2007年1月~3月分のバックナンバー

更新日:2022年02月12日

2007年3月28日(水曜日)

3期目のスタート 平成19年度予算が決定しました

一昨日、3月26日、第347回市議会定例会が終わりました。平成19年度予算案をはじめ提案した議案はいずれも原案どおり可決、ご決定をいただきました。

平成19年度予算は、私が就任以来一貫して言い続けております「市民満足度志向の徹底」、すなわち、「市民の目線に立って市民が本当に願っていることをやっていく」、この基本理念に基づいて、子育てや福祉、教育などに重点を置き、市民ニーズに対応した施策を積極的に展開する、まさに私の原点である、「ハードからハートへ」のソフト重視の予算といたしました。

特に、最重点施策として位置付けた「子育て支援など福祉・教育の充実」については、県下で最も充実させております小学校3年生までの医療費の完全無料化を更に、6年生まで拡大するほか、障害者自立支援に係る低所得利用者の負担軽減、自治会などの公園整備をサポートする“子育て広場”整備への助成にも着手いたします。

新年度の子育て支援、福祉関係の予算額は、特別会計も含めて約170億円にもなります。これは、市全体の予算総額である397億円のうちの、実に43パーセントを占めており、市税収入の約2.5倍に相当する額であります。例えて言えば、学校や市民の参画と協働の拠点施設である「うるおい交流館エクラ」を毎年5~6個建設するのと同じ費用になります。つまり、それだけ多大な予算を福祉施策に充てているということであります。

また、「安全・安心のまちづくり」では、パトロール車を2台増車して、5台10人体制とし、安全安心パトロールの拡充を図ってまいります。その他、「“ガーデニングシティおの”の推進」、「協働と参画の実践」につきましても、引き続き重点項目として取り組むこととしております。

特色ある教育の更なる充実も図るため、学校教育関係予算を8年前の3倍以上に増額いたしました。そして、人権教育の中にいじめ対策があるのではなく、いじめ対策の中に人権教育があるという逆転の発想により、“いじめ”という具体的事象に焦点を当てながら、人権問題全体を考える組織として、「ヒューマンライフグループ」を新たに、教育部門ではなく、市長部局に創設いたします。これら平成19年度新たに展開する事業は60件にのぼります。

一方、更なる行財政改革を推進し、来る4月1日現在の正職員数については、昨年より更に8人減り、市民100人あたり、0.620人(前年度0.635人)と、県下最少の職員数となる見込みであります。

また、借金である地方債については、その残高を前年度より12億円減らして150億円とし、平成16年度のピーク時に比べ、3年間で約30億円減少させる一方で、貯金にあたる基金については、決算ベースで前年度とほぼ同額の確保を見込むなど、「無駄を省いて、借金を減らし、そして貯金はあまり減らさずに、必要な事業は進める。」という、持続的な健全財政に維持を図るための、後手から先手管理も行なっているところであります。

先般、市民の皆様のご推挙により、3期目の市政を担当する栄誉を与えていただきましたが、これからが本当に市民の期待や要望に応える4年間であると考えております。

この度掲げた「7つの政策と50項目の目標」は、中には非常にハードルの高いものもあります。敢えてそれにチャレンジし、「地方から国を変える」という意気込みで「更なる創造的変革」に取り組んでまいる決意であります。

2007年3月21日(水曜日)

9ヶ年教育から16ヶ年教育へ

市内の全ての小学校と中学校では、毎朝、授業が始まるまでの10分~15分間、計算や、漢字、そろばん、読書を行なう時間があります。これは、小野市の教育行政顧問で、テレビなどでもおなじみのあの東北大学の川島隆太教授の脳科学の理論に基づき行なっているもので、川島先生によりますと、「簡単な読み書き計算や音読を繰りかえしやることは、前頭前野の発達につながり脳が活性化される」そうであります。
小野市では、この川島先生の理論を教育に取込み様々な取組みを展開しています。

その代表的なものとして、基礎学力の向上を目指し3年前から実施している「おの検定」があります。この「おの検定」は9ヶ年、小中一貫教育による「漢字・計算・体力」の検定として県下で初めて小野市が独自に取組んだもので、これまでにもNHKや朝日小学生新聞の一面などでも紹介されたこともあります。

検定に使うテキストは、市内の教師自らが作成し、また、採点は全て教育委員会で一括して行なっています。検定毎に教育委員会できちんと結果の分析を行うことで、市全体で間違いの多い問題の傾向が把握でき、また、「間違いランキング集」を作成するなど、各学校の教師へフィードバックして授業の中でも活かされています。このように、計画(プラン)し実行(ドゥ)するだけでなく、きちんと検証(チェック)を行い、それに基づき次の行動(アクション)に繋げるという、PDCAのマネジメントサイクルを展開して実施しています。年数を重ねるに従ってデータも蓄積され、その成果が徐々に目に見える形で現れるようになりました。

例えば、中学1年生の漢字検定では、「おの検定」を始めた頃は90点以上の生徒は全体の30%もありませんでしたが、今年はなんと約50%の生徒が90点以上というめざましい成果が出ています。
また、小学校の計算検定でも80点以上をとる児童の割合は、以前は80%に届きませんでしたが、今では、全ての学年で90%をこえていて、平均しますとなんと約97%もの児童が80点以上の合格となっています。

更に、川島先生によりますと、「脳の前頭前野を鍛えることは、このような学力の成果だけではなく、感情の安定やコミュニケーション能力の向上、集団生活への適応、といった心の成長にもつながっていく」そうです。実際、「おの検定」を通して家庭や学校での家族や友人、先生とのコミュニケーションも増えていています。また、勉強への自信を取り戻すきっかけ作りにもなっていて、「連続2日休めば家庭訪問」という全学校をあげての取組みと相まって、市内の不登校の生徒が約6割近く減った要因の1つとなっています。こういった、子どもたちの心の成長を図っていくこともねらいの1つであります。

加えて、全ての学校でこのような成果の表れてきた“脳科学を取り入れた教育”を福祉部門と連携させた取り組みもスタートしています。市内全ての保育園や幼稚園では前頭前野の発達に良いと言われている“読み聞かせ”や“数あそび”を重点的にとりいれているほか、教育委員会の職員自らも保育園や幼稚園、また、産まれる前から始まる子育て教室などのお父さんやお母さんたちが多く集まる場所に出向き、子どもとのコミュニケーションのとり方や、ふれあいの重要性を脳科学の視点から説明を行なっています。

このように、一貫した理論のもとに、生まれる前から義務教育を終了するまでの16ヶ年にわたる教育を展開するのは全国でもめずらしい取組みのようで、川島教授からも高い評価をいただきました。現在、脳科学の視点から前頭前野を鍛えることの重要性や小野市の取り組みをまとめたリーフレットを作成中で、4月以降に市内に全戸配布を行なう予定です。
心と学力をともに育てていくことをねらった16ヶ年にわたる取組みは、必ずや将来を担う子どもたちにとって大きな財産になるものと思っています。行政、学校、地域、家庭が一致団結して取組んでまいりたいと考えております。

2007年3月14日(水曜日)

小野市の議員の「口利き」対策は「多様な広聴の仕組み」

神戸市議による汚職事件に端を発した市議会議員のいわゆる「口利き」対応が連日のように新聞等で取り上げられています。多くの自治体では、「口利き条例」の制定など議員からの働きかけを記録する制度を導入されていますが、記録の対象になるものは、それぞれ自治体によって基準が違っているようです。「不当な働きかけ」などに限定しているところもあり、新聞によれば、そのような自治体では不当な働きかけと意見、苦情などの区別があいまいで、記録件数ゼロというところもあって、制度の導入が意味をなさないところもあるようです。記録するかどうかの判断を職員に任せるような制度では成果はでません。

小野市では、既にご承知のとおり、8年前から「市長への手紙」をはじめとする「多様な広聴の仕組み」を構築しております。すなわち、市民からの意見は、自治会長さんであろうと、子どもであろうと、お年寄りであろうと、そして、議員さんであろうと、また、手紙であろうと、メールであろうと、電話であろうと、全て受け付けして記録し、私が全て拝見した上で、全庁的に検討させ、全てに文書で回答するというシステムであります。

議員さんからの要望や意見であっても、一般市民と同じ一つの意見として取り扱い、加えて、全庁的に検討して回答いたしますので、誰が言ってこられた意見なのかで左右されることはありません。確立した仕組み、システムでありますので、私が市民からお聞きした意見であっても、「(受付者)市長」で登録しなければなりません。このような仕組みを構築してからは、小野市では議員の「口利き」といわれるものはなくなりました。

市民からの意見は、全て記録してカード化し、データベースで管理しております。現在までに寄せられた市民等からの意見は約5,500件にも達しておりますが、そのうち議員さんからの意見(不当な働きかけではなく、要望や提案です)は、僅か20件余りです。市民の間にもこのような「多様な広聴の仕組み」が浸透しているためか、議員さんを通じなくても、直接「市長への手紙」などを出せばよいと思われているのかもしれません。

昔は、いわゆる「口利き」は議員の大きな仕事?の一つといわれていましたが、本来の議員の役割をもう一度原点に立って見直し、再構築をしなければならないときを迎えていると感じております。

重要なことは、きちんとした仕組み、システムを構築し、加えて、その仕組み、システムがしっかりと稼働するように厳然と管理しなければ成果はでないということであり、そのためには、首長自らがリーダーシップを発揮することが不可欠であると確信いたしております。

2007年3月7日(水曜日)

春風到来!住民主体の“地域づくり協議会”活動

大きな神輿を女性たちで担いでいる女性神輿の写真

小野地区地域づくり協議会の取り組みによる「おの陣屋まつり」が3月3日(土曜日)、4日(日曜日)と2日間にわたり開催されました。

会場となった“おの商店街”の歴史は古く、今から約350年前にまでさかのぼります。江戸時代、小野藩一柳家の陣屋が現在の小野小学校のある場所に築かれたのをきっかけとして、その御用商人であった三宅清昌(みやけせいしょう)を中心に、周辺村々から多くの有志が集まって地域住民の手によって作られ、小野市の伝統産業である算盤や金物の商店などを中心に栄えてきました。1万石の大名の陣屋町としては大規模で、このように現在まで発展してきた例は全国的にも大変珍しいそうです。

小野地区地域づくり協議会では、この商店街の歴史やその魅力をより多くの方に知ってもらい、住民主体でつくられた商店街で地域の誇りを復活させようと昨年から「おの陣屋まつり」を開催されています。商店街の空き店舗を利用した模擬店、様々なサークルの作品展示、小野産小麦“ふくほのか”や“酒米山田錦”を使った「うまいもん市」など、その計画から警備の打ち合わせ、のぼりを立てたり、広告を作成したりと、全て自分達の手で行なわれています。2回目の開催となる今年は、元気いっぱいの女性神輿など新たな催しも増え、2日間で昨年よりも多い約18,000人の方で賑わいました。

大勢の大人たちが参加して綱引きをしているかわいの大運動会の写真

また、3月4日(日曜日)はこの小野地区だけでなく、河合地区でも地域づくり協議会が中心となって「かわいの大運動会」が開催されました。地域をあげてみんなが参加できるものをと、今年新たに取組まれたイベントであります。会場には約1,500人の方が集まり、それぞれの町単位で得点を競い合う、まさに大運動会となりました。

小野市では、平成12年からコミュニティセンターを順次リニューアルして地域における市民活動の拠点施設として整備をするとともに、平成16年からはそこを拠点に意欲ある活動をされている各地域づくり協議会に対して、用途を規制せずにその活動費の助成や、また活動に対するアドバイスなども行ってまいりました。地域づくり協議会の活動も年を経るごとにその経験やノウハウも蓄積され更に大きな活動へと発展しています。

小野地区や河合地区のほかにも、来住、市場、大部、下東条それぞれの地区で文化祭、やスポーツ大会など、地域をあげた取り組みが次々と展開されています。また、花の植栽や地域の防犯パトロール、広報誌の発行など、自ら考え、活動されているその取り組みの数は、昨年は37件、今年は47件にものぼっています。特に、昨年のあの国体での“民泊”を通して生まれた新たな交流、そして、そこで培われた大きな地域の団結力は地域づくりの新たな原動力となっていると感じています。

両会場での賑わい、また、皆さんの生き生きとした表情を拝見しておりますと、このような「賑わいづくり」を目指した取り組みがどんどんと広がってきたことで、自分達の住んでいる地域への「誇りづくり」、そして地域を愛する「愛着づくり」が徐々にではありますが進んできているのではないかと思いました。市民の皆様方の「地域を良くしていきたい」というその思いに応えるべく、地域住民、NPOや企業そして、行政が共に考え、共に行動し、一致団結して「21世紀に雄飛するエクセレントシティおの」をつくってまいりたい、そんな決意を改めていたしました。

2007年2月28日(水曜日)

これからの活躍に期待!「小野市スポーツ賞」表彰式

先日、この1年間様々なスポーツの大会において優秀な成績を収められた選手や、その選手を育成された指導者の活躍を称え「小野市スポーツ賞」の表彰式を開催いたしました。
この小野市スポーツ賞はスポーツの振興と競技力向上をねらって、昭和50年に制定いたしまして、今年で34回を迎えます。

この1年を振り返ってみますと、小野市では、まさにスポーツに関する話題の尽きない1年でありました。なんといっても、50年ぶりに兵庫県で開催された国体で小野市では成年男子6人制バレーボール競技を開催しましたが、市民が1つになって一致団結して取り組んだ結果、数々の思い出と感動を生み、小野市流の感動国体を実現することができました。今でもあの感動がつい昨日のことのように思い出されます。

そして、その国体では小野市からも多くの選手が活躍されました。開会式で全選手を代表して選手宣誓を行い陸上競技女子1500メートルで優勝した小林祐梨子さん(須磨学園高等学校3年生)をはじめとして、なんと4人の方が国体で優勝、日本一となりました。ボウリングで優勝した中上佐代子さん(会社員)、ウェイトリフティングの3種目で優勝した門脇創一さん(日本大学4年生)、女子剣道兵庫県選抜チームで優勝した小西真理さん(小野高等学校教諭)です。また、小林さんは同種目でなんと1年間に2度も日本記録を樹立されたほか、カタールのドーハで行なわれましたあのアジア大会で銀メダルに輝くなど国際大会でも活躍されています。

今年、この4名の方に、小野市スポーツ部門での最高の賞であります「井上増吉賞」を贈りました。「井上増吉賞」は昭和15年の東京オリンピック(戦争のため返上)の出場候補でもあった井上増吉氏の陸上競技選手時代の数々の栄光や県内外スポーツ界での指導者としてのご功績を称え、また、これらを目標にしていただくことをねらいとして設けた賞です。
この他にも、「スポーツ大賞」「スポーツ勲功賞」「スポーツ選手賞」の4つの賞を設けていています。受賞者はこれまでで一番多い、132名(個人種目48名・団体種目84名)となりました。

「小野市スポーツ賞」を設けてから、34年、段々と小野市のスポーツのレベルも上がってまいりました。国体をはじめとした全国レベルでの優勝、日本記録の樹立、さらに国際大会でのメダリストも誕生しました。また、着々と実力を付けてきている小中学生、高校生の活躍も目覚しいものがあります。県大会や近畿大会での優勝、など、トップアスリートが続々とこの小野市から誕生し、更に大きく羽ばたこうとしています。多くの選手達のその活躍に大変勇気づけられるとともに、近い将来、必ずやこの中からオリンピックに出場する選手も出てくるのではないかとそんな大きな期待をしています。

また、当日は、あのバルセロナとアトランタオリンピックの女子マラソン競技メダリストの有森裕子さんをお迎えして、講演をしていただきました。「自分でできるものを何か1つ見つけて全力で頑張ること、人は過去の実績や素質ではなく、いつも手を伸ばして何かをつかもうという強い意志をもって行動することが大切なんだ」というその力強いお話に大変感銘を受けました。

賞を受けられた皆さんには、より大きな舞台で、どんどんとチャレンジしていただき、この小野市を全国に、そして世界に発信していただきたいと思います。これからの活躍に心からエールを贈ります。

2007年2月21日(水曜日)

更なる安全安心を目指して

寄付された安全安心パトロールカーの前で小野ライオンズクラブの人と市長が握手をしている写真

先週、小野ライオンズクラブから、青色回転灯を搭載した「安全安心パトロールカー」を1台小野市に寄贈していただきました。市ではこれに加えて更に1台増車する準備を進めています。平成16年にスタートし、専用車3台で市内のパトロールを行なっております「安全安心パトロール」が、今年の4月からはいよいよ5台体制になります。

「安全安心パトロール」は、現在、市内3つのコースに分かれてパトロールを行なっています。子どもたちの登下校の時間帯には、学校の通学路周辺を中心にパトロールを行なったり、日中は住宅街や駅周辺などを中心に巡回をしています。1台あたり1ヶ月で約2000キロメートル、これまでに3台が走った距離は2年半で延べ約15万キロメートルにものぼります。

そのルートは単に思いつきや、いつも同じところを巡回しているのではありません。犯罪発生件数や交通事故件数などをグラフ化して定期的に分析を加えパトロールのルートに反映させているほか、随時寄せられる警察や地域の住民からの情報をもとに、即座に予定のルートを変更したり、1つの地区を重点的にパトロールを行なうなど状況に応じてフレキシブルに、臨機応変に対応をしております。そういったこともあって、同じ場所を何度何度も巡回したり、時には急にスピードをあげて走っていくパトロールカーを見かけられたこともあると思います。

そして、警察官OBを中心としたパトロール隊員もまさにプロの視点でパトロールを行い、巡回の途中で車を止めて何か変わったことはないか積極的に市民に話しかけ情報の収集にも努めています。不法投棄の監視、老人クラブなどへの防犯指導、時には迷っている人の道案内や、脱輪をした車の救助などを行うこともあります。パトロールの間に積極的に市民とのコミュニケーションも図っています。1日の終わりにはその日にあった出来事や気付いた事などを、全てきちんと日誌にまとめ、翌日のパトロール員に引継いでいます。
現在では、市民の方から直接パトロールカーや市民安全部に不法投棄や悪質な訪問販売に関する情報や相談など日常生活の中のちょっとした変化についての情報も寄せられるようになってまいりました。

また、市民の間でも防犯に対する自己責任や自己防衛の意識も高まってまいりました。自治会や小学校区等で防犯グループも次々と結成され、結成率も県下の平均が75%という中にあって小野市では100%を達成しています。

4月からは5台体制となるのにあわせ、警察官OBを中心としたパトロール隊員も現在の6名から10名に増やします。より細やかに、より広範囲に、より重点的なパトロールを行なってまいります。また、これまで週3日間行なっていた夜10時近くまでの夜間パトロールも週5日間に拡大していく予定です。

パトロールカーや行政の取組みだけでは安全安心は実現できませんが、安全で安心なまちにしたいという市民の皆様方の切なる願いに応えるべく、引続き行政が率先して行動で示し、警察と連携をとりながら、市民の皆様と一体となって安全で安心な小野市をつくってまいりたいと思います。

2007年2月14日(水曜日)

小野市への大きな大きな“お年玉”≫

先月、新聞でも報道されましたが小野市民病院に1億円の寄付をいただきました。このような多額の寄付はまさに小野市の歴史始まって以来のことであります。

寄付をしていただいたのは、加西市に住んでおられる吉田完次さんとそのご兄弟4人の方であります。更に、この1億円の他に、小野市内の土地なども小野市へ寄贈したいとの申し出をいただき、その額は全部でなんと2億円以上にものぼるのではないかと思っております。

昨年亡くなられた吉田さんの妹さんが、小野市民病院に入院されていたことがあり、生前、「小野市民病院にとてもお世話になったので財産を小野市に寄付したい」といつも言っておられたことから「妹のその思いを汲むことが本人の遺志を生かすことになる」と、ご兄弟全員で話し合われたようです。吉田さんからは、「お世話になった小野市民病院で市民の健やかな体づくりや、また、土地については豊かな楽しい暮らしのために活用していただければ故人も喜ぶと思います」との申し出をいただいています。

5人ものご兄弟全員が一致してこのように多額の寄付を決められたそのご厚情に大いに敬意を表するとともに、加えて、こつこつと蓄えられたその貴重な財産を「市民の皆さんのお役にたててほしい」と申し出ていただいたことに大変感激をしたところであります。これも裏返せば、小野市民病院や、小野市の市政に対しご理解を賜っている証ではないかなと思っています。

寄付していただいた1億円は小野市民病院において高度医療機器である最新のCT装置などの購入に充てる予定です。小野市民病院では今年の1月に13年間使用したMRI装置を最新のものに替えたところで、一度にどちらも最新の機器となることで、様々な病気やケガの検査、また、病気の早期発見などに大きな効果を発揮することになります。購入する最新のCT装置は4月から稼動する予定です。ご遺族の方のその尊い思いを大切にし、市民の更なる健康保持に役立ててまいります。

この他にも、ある市内の方からも「市の福祉政策に役立てほしい」と200万円の寄付もいただきました。

貴重な財産を寄付していただくことになったその熱き思い、熱き願いに報いるためにも「住んでよかった」「住んでいることを誇りに思える」そんな小野市の更なる飛躍を、市民の皆様とともに進めてまいる決意を改めて強くいたしました。

2007年2月7日(水曜日)

市長3期目の初登庁にあたって

2月7日、本日、市長3期目の初登庁を致しました。
朝、市庁舎玄関で市議会議員さんや市職員の出迎えを受け、心機一転、新たな気持ちで仕事を始めました。これから、全職員に対して訓示や市議会議員さんへ3期目就任にあたっての抱負を述べることに致しております。

8年前、あの未曾有の汚職事件により市役所内も混乱し、市職員も意気消沈していたと思います。加えて、「小野市を変えよう」と、行政には素人の民間のサラリーマンが市長に就任したものですから、多くの職員には戸惑いもあったようです。

基本的な考え方は、「理念なくして意識改革なし、意識改革なくして行動なし」でありまして、職員の意識改革を行うためには、トップ自らがその基本理念をきちんと示すことが重要であります。

「市役所は、市内最大のサービス産業の拠点」と位置づけ、「行政もまさに経営」であり、「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を追求することが行政に携わる者の使命であると言い続け、「出る杭は打たれるのではなく、出ない杭は地中で腐るしかない」と職員に檄をとばしてきました。
しかし、掛け声だけでは成果は出ません。それを実現するための仕組み、システムの構築が不可欠であります。

「市長方針を組織としていかに具現化していくか」、そして、「市民のニーズをいかにつかみ市民満足度の向上へつなげていくか」。そのためのツールとして、小野市では、「小野市型方針管理制度」を構築致しました。すなわち、市長方針を頂点として、それを実現するために部長、課長、係長へブレイクダウンして、それぞれが具体的目標を立て、PDCAのマネジメントサイクルを展開して、結果とそのプロセスを評価し、改善を進めながら組織全体として市長方針の達成を目指すというシステムであります。

また、市民のニーズをつかみ市民満足度の向上へつなげていくために、「情報は市民の財産」という認識のもと「多様な広聴の仕組み」も構築致しました。市民などからの要望、苦情は、匿名であろうと、些細なことであろうと、年間を通して受け付け、全て私が拝見したうえで、全て文書で回答するという仕組みであります。そのねらいは2つです。一つには市民の意見を市政へ反映させること、そしてもう一つは、匿名であっても回答文書を作成させることで職員の問題解決能力を醸成することであります。今までに寄せられた市民からの意見は5,000件を超えます。

このような取り組みにより、県下29市中、最少の職員数で、他市にない独自の施策を実施するなど、職員の意識や能力も向上し、成果を出せるようになってまいりました。

この度の連続無投票というのは小野市の歴史始まって以来のことであり、ある意味ではこれまでのそのような行政運営に対して、市民からご信任をいただいたものと思っております。

しかしながら一方では、無投票で表面化しなかった市民の“声なき声”を市政にどう反映させていくかということが、求められる今後の大きな課題であると認識を致しております。現状に満足することなく、もう一度原点に立ち戻って、市民の“声なき声”をより掘り下げ、更なる市民の目線にたった市政運営を職員と共に進めてまいりたい、そのような思いで職員へ訓示をしたいと考えております。

2007年1月31日(水曜日)

「更なる創造的変革」へチャレンジ

市長3期目を迎えるにあたって、今後の目標とする主な政策は次の7つであります。そして、それを実現するために具体的な「50項目の目標」を考えております。

  1. 美しいまちづくり
    • 市民、観客、選手が一体となった「小野市流感動国体」を契機とした参画と協働の更なる実践
    • 市の玄関口、主要交差点などのポケットパークの充実 など4項目
  2. 社会資本の更なる充実
    • ほぼ100%完了した市道の舗装を生活道路の舗装へ拡大(下水道整備もほぼ100%完了)
    • JR4駅の整備に加え、残る北播磨の基幹駅 JR粟生駅の整備と賑わいの創出
    • また、市内全てのJRの駅改修整備に続き、神戸電鉄樫山駅、市場駅周辺の整備 など8項目
  3. 安全安心のまちづくり
    • 県下で初めて、縦割り行政の弊害をなくし関連業務を集約一元化するとともに、県警本部から現職警視を招聘し、警察官OBも採用した市民安全部による安全安心パトロールの増強(青色灯パトロール車を3台から5台へ増車)-内1台は小野ライオンズクラブから寄贈していただきました。
    • 通学路の防犯灯の設置と行政、警察、市民、企業ぐるみの更なる安全安心まちづくりの推進 など3項目
  4. 子育て支援、高齢者、障害者対策の充実
    • 県下初の小学3年生までの医療費完全無料化を更に小学6年生まで拡大
    • 小学生以下、65歳以上運賃無料の年間5万人が利用するらんらんバスの運行に加え、要望の多いデマンドバスの試行運転
    • まちの子育て広場の整備又は支援
    • 障害者自立支援に係る低所得利用者の負担軽減 など6項目
  5. 先進的な教育の展開
    • 人権教育の再構築と「いじめ対策」の強化(組織を再構築した仮称「ヒューマンライフグループ」の創設)
    • 全国から注目されている「おの検定」の検証と更なる拡充
    • 貸出冊数7年連続日本一を誇る小野市立図書館の更なる充実(AVライブラリーの整備) など6項目
  6. 健康づくり、コミュニティづくり、賑わいづくりの展開
    • オープン2年半で100万人の入湯者を達成した「白雲谷温泉ゆぴか」の拡張(温浴施設、交流施設の増築)
    • 町ぐるみ健診に加えフォローの更なる充実などHP(健康保持Health Preservation)の実践
    • 小田地区の里山林整備と里山ハイキングロード小野市一周計画の推進
      (かわい快適の森~きすみの見晴らしの森~こだまの森)
    • 年間100万人が訪れる「ひまわりの丘公園」~北池~「国宝浄土寺」という点を線でつなぐ観光アクセスの整備
    • 市役所から大池総合公園に至るシビックゾーンの充実 など16項目
  7. 更なる行財政改革
    • 7年間で年間市税の約1.8倍に当たる約120億円の経費節減を達成したところであるが、更なる行財政改革により今後4年間で50億円の経費節減を目指す。
    • 「官と民の役割分担」の再構築を行い、引き続き県下最少の職員数で市民満足度の最大化を目指す
    • 職員のモチベーションを高める能力成果主義への完全移行
    • 組織があって機能があるのではなく、機能があって組織があるという観点からゼロベースでのフレキシブルな組織の再構築 など7項目

その基本的な考え方、すなわち、行動指針は、「い、ろ、は」と「3Cの成果の追求」であります。
「い、ろ、は」の「い」は、「意識改革なくして行動なし」。今まではこうであったという前例を踏襲することなく、かくあらねばならんという固定観念から脱却する「現状打破と新たな創造」であります。「ろ」は、「論ずるより行動」。出る杭は打たれるのではなく、出ない杭は地中で腐るしかないという信念でネガティブ(後向き)ではなくポジティブ(前向き)に行動し、そして成果を出すことであります。「は」は、「反省なくして改善なし」。結果だけではなくそのプロセスも検証し、絶えずゼロベースの発想でチャレンジし続けることであります。

そして、3Cの1つ目のCは、Customer satisfaction「顧客満足度志向の徹底」のCであり、2つ目のCは、Collaboration「参画と協働の推進」のC、3つ目のCは、Challenge「新たな創造と変革」にチャレンジするCの実践であります。

初心を決して忘れることなく、絶えず市民の目線に立って、この「い、ろ、は」の実践と「3Cの成果の追求」を行動指針に掲げ、心豊かな暮らしやすいまち「ハートフルシティおの」実現に向けて、「更なる創造的変革」へチャレンジしてまいりたいと考えております。
 どうか皆様方の絶大なるご支援、ご協力を賜わりますようお願い申し上げます。

2007年1月24日(水曜日)

「もっと変えよう小野、もっと変わろう小野市」-初心に立ち返って-

この度、引き続いて小野市政を担当する栄誉を与えていただき、その責任の重大さを痛感し、身の引き締まる思いであります。
思い起こせば、8年前、雪の降る、凍りつくような真冬の日が市長選挙の告示日でありました。あの未曾有の汚職事件により、小野市政もまさにそのような天候と同じでありました。

長年勤めた会社を敢えて辞め、「民間の感覚と感性を市政へ」と、知名度のない民間のサラリーマンが市長選挙に出馬いたしました。政治家になるために必要なものは、地盤、看板、カバンの3つと言われておりますし、また、首長は行政経験者でなければ務まらないと言われておりました。今では、民間出身の首長も多くなりましたが…。

しかし、長年、会社勤めしか経験のない私にとっては、名前も顔も知られておらず、まして、初めての選挙でありました。その時、支援していただいたのは、地元の人や勤務していた会社の方を中心としたいわば一般市民の方々でありました。あのときの市民の皆様の熱き声援を今も忘れることができません。

未曾有の大混乱から立ち直り、小野市民として胸を張れる小野市にしたい、私は、「小野市を変えよう」と強い決意で、2期8年間、全力で市政運営に邁進して参りました。

そして、「行政も経営」という基本理念のもと、「行政経営4つの柱」、すなわち1つ目は、市民=顧客と捉えた「顧客満足度志向」、2つ目は、何をやっているのかではなく何をもたらしたかを問う「成果主義」、3つ目は、ここしかない小野らしさ、持ち味を生かした「オンリーワン」、そして4つ目は、言われてからやるのではなく言われる前にやる「後手から先手管理」への転換という、この「4つの柱」を基軸として、様々な政策を実施してまいりました。あっという間の8年間でありました。

市政を担当して2期8年を終え、「小野市も随分変わった」といった市民の声をお聞き致しますが、この度再び、その当初の志、初心に立ち戻って考えれば、あのときの市民の期待や要望に応えるためには、まだまだ道半ばと感じております。

加えて、この8年の間にも、時代は日々変化してまいりました。激動するこれらの社会経済情勢にあって、好むと好まざるとにかかわらず、今や自治体間競争も避けて通れない時代を迎えております。小野市が単に生き残りではなく、勝ち残るためには、時代の変化にフレキシブルに、かつ、スピーディーに対応できる力強いリーダーシップを発揮することが不可欠であると考えております。

皆様から引き続き市政を担う負託を受け、もう一度原点に立って、「もっと変えよう小野、もっと変わろう小野市」と、新たな決意で、全力で行政運営に取り組んでまいる所存であります。

次回は、市長3期を迎えるにあたって、今後の目標をご紹介致したいと思います。

2007年1月17日(水曜日)

世代を超えた交流 ~小野市独自の2つの成人式

先日、神戸新聞の投稿欄“イイミミ”に「小野市が65歳を“第2の成人”と考え成人式をしていただける。今年で7回目、私も参加させてもらいます。3歳のときに大阪の空襲で生き埋めになり、九死に一生を得ました。でもその空襲で私を守ってくれた母を亡くして。きっと私たちの身代わりになったのかも。母が元気だったら、今の幸せな私を祝福してくれるかな。65歳の“成人式”楽しんできます。」という参加者からの投稿が掲載されていました。

これからいわゆる団塊の世代が定年を迎え、超高齢化社会へと進んでまいります。その中で、小野市では65歳を迎えられた方にこれからの第2の人生が「生涯青春」の契機となり、また、「新たな人生の再出発」となることを願い7年前から65歳第2の成人式「エイジ・ルネサンスパーティー」を行っています。当日の企画や準備、受付等についても65歳を迎えられた12名の実行委員さんが中心となって自らの手で行われています。全国的にみてもこのような取組みを行われているところはあまりないようで、1人でも多くの方に人生の節目として喜んでいただいていることを大変うれしく思っています。

ステージの上でトークショーを行っているエイジ・ルネサンスパーティーの写真

このパーティーのメインは、第6代目上方落語協会会長で、昨年11月に「紫綬褒章」を受章されましたあの桂三枝さんに第1回目から続けてトーク・コーディネーターとしてご協力をいただいているトークショー「サン・ステージ」です。「思い出に華、人生に実りあり」をテーマに、65歳を迎えられた5名の方にそれぞれ思い出深い写真とエピソードを交えての自分史を、桂三枝さんと楽しく愉快に語り合っていただきました。テレビ番組「波乱万丈」や「新婚さんいらっしゃい」のような感じで笑いあり涙ありと、参加された多くの方々に喜んでいただきました。この他にも、長寿を願った琉球舞踏や、会食を楽しみながらのピアノとマリンバ(木琴の一種)の演奏、子どもたちのコーラスなどもあり、明日からの活力にしていただけたものと思っております。

また、今年、この「エイジ・ルネサンス」には、先週20歳の成人式を迎えられた方も自主的に手伝いに来られ予想外の出来事に実行委員さんも喜ばれていました。小野市では、20歳の成人式も「エイジ・ルネサンス」と同じく7年前から、全て自分達で行う完全な手作りの成人式を行っています。成人を迎える若者達自らが主体性をもって取り組むことで、県下の成人式への参加率が平均約70%前後という中、毎年80%を超えるようになり、文部科学省が後援を行っている新成人研究会主催の「成人式大賞」において、平成15年に県下で初めて成人式大賞奨励賞を、平成16年には成人式大賞優秀賞、そして昨年は成人式大賞審査委員会特別賞に選ばれています。
「エイジ・ルネサンス」の実行委員さんからも20歳の成人式当日に祝福のビデオメッセージを贈るなど、2つの成人式をとおして、世代間の交流も生まれつつあります。

小野市独自のこの2つの成人式をそれぞれ“成人”を迎えられた方が知恵と工夫を絞り自分達の手で作られたことに大きな意味があると思います。そして、皆さんの生き生きとした姿を拝見し、市民の皆様が明るく輝き、そして、ますます元気な小野市となるように、「21世紀に雄飛するエクセレントシティおの」の実現を目指し、行政運営に邁進していく思いを更に強くしたところです。

2007年1月10日(水曜日)

今年のキーワードは、「イノベーション」(社会全般の革新)!

平成19年(2007年)元旦から、神戸新聞に「自治包囲網」と題して、人口減や少子高齢化、財政難など、かつてないほど様々な危機に直面している自治体の課題と、自立へ向けた取組みの事例が兵庫県下の市町の現場を中心に、シリーズで掲載されました。小野市の取組みも紹介されましたが、それはただ単に課題としてではなく、小野市ではどのようにその課題に対して取り組んでいるかという小野市の改革の手法とそれに基づく8年間の成果の一端が紹介されました。改革の手法の基本となるツールは、PDCAのマネジメントサイクルを展開し、成果だけではなく、そのプロセスも評価するという小野市独自の「方針管理制度」であります。

この十数年の間に世の中は大きく変わりました。民間企業では高品質の商品やサービスを安価で提供するために事業、組織、仕組みなどあらゆる企業活動の分野において大変な痛みを伴う再構築、いわゆるリストラクチャリングが進められました。そして、国内だけでは企業活動が成り立たないと安価な労働力を求めて世界へ進出しました。世界を股にかけた企業活動を展開するためには「グローバルスタンダード」の会得は不可欠であります。

次に言われたのが「CSR」(Corporate Social Responsibility)、いわゆる企業の社会的責任であります。企業もまた利益や利潤だけを追求するのではなくて、社会的責任を果たしていかなければならないということです。

そして、今年になって出てきた言葉が、「イノベーション」(技術革新)であります。日本は、工業立国として、また、技術立国として今日まで栄えてきました。海外へ進出してコストは安くなり、血の出る思いのリストラにより日本経済も再生しましたが、しかしながら、2015年には中国経済が日本経済を抜き、2020年には世界経済の中心が中国とインドに移ると言う人もいます。2国合わせた人口が世界人口の約4割近くにも達するということがその根底にあります。

そのような中にあって、日本がこれからも世界の中で生き残るためには、技術立国としての日本の持ち味を生かし続けなければなりません。ところが、その技術立国を支えてきた人たち、特に団塊の世代の人たちが大量に退職されていく中で、その人たちの価値、その人たちが持っていた能力、結局、「人間力」ということになろうと思いますが、その力がどれだけ大きかったかということを改めて認識すべきであります。

ここに来てまた、大きな時代の変化、流れが出てきているように感じています。超少子高齢化社会に突入するにあたって、もう一度原点に立って、更なる高付加価値の製品、サービスを目指すために、まさに「イノベーション」(技術革新)が求められる時代となったわけであります。

このことは、まさに行政も同じであります。イノベーションとは、技術革新のことでありますが、技術だけにとどまらず、医療、福祉、介護、教育などあらゆる分野での革新が求められるということです。
企業活動もしかり、行政もしかりであります。ずーっと同じような流れではなくて、その時代に応じて、ニーズに応じて、状況に応じて、我々の思考回路をフレキシブルに柔軟に変えていくことが大切であります。

一時、小泉政権のもとで「官から民へ」とまるで流行のように言われました。第3セクターの破綻例は多いわけですが、最近導入された指定管理者制度も既に行き詰まっているところも現れています。大事なことは、民と官の特性を生かして、「官と民の役割分担を明確にすること」であって、必ずしも官から民へもっていくのが全てではないということです。

小野市では2005年、「行政革新度」人口規模別ランキング全国第1位と評価されましたけれども、次は、やはり「人」であります。人材育成を含め、新たな「行政手法のイノベーション」に着手し、自治体間競争に負けない、生き残りではなく、勝ち残りをめざして「更なる創造的変革」にチャレンジしたい、そのような思いを新たに致しております。

2007年1月3日(水曜日)

更なる「い、ろ、は」の実践に向けて

新年明けましておめでとうございます。新年の門出をご家族お揃いでお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年12月の市議会定例会において、平成19年度から、「小学6年生までの医療費の完全無料化」の実施と「いじめ担当課」の新設を今後の具体的施策の一つとして、議員の一般質問に対する答弁としてお話したところ、それぞれ発表した翌日には、2日連続にわたって新聞の一面記事で取り上げられ、その反響の大きさに大変驚きました。

「小学校6年生までの所得制限なしの医療費完全無料化」については、既に小野市では、昨年より県下各市町に先駆けて、「小学3年生までの所得制限なしの完全無料化」を実施しておりますが、市民からの更なる要望に応え、小野市独自の子育て支援の拡充を図ろうとするものであります。今後も更なる徹底した行財政改革を実施し、それらの財源を確保したいと考えております。

また、昨年から大変大きな社会問題となっている「いじめ対策」については、既に、小野市教育委員会において、いじめ問題を脳科学の視点で捉えた小野市独自の対応マニュアルを作成し、それに基づき学校現場でその実践を行っております。

しかし、人権侵害の具体的な事象の一つが「いじめ」であるという観点から、「いじめという具体的な問題に焦点を当てながら、人権問題全体を考える組織づくりが必要である」という逆転の発想により、「人権教育の再構築が不可欠である」と判断を致しました。

そして、組織があって機能があるのではなく、機能があって組織がある、機能とは果たすべき役割のことでありますが、そのような本来の組織論の原点にたって、子どもの「いじめ」だけでなく、高齢者の虐待やDVなど、人権問題に関する情報を迅速に収集し一元化して迅速に対応するために、その担当部署を従来型の教育委員会にではなく、教育部門から独立させた市長部局に設置することと致しました。

全国的にもそのような例はないそうでありますが、ねらいは、市も本気で取り組もうとしていることを市民に見える形で示すためであり、新たなチャレンジであります。

これからの小野市の方針は、次の「7つの政策」であります。

  1. 美しいまちづくり
  2. 社会資本の更なる充実
  3. 安全安心のまちづくり
  4. 子育て支援、高齢者、障害者対策の充実
  5. 先進的な教育の展開
  6. 健康づくり、コミュニティづくり、賑わいづくりの展開
  7. 更なる行財政改革

そして、それを実現するために具体的な「50項目の目標」を考えております。この度ご紹介しました「小学6年生までの医療費の完全無料化」の実施と「いじめ担当課」の新設という取組みは、その「50項目の目標」の一部であります。残りの48項目については、今後ご紹介する予定であります。

その基本的な考え方、すなわち、行動指針は、「い、ろ、は」であります。
「い、ろ、は」の「い」は、「意識改革なくして行動なし」。今まではこうであったという前例を踏襲することなく、かくあらねばならんという固定観念から脱却する「現状打破と新たな創造」であります。
「ろ」は、「論ずるより行動」。出る杭は打たれるのではなく、出ない杭は地中で腐るしかないという信念でネガティブ(後向き)ではなくポジティブ(前向き)に行動し、そして成果を出すことであります。
「は」は、「反省なくして改善なし」。結果だけではなくそのプロセスも検証し、絶えずゼロベースの発想でチャレンジし続けることであります。

今後も引き続き、「行政も経営」という基本理念と「行政経営4つの柱」を基軸として、この「い、ろ、は」の実践を行動指針に掲げ、「更なる創造的変革」へチャレンジしてまいりたいと考えております。

但東町が生んだ教育者の故東井義雄先生は「太陽は夜が明けるのを待って昇るのではない太陽が昇るから夜が明けるのだ」といわれました。当たり前のことでありますが、しかし、私は、太陽とは何か、それはまさに市民だと思います。その市民自らが太陽となって昇れば、新しい世界、夢や希望の世界が開けるものと確信を致しております。新年を迎え、市民の皆様と共に「21世紀に雄飛するエクセレントシティおの」の実現を目指し、行政運営に邁進したいと考えております。市民の皆様のご健勝とご多幸を祈念して新年のご挨拶といたします。

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