたらそうと思っても、これらの駅周辺では店舗や住宅、事務所などを自由に建築することはできませんでした。というのは、これらの地域は「市街化調整区域」といって、都市計画法という法律で原則として建物を建築することが制限されているからです。この制限は産業の衰退や人口の減少などの一つの要因になっていました。

そのような中、兵庫県で建築制限の一部を緩和する「特別指定区域制度」が導入されました。小野市では、平成17年に県下の市で初めて、住宅系の「特別指定区域」の指定を受け、市街化調整区域内でも地縁者の住宅などの建物が建てられるようになりました。今までに、この制度を利用して、60軒を超える住宅が新たに建築されています。

そして、今年1月には、JR加古川線沿いでの「駅前区域」や、産業の拠点として振興を図りたい「産業拠点区域」などで、それぞれの地域の目的に応じて店舗や事務所、工場などが建築できるようになりました。いわゆる事業所系の「特別指定区域」であります。これも県下で初めての指定であります。

このように、小野市では、地域の活性化のために、施設整備の面からだけではなく、参画と協働に対する支援、規制の緩和などあらゆる方面から支援をしてまいりたいと思います。「にぎわいづくり」を目指した取組みが、地域への「誇りづくり」となり、さらには小野市を愛する「愛着づくり」へと繋がっていくことを願っています。

2008年2月6日(水曜日)

病院統合の検討はじっくり時間をかけて

2月1日、小野市が「病院統合、早期実現は困難」と表明したことに対して、三木市長は、「本格的な協議に入る前に小野市が一方的に態度を豹変されたことは、全く納得がいかない。両市の市民の期待を裏切り、今後の地域医療に大きな禍根を残すことになる。特に、市民の期待が大きかった周産期医療(産科、小児科)の実現が困難となることが懸念される」と不満を表明されました。何を焦っておられるのでしょうか。

1月20日付けの神戸新聞朝刊(三木版)によれば、その前日の1月19日、三木市において病院統合に関するタウンミーティングが開催され、その席上、三木市長は「二つの病院の特徴を生かしながら、神戸大のノウハウを取り入れて、市の基本計画を作りたい。『ぜひ三木で』という方向で進めたい」と述べられたそうです。

神戸大学医学部からの提案を受け、三木と小野の2市で、病院統合についての検討を始めることは合意しましたが、統合するということに合意したものではありません。にもかかわらず、三木市長は、病院統合は既に決定事項として、しかも『ぜひ三木で』と話を進められていたようです。

そもそも、この病院統合の話は、昨年5月、北播磨地域に医師を多く派遣してきた神戸大医学部から、医師不足を理由に、北播磨5市1町(西脇、三木、小野、加西、加東、多可)の公立病院を統合し、中核病院を整備するよう提案がありました。その後、5市1町の意見が割れている現状では、中核病院の実現は困難として、昨年11月、三木、小野の市立病院に限定した統合を再提案されました。

深刻な医師不足の問題は、この北播磨も例外ではありません。4年前と比べると北播磨公立5病院で21%、41名もの医師が辞められ、産婦人科をはじめ多くの診療科が閉鎖されました。また、各病院の経営状況も決して良い状態とはいえません。

北播磨公立病院医師数の推移のグラフ
北播磨公立病院の経営状況のグラフ

かろうじて、小野市民病院は医師の数はどうにか確保できています。また、経営状況も、北播磨の公立5病院中、累積欠損金は2番目に少なく、内部留保資金は1番多く保有しており、それなりに健全経営を維持しております。

小野市だけを捉えれば、今すぐどうこうしなければならないことはありません。
しかし、私は、小野市長としての立場だけではなく、昨年から、北播磨公立病院協議会の会長という役を仰せつかっていましたので、神戸大学医学部からの提案を真摯に受けとめ5市1町の調整役を務めてきました。

北播磨30万人圏域に1つの中核病院が理想でありますが、5市1町で足並みが揃わず、残った三木と小野で病院統合について検討することになったわけです。

しかし、病院統合といっても、仮にベッド数450床の大病院ともなれば、その建設費だけでも250億円を超える巨額の財政負担が必要となります。これだけの負担を2市のみで賄えるのか。北播磨全体であればその負担も軽減されることになると思いますが…。その上、国の補助メニューもなくなり、財政危機に陥った県からの支援も全く期待できません。そのような中で建設に踏み切れば、自治体財政の根幹を揺るがすことは目に見えています。

さらに、経営という観点からは、事前に利益計画などの予備調査(FS:フィージビリティ・スタディ)を十分に行なう必要がありますが、シミュレーションを行なうにしても、来年3月に完成予定の県立新加古川病院の開設診療科やその影響等が現時点では予測できません。

また、厚生労働省の公立病院改革ガイドラインによれば、病院の運営形態は、従来型の自治体直営ではなく、非公務員型の独立行政法人や指定管理者制度などへ移行するよう求められています。

医師不足という切迫した課題や高度医療の提供のための病院整備の必要性やプライオリティーは十分認識していますが、余りにも大きな課題が多いため、慎重に検討すべきであり早期に結論は出せない、と当たり前のことを申し上げたにすぎません。神戸大学医学部からも時間がかかっても十分議論していただきたいとご理解をいただいています。

両市の市民の期待を裏切り、今後の地域医療に大きな禍根を残す」と三木市長が憤慨されていますが、いつから小野市民の声まで代弁?されることになったのか理解に苦しみます。病院統合の検討については、今後も協議に応じる用意はありますが、独りよがりの軽々なご発言はお慎みいただきたいと思っております。「行政も経営」であり、「経営」というものは、そう甘くないということです。

2008年1月30日(水曜日)

6回目の防災訓練を実施 ~「自助」「共助」「公助」の連携が不可欠

1月27日(日曜日)、市場地区で防災訓練を実施いたしました。兵庫県南西部の山崎断層で震度7の地震が発生し、住宅の倒壊や火災など市内に甚大な被害をもたらしたという想定です。
地域の小学生、自治会、自主防災組織、消防団、消防に加えて、県の消防防災航空隊、社警察署、青野原陸上自衛隊の協力も得て、総勢約1,000人もの参加者による、地域の防災訓練としては大掛かりな取組みでした。

こういった防災訓練を、平成14年度から市内各地区で順次実施し、今年で6回目となります。北風が吹く大変寒い中でしたが、早朝から避難誘導、炊き出し、ヘリからの救助など様々な訓練に熱心に参加していただきました。

ところで、あの阪神淡路大震災から13年が経過しましたが、これまでの間、全国で何らかの被害をもたらした地震は、なんと84回も起こっているということを皆さんはご存知でしょうか。

県の発表では、この小野市においても、山崎断層帯の一部である三木断層が走っていると言われています。現在、文部科学省により断層の詳しい調査が行われていますが、断層の近くでは、今後100年の間において震度6強ないしは7クラスの地震が起こることも予想されています。

「治に居て乱を忘れず」(平和の世にも戦乱の時を忘れず、万が一に備えて準備を怠らないこと)、「悲観的に準備をし、楽観的に行動する」ことはリスクマネジメントの基本であります。一昨年、地震だけでなく、様々な災害に備え、防災備蓄倉庫を建設いたしました。防災や水防関係の資機材のほか、県が発表している山崎断層地震の被害想定に基づき毛布や非常食など約2,300人分を計画的に備蓄しているところです。平成15年に近隣市に先駆けて作成しておりましたハザードマップも最新の情報をもとに見直しを行い市内全戸配布いたしました。

また、大池総合公園には飲料水として利用できる100トンの貯水槽(11,000人・3日分)を整備していますが、今年度中に、新たに市街地(上新町)の中に40トンの貯水槽(4,400人・3日分)を備えた防災公園も完成する予定です。何処にどういった防災施設や設備があるのか、市民の皆様にも知っていただきたいと思います。

しかしながら、大きな災害がおこりますと、行政や消防など防災関係機関だけの対応では限りがあります。あの阪神淡路大震災では、がれきや、倒壊した家屋の中から助け出された人々の78%は近所の人や地域の住民の手によるものでした。互いに顔を見知り、気軽にあいさつできる住民同士のつながりこそ、防災・減災の原点であります。

また、県では、災害復旧における「共助」の仕組みとして、住宅の再建・補修の支援を行う住宅再建共済制度(フェニックス共済制度)を創設しています。掛け金は、年額5,000円で、被害状況により最高600万の給付が受けられる制度です。小野市では、この制度を活用して共助の意識を更に高めるためにも、平成18年度から、自治会がこの共済制度への加入を取りまとめた場合に、その掛け金の半額を自治会に助成いたしております。自治会によっては加入率が30%を越えるところや、還元されたお金で懐中電灯や防災用の携帯ラジオなどの購入を計画されているところもあるようです。普段からの備えによっては、いざというときには大きな差となって表れてまいります。

災害に対して、まず自分を守るのは、「自助」の力です。次に自分ひとりでは対応できないとき、頼ることができるのは、「共助」です。そして、「公助」による様々な援助も住民の協力は不可欠です。この「自助」・「共助」・「公助」が連携し適切に組み合わされた仕組みを作っていくことが行政の大きな役割であると思っています。

突然おこる様々な災害や事故にいつでも対処すべく、日頃から防災関係機関や地域住民との情報の共有を図り、一体となって被害を最小限にくい止められるように努めてまいりたいと考えております。

2008年1月23日(水曜日)

想いの込められた31文字 お待ちいたしております

1月16日、宮中歌会始の模様がNHKでテレビ放送されていました。5名の選者の中に、永田和宏先生の姿がありました。岡野弘彦先生もおられました。
永田先生は、上田三四二記念「小野市短歌フォーラム」の選者のお一人であります。また、岡野先生も、平成3年から13年間にわたって選者を務めていただきました。

小野市が生んだ歌人 故上田三四二氏は、昭和54年から昭和59年、62年、63年と8年間にわたり宮中歌会始詠進歌の選者として活躍されました。このような上田三四二氏の文芸界での数々の功績を記念して、“短歌のまち小野市”を全国に発信するために、平成元年に「短歌 上田三四二賞」をはじめました。一昨年には、選者の先生方からご提案もいただき、その名称を上田三四二記念「小野市短歌フォーラム」と改め、更なるレベルアップを目指しています。

昨年は全国から5,430首もの歌が寄せられました。全国全ての都道府県はもちろんのこと、海外は台湾からも投稿をいただいています。特に、小・中・高校生からの歌が多く、全国各地の学校から過去最高となる3,873首の作品が寄せられました。子どもたちの国語力の低下が危惧されている中で、日本の心を詠う伝統的な短歌は、日本語の美しい表現やリズムを身につける上で役に立つものであります。また、情緒力を身に付け、豊かな人間性を形成することにも寄与すると思われます。多くの子どもたちにその心が受け継がれ、短歌に親しみ、歌が寄せられていることをうれしく思っています。

また、昨年は井戸兵庫県知事からも投稿をいただくとともに、初めて短歌フォーラムにも足を運んでいただき、祝辞もいただきました。格調、そして投稿数ともに全国指折りの短歌フォーラムへと発展しています。

今年も選者には、永田先生のほか、女流歌人の第1人者で、現代歌人協会理事、朝日歌壇選者、そして日本芸術院会員の馬場あき子先生、兵庫県歌人クラブ顧問や神戸新聞歌壇選者の米口實先生をお迎えいたします。選者の先生方には、一般の部(1席から5席・入選・佳作)と、小・中・高校生の部(最優秀・優秀)の作品一つひとつについて選評も行なっていただく予定です。

更にフォーラム当日の記念講演には、詩人であり作家でもある辻井喬(つじい たかし)氏(あの西武百貨店をはじめ、西友、パルコなどを含むセゾングループを育てた堤 清二氏)をお迎えいたします。どうぞお楽しみに。

今年の上田三四二記念「小野市短歌フォーラム」は、5月24日(土曜日)、小野市うるおい交流館エクラで開催いたします。投稿は2月末までです。皆様の様々な想いが凝縮された31文字をお待ちしております。

2008年1月16日(水曜日)

地方自治体経営は新たなステージに入ります

今年2008年、地方自治体経営は新たなステージに入ります。総務省が半世紀ぶりに見直した自治体の破綻認定基準が2008年度決算から適用になります。新しい基準となるのは1.実質赤字比率、2.連結実質赤字比率、3.実質公債費比率、4.将来負担比率、という4つの指標であります。

これまでは、自治体の財政健全度を測る物差しとして1の実質赤字比率というものだけが使われていました。これは、一般会計の部分だけを捉えて、自治体が赤字になっているか黒字になっているかどうか判断するものでありました。

しかしながら、自治体には、一般会計だけでなく、病院や、上下水道などの公営企業と呼ばれるものや、地方自治体が民間企業とともに出資して設立したテーマパーク、鉄道会社などのような第三セクターも数多くあります。

平成18年度では全国の自治体病院の約75%が、また、第3セクターも全国の約3分の1が赤字経営と言われています。これまでの基準では、こういった病院や第3セクターなどの経営状況はあまり表には出てきませんでした。今後このようなものも含め全てオープンにして自治体財政をチェックしていこうというのがこの度新しく示された基準であります。

新しく加わった2の連結実質赤字比率は、民間企業でいう連結決算みたいなもので、病院や上下水道などの公営企業会計まで含めて赤字になっているかどうかを示す基準であります。
3の実質公債費比率は、公営企業に加え、複数の市町で連携してゴミ処理などを行う広域連合や一部事務組合と呼ばれるものの、借金返済額の自治体収入に対する割合であります。
そして、4の将来負担比率は公社や第三セクターなども含めた将来負担すべき負債が、自治体財政にどれだけ占めるかを示す基準であります。

新聞社などの調査によると、全国で約50~100の自治体が破綻状態一歩手前の「早期健全化団体」の対象になると見られています。また、先般も大阪府が財政再建団体への転落を回避するために約3000億円もの借金の返済を先送りにしていたことが明らかになりましたが、こういったことも含め今後次々とこの種のことが明らかになっていくものと思われます。つまり住民側からすれば自分の住む市と他市とを比較できるようになり、自分の市の財政状況がどうなのか白日のもとに晒されるわけであります。

自治体財政健全化法に基づく指標の数値基準の表

小野市では国の発表に先んじてその数値を試算いたしました。平成18年度決算では、1.実質赤字比率は赤字ではなく黒字であるためゼロであります。2.連結実質赤字比率はマイナス76.94で全国805都市中第2位の高水準、ちなみにあの夕張市はプラス364.5であります。3.実質公債費比率は、北播磨地域で最も良好な16.7%、そして、4.将来負担比率は、悪いとされる基準の約半分の179.55と、全体として健全財政を維持しているところです。

しかしながら、ドッグイヤーからマウスイヤーへと時代が絶えず変わっている中で、少しでも油断をしますと、財政状況は悪化してしまいます。地方自治体が新たなステージを迎えるにあたり、小野市においても更なる行財政改革を進め、健全財政を維持してまいりたいと考えています。

2008年1月9日(水曜日)

進化し続ける小野市をめざして

2008年は、年明け早々原油1バレル当り100ドルという波乱の幕開けになりました。昨年末、このままいくと100ドルを突破するのでは?と言ったことが本当になってしまいました。経済活動はもとより、物価高等、日常生活に及ぼす影響がますます懸念されます。

しかし一方で、原油高、株安を「通り雨」だ。そして「円高で、通貨が強くなって困っているのは日本くらいだ」と強気な楽観論者もおられます。逆に向かい風を生かそうとの声も聞かれます。

日本経済はバブル崩壊から立ち直り、戦後のいざなぎ景気を超える好景気が続いていると言われています。しかし、その実感はなかなか享受できません。日本は、30年前の1977年、現首相の尊父福田赳夫氏が総理大臣だった頃、1人当りの国内総生産(GDP)は、世界第17位でいわば「中ぐらい豊かな国」でした。

それから毎年7.5%以上の成長を続け、日本は、世界経済を引っ張る機関車といわれ、15年後の1993年にはGDPは世界第1位になりました。ところが、その15年後の2006年には、18位に逆戻りしてしまいました。要するに30年前に戻ってしまったわけです。

奇しくも今の総理大臣が、ご子息の福田康夫さんというのも何か因縁めいたものを感じます。世界トップクラスだった子ども達の学力も2006年には世界で10位程度にまで落ちてしまいました。結果、ゆとり教育の見直しがされようとしています。

戦後、日本は、自動車や電機など規格大量生産で世界一になりました。その背景には、経済がそれを求めたし、社会もそれに協調し、それに合った教育がなされてきたからです。すなわち、企業、親の価値観、学校が連携していました。しかし、現在その連携は壊れてしまっています。まさに、「こんなはずではなかった21世紀」を迎えているわけであります。

若者の意識も、出世してあらゆる面でのトップになりたいといったような貪欲な向上心を持つ者が少なくなり、無欲無気力が横行しています。あの堺屋太一さんは、10年前の1998年初めに、1990年代を「失われた10年」、2000年代の10年を「失う10年」になりそうだと言われています。

そのような日本の衰退傾向を断ち切るために、最近になってイノベーションが不可欠だと盛んに言われ出しました。イノベーションとは、本来、技術革新のことでありますが、技術だけにとどまらず、医療、福祉、介護、教育など、狭義ではなく、広義の意味での革新、あらゆる分野での変革が必要だと考えています。

既に小野市では、「行政手法のイノベーションへのチャレンジ」を今期方針として掲げています。「今まではこうであったという前例を踏襲することなかれ。かくあらねばならんという固定観念にとらわれることなかれ」そして「画一的横並びの仲良しクラブから脱却」し、「ゼロベースの発想で更なる創造と変革にチャレンジ」するという信念からであります。

10年前、とにかく「小野市を変えよう」と強い決意で、「変えよう小野、変わろう小野市」ということを訴え続け、市政運営にあたってきました。
次に「もっと変えよう」と更なる強い思いを掲げました。

加えて、単に変えようということだけではなく、より高付加価値のサービスを目指すために今一度原点に立ち返り、更に深く掘り下げ、行政における技術革新すなわち、行政手法のイノベーションにチャレンジしているわけであります。「ヒューマンライフGの創設」や全国初の「小野市いじめ等防止条例」の制定がその一例であります。

行財政改革においても、人事制度改革や入札制度改革などにより、小野市は8年間で市税の約2倍に当たる約130億円もの経費節減を達成したところでありますが、今後は県の行革のあおりを更に受けることが予想されます。しかし、ピンチをチャンスと捉え、更なる行財政改革に取り組む決意であります。

大事なことは、物事をネガティブシンキングではなくポジティブシンキングに、すなわち前向きに捉えて行動することです。その行動指針は、「い、ろ、は」であります。
「い」は、「意識改革なくして行動なし」。
「ろ」は、「論ずるより行動」。
「は」は、「反省なくして改善なし」。

中でも今、特に重要なことは、「ろ」の“論ずるより行動”であります。環境問題しかり、経済問題しかり、行財政改革しかり。やはり見える成果をきちんと出そうとする強い信念、強い意志と素早い行動力をもって事にあたっていくことが今求められているわけであります。

必要な意識改革は、(1)Knowing & Doing(ノーイング・アンド・ドゥーイング)のギャップ、知っていることと、やることは違うということ。(2)Dominant Logic(ドミナント・ロジック)、そんなものだと思い込む固定観念の打破であります。これらの意識、思考、行動を変えることが不可欠であり、これは管理することから経営することへの進化を意味します。

今年、小野市では、

  1. JR加古川線の5駅のうち残っていた粟生駅に、陶芸体験施設「あお陶遊館アルテ」が、4月に完成します。
  2. 神戸電鉄樫山駅の整備にも着手します。
  3. 懸案であった小野中学校の建替えについても地権者のご協力が得られ、来年には着手する予定です。
  4. 小野東小学校の建替え用地を含む、将来の小野市の発展のための資産として、5年越しの交渉を続けてきたKDDI用地の取得の目処も立ちました。
  5. 市役所から大池総合公園にかかるシビックゾーンの整備も充実させます。
  6. そして、念願の、賑わいの核となるホテルについても、誘致の方向で現在最終の協議に入っています。

不安感が漂う2008年の幕開けでありますが、小野市が新たな時代に向かい、「失う10年」とならないためにも前進あるのみです。ポジティブシンキングで、決して怯むことなく「更なる進化と変革」に向けて進化し続ける、チャレンジし続ける小野市を目指す思いであります。

2008年1月2日(水曜日)

更なる進化と変革へ

新年あけましておめでとうございます。輝かしい新春を皆様お揃いでお迎えのこととお慶び申し上げます。

小野市では、「行政も経営」という基本理念のもと、「行政経営4つの柱」、市民=顧客と捉えた「顧客満足度志向」、何をやっているのかではなく何をもたらしたかを問う「成果主義」、ここしかない小野らしさを追求する「オンリーワン」、言われてからやるのではなく言われる前にやる「後手から先手管理」への転換を基軸として、「行政手法のイノベーション(技術革新)」へのチャレンジを目指し、市政運営を進めてまいりました。

子育て支援や福祉の充実では、県下に先駆けた「小学6年生までの医療費の完全無料化」をはじめ、障害者自立支援医療費の助成、交通弱者の新たな移動手段である予約制の「デマンドバス」など、子育て支援や福祉施策の費用は総予算額の4割を超えるまでになりました。

安全安心のまちづくりでは、新たに創設された市民安全部による安全安心パトロールや、通学路に防犯灯を設置するなど、行政、警察、市民、企業ぐるみの更なる推進をいたしております。

また、人権教育の再構築と「いじめ対策」の強化を図るため、全ての人権問題を考える「ヒューマンライフグループ」を新たに創設しました。まず、児童生徒を対象とした市独自のアンケートを実施、公表し、そして昨年の12月議会では全国初の「いじめ等防止条例」を制定するなど、今後、市民運動として展開して参ります。

一方、にぎわいの創生では、北播磨の基幹駅である粟生駅で陶芸体験施設「あお陶遊館アルテ」が4月から、年間40万人が利用する「白雲谷温泉ゆぴか」では18種類の岩盤浴を備えた温浴施設が5月からオープンします。西日本最大級の「桜づつみ回廊」や屋内多目的グランド「龍翔ドーム」も完成し、年間100万人以上の来園者で賑わう「ひまわりの丘公園」では平成21年度に「第18回全国ハーブサミット」を開催することとなり、ガーデニングシティおのを全国に発信して参ります。

このように幅広い施策展開を行いながらも、人事制度改革や入札制度改革などの行財政改革により、8年間で市税の約2倍に当たる約130億円の経費節減を図った結果、今年から公表される財政健全度を測る新たな指標の一つである「連結実質赤字比率」は、大手新聞社によると平成17年度決算で小野市の場合、全国802の都市の中で第2番目となる財政状況の健全性を維持しており、詳しくは昨年末の市政懇話会での説明と資料の通りであります。

今後も絶えず変化し続ける社会ニーズにフレキシブルに対応するため、「今まではこうであったという前例を踏襲することなかれ、かくあらねばならんという固定観念にとらわれることなかれ」を信念に「更なる進化と変革」に向けて全力で邁進して参りますので、皆様方のより一層のご支援、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

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電話番号:0794-63-1002
ファックス:0794-63-6600

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