2007年4月~6月分のバックナンバー

更新日:2022年02月12日

2007年6月27日(水曜日)

「市長への手紙」お待ちしております

今年も、いよいよ来週から「市長への手紙」を始めます。この「市長への手紙」は、ご意見・ご提案の“強化月間”として毎年7月、8月の2ヶ月間実施をしているもので、今年で9年目を迎えます。

ご意見ご提案を記入していただく“はがき”は、7月1日から8月31日までの間、市内の公共施設や、郵便局、コンビニ、スーパーなど市内全42箇所に設置いたします。“はがき”の表には、市役所宛ての住所がすでに印刷してあります。また、郵送料も無料となっております。裏面にご意見、ご要望を記入してポストに投函していただくだけで市役所に届くようになっています。是非、日頃の生活の中でお気づきになったご意見なり、ご提案なりをお気軽にお寄せいただきたいと思います。

小野市では、「市民=顧客」の立場に立って、従来どこへ言ったらよいのかわかりにくかった要望や苦情、様々なご提案などを組織として1箇所でお聴きするため、平成11年に「市民サービス課」を設置いたしました。そして、「情報は市民の財産」という認識のもと「広報広聴の多様な展開とシステムづくり」を実施し、皆様からのご意見は、年間を通して受付けております。この「市長への手紙」をはじめ、メール、電話など様々な方法でお聴きし、その都度全てにコードナンバーを付けて内容をカードに入力しています。そして、まず私が全て拝見させていただいたうえで、全庁的に検討して、「長期的に検討するもの」「短期的に実施するもの」、「直ちに対応するもの」、「国や県に権限があり市ではできないもの」、「住民自らが行なっていただくもの」、「対応できないもの」などに分類して対応しております。

そのため、議員の皆さんからの意見であっても、子どもやお年寄りからの意見であっても、自治会長さんからの意見であっても、どれも平等に一般市民と同じ一つの「意見」として取り扱い、「誰が言ってこられた意見なのか」ということで左右されることはありません。当然、私が市民からお聞きした意見であっても、「受付者=市長」で登録しております。このような仕組みを構築しておりますので、新聞等で話題になっております議員の「口利き」といったことは小野市ではありません。市民の間にもこのような「多様な広聴の仕組み」が浸透しているためか、議員さんを通じなくても、直接「市長への手紙」を出せばよいと思われているのかもしれません。

そして、記名の意見であるか匿名意見であるかにかかわらず、全てに文書で回答を作成し、私が全て内容をチェックしたうえで皆様にお返事をしています。
ただし、匿名の場合は、返送できませんので、プライバシーに関係することを除いては、可能な限りホームページや広報等に掲載してお知らせするようにいたします。

この市長への手紙は単なる聞きっぱなしの目安箱ではありません。その目的は2つあります。1つ目は、市民の皆様からの意見を市政へ反映させること、そして2つ目は、職員の問題解決能力の醸成であります。いわば、市民の皆さんから添削問題をいただき、それに対して、文書で回答するということは、アカウンタビリティ、つまり説明責任を果たし、そして、きちんと対応する能力を養うことであります。

9年の間、これまで、皆さんからいただいたご意見やご要望は約6000件にものぼります。そのご意見の1つひとつが、市の貴重な財産となっています。「住んで良かったと思えるまち、住んでいることを誇りに思えるまち」を実現するために、1人でも多くの皆さんからのご意見をお待ちしています。

2007年6月20日(水曜日)

女性の更なる活躍に期待

先日、市民活動の拠点施設である「うるおい交流館エクラ」で、第13回「ひょうご女性未来会議」が開催されました。この「ひょうご女性未来会議」は、女性の更なる社会参画を目指して兵庫県の男女共同参画センターが中心となって平成14年に結成されたもので、ボランティアや企業、スポーツ、芸術など県内の様々な分野で活躍されている約600名の女性の皆さんがその枠を越えて交流を図られています。

会議では毎回様々なテーマでパネルディスカッションを行なっていて、今回は、「小野はまちづくりの大きなステージ 元気とアイディアがいっぱい!」というテーマで行なうので、行政の立場から、是非、市長さんにもパネラーとして参加して欲しいとの依頼をいただきました。これまで県下各市町で行なわれてきた「女性未来会議」のパネルディスカッションへ首長が出席するのは初めてのことだそうです。女性の更なる活躍にエールを送りたいとの思いから、市内で活躍されているボランティアグループの代表の方とともに参加させていただきました。

会場にこられた方々は、女性の市議会議員さんや、会社の管理職の方、また、地域のボランティア団体の代表をされておられる方など、地域や社会のリーダーとして活躍されておられる方がほとんどであります。皆さんにお伝えしたかったのは、「リーダーは数多くいるけれども、リーダーシップを発揮してこそ真のリーダーであり、リーダーがリーダーシップを発揮するための仕組み・システムを構築していくことが重要である」ということであります。その一端として、小野市独自の方針管理制度や「市長への手紙」など広報広聴の仕組みシステムについても少しお話させていただきました。終了後、「もう少し内容を詳しく教えて欲しい」と来られる方も多く、皆さん自分達の活動に活かせるものはないか真剣に聞いていただきました。

小野市でも最近では様々な場面で活躍される女性が増えてまいりました。ボランティア活動などで国や県などから表彰される方がどんどん出てくるとともに、これまで長年男性のみが就いてきた様々な組織や役職に就かれるようになってきております。農業委員会、農会長、連合PTA会長、選挙管理委員会委員、そして、自治会長なども誕生しております。また、今年の4月に発表された「ひょうご男女共同参画白書」によりますと、平成18年度の審議会等への女性委員登用状況は、小野市は28.8%で県下29市中第3番目、女性の管理職への登用率も県下の平均が9.18%のところ20%でこれも県下で3番目であります。しかし、残念ながら、現在、女性の市議会議員さんはゼロであります。

パネルディスカッションの中でもお話をさせていただきましたが、私のこれまでの経験から「頭でものを考えるのではなく、実践のために実践で考えていくこと、つまり、認識学ではなく体験学こそが重要である」と思っています。市内には様々な分野で活躍される女性のリーダーが増えてまいりました。今後、その活動や経験を積んでいかれる中で、リーダーシップを発揮される真のリーダーが数多く誕生し、女性の市議会議員が増えるなり、あるいは、市長になられる女性が出てこられれば、今回のパネルディスカッションの目的が達成されるのではないかと考えております。

2007年6月13日(水曜日)

医師不足に対しても「イノベーション」が不可欠

イノベーションとは技術革新のことでありますが、技術だけにとどまらず、福祉やまちづくり、医療、そして教育などあらゆる分野においても「革新」が求められています。すなわち、ずっと同じような流れではなくて、その時代に応じて、ニーズに応じて、状況に応じて、我々の思考回路をフレキシブルに変えていくことが、今、まさに求められているということです。

医療の分野においても、既に新聞報道でご存じのように、小野市を含む北播磨5市1町に対して、神戸大学から、従来通りの医師派遣の維持は困難との実情から、病院を統合して医師を集中派遣する「中核病院構想」が提案されました。北播磨の公立病院においても、医師不足で休診する診療科が相次いでおります。

先日6月10日(日曜日)、総務省主催の「頑張る地方応援懇談会」が神戸市で開催され、菅総務大臣対して「持続可能な発展のための仕組みづくりが不可欠」と私も色々と意見を申し上げたところでありますが、医師不足という問題も取り上げられ、我々が考えている以上に深刻な状況にある自治体も数多くありました。

小野市民病院は、現時点では、かろうじて医師の確保は出来ている、というより、医師の数はそう減ってはおりません。また、病院経営においても、北播磨の5つの公立病院中、累積欠損金は二番目に少なく、内部留保資金は一番多く保有しており、それなりに健全経営を維持しております。神戸大学からは、病院経営の面でもよく頑張っている病院として評価していただいているようです。

ちなみに、先般、6月3日の日本経済新聞に新しい財政健全化指標の一つ、「連結実質赤字比率」が掲載されました。この「連結実質赤字比率」というのは、病院会計や水道会計を含む全会計の実質赤字等の標準財政規模に対する割合であります。小野市は、2005年度の決算ベースではプラス(赤字ではありません)78.29%で、日本経済新聞社に問い合わせたところ、あくまで試算ですが、全国の市区町村1844自治体中第16位、市では全国トップクラスの第2位という好成績で大変驚いた次第であります。

しかしながら、現時点で、かろうじて医師の確保はできているというものの、将来像ということを考えてみますと、大変厳しい状況が予想されます。加えて、2年後、県立加古川病院が場所を変えて新しくなります。近隣自治体では、ますます医師不足が深刻化することが懸念され、待ったなしの状況であります。

神戸大学からは、「中核病院構想に対して自治体の同意があれば、大学を挙げて高度医療や救急医療が行える理想の病院をつくる用意がある」という積極的な提案が示されており、医師や看護師の不足に加え、施設の老朽化も視野に入れて総合的に判断すれば、このまま共倒れするより、大学の方針に沿って統合する方が、苦渋の選択ではありますが、住民の利益になるものと考えております。

このような差し迫った課題は、近隣市のどの市長さんも十分にご認識されていると思いますので、そのご決断に期待すると同時に、広域行政の枠組みの中で各県民局に医療確保対策推進圏域本部を設置され、医師不足の解消に向けてその取組みを強化されている県の積極的なご支援やご指導を期待致しております。

2007年6月6日(水曜日)

県下初の試み “デマンドバス”の運行開始

青地にひまわりがデザインされたらんらんバスに人々が乗り込もうとしている写真

今月から、県下で初めてとなる“デマンド(要求)バス”の試行運行を開始いたしました。昨日、その第1便が出発しました。“デマンドバス”とは、一般のバスのようにあらかじめ決まった時間やルートを運行するのではなく、団体やグループなどからの要求に応じて、その都度、時間や行き先を決定して運行するバスのことです。

この“デマンドバス”は、「らんらんバス」の車両を使います。10人以上で、バスの定員である36人までの団体であれば、どなたでも利用していただけます。現在、市内140ヶ所ある「らんらんバス」のバス停を出発点として、「白雲谷温泉ゆぴか」や「総合体育館アルゴ」、市内各地区のコミセン、「ひまわりの丘公園」など市内の公共施設であればどこでも行くことができます。
例えば、町内や老人クラブの人が集まって「こだまの森」や「龍翔ドーム」でゲートボールやグラウンドゴルフを楽しんだ後に、「白雲谷温泉ゆぴか」でゆったりと温泉に入って帰ってくる、といったプランを組んでいただくことも出来るようになりました。

小野市では、平成16年1月に36人乗りの小型バス3台でコミュニティバス「らんらんバス」の運行を開始いたしました。少子高齢化社会を迎え、主にお年寄りや子どもなど交通弱者の移動手段として、これまでに利用された方は間もなく延べ約15万人に達します。
特に、昨年からは、65歳以上のお年寄りの方や小学生以下の子どもは無料としたことで利用者数もこれまでの約1.5倍となる毎月約5千人の方が利用され、市民の交通手段として定着してまいりました。

また、一方では、「この時間に“こだまの森”に行ってほしい」といったような時間やルートについて様々なニーズに応じた要望も出てまいりました。そのような中で、昨年10月に道路運送法の改正があり、“デマンドバス”の運行が可能になりました。より多くの市民のニーズにお応えすべく、これまでの運行に加え、いち早く今回の運行を開始したものです。

この“デマンドバス”が新聞で発表されると早速、「白雲谷温泉ゆぴか」へ行きたいという申込みもいただきました。また、三木市の方から、「うちの市まで迎えに来ていただけますか?」といった問合せも入ってきております。残念ながら、市外へ行くことはできません。

運行は毎週火曜日のみで、朝8時から夜8時30分までの間です。料金は1人片道100円、小学生は50円(小学生以下は無料)となっています。そして申込手続は利用される前の週の木曜日までに電話で申込んでいただくだけで、面倒な手続きは一切ありません。

今年1年間は試行期間です。来年度の本格運行に備え、誰もがより便利に、気軽に利用できるように、利用者をはじめいろんな方のご意見を聞きながら、人と人、人と夢を結ぶコミュニティバスを目指してまいりたいと考えております。
皆さんのご利用をお待ちいたしております。

デマンドバス申込先

小野市総合政策部企画政策グループ 0794-63-1404

2007年5月30日(水曜日)

「短歌のまち小野市」を全国へ発信~第18回上田三四二記念「小野市短歌フォーラム」~

受賞した作品をスクリーンに映している小野市短歌フォーラムの写真

先週、全国各地から多くの方を「うるおい交流館エクラ」にお迎えして「上田三四二記念『小野市短歌フォーラム』」を開催いたしました。この「小野市短歌フォーラム」は小野市の生んだ偉大な歌人である上田三四二氏の文芸界での数々の功績を称えて平成2年に制定したもので、今年で18回目となります。全国から短歌を公募し、一般の部(1席から5席・入選・佳作)と、小・中・高校生の部(最優秀・優秀)の入選歌の表彰や、選者の先生方による選評などを行なっています。

そして、その選者には、女流歌人の第1人者で、現代歌人協会理事、朝日歌壇選者、そして日本芸術院会員の馬場あき子先生、宮中歌会始詠進歌選者及び朝日歌壇選者の永田和宏先生、兵庫県歌人クラブ顧問や神戸新聞歌壇選者の米口實先生という日本を代表する先生方を長年にわたりお迎えしています。

今年も大変多くの投稿をいただきました。昨年より約1,200首も多い5,430首の投稿がありました。全国全ての都道府県はもちろんのこと、海外は台湾からも投稿をいただいています。特に、小・中・高校生の部では、全国各地の学校から過去最高となる3,873首の作品が寄せられました。

第1回目から振り返ってみますと、18年の間に、投稿数も倍近い数となり、これまでに実に6万人近い方から投稿をいただいています。
また、今回は井戸兵庫県知事からも投稿をいただくとともに、初めて短歌フォーラムにも足を運んでいただき「小野市に全国から多くの人が集り、こんなに素晴らしい文化的な交流が行われていることに感激しました。」といううれしい祝辞をいただきました。「短歌のまち小野市」を全国に発信し続けてまいりましたが、知事もお越しになるような、また、投稿数においても全国指折りの短歌フォーラムへと発展してきたことを大変うれしく思っています。

そして、この短歌フォーラムの発展を支えているのは多くのボランティアによる市民の方々であります。当日は、全国からお越しになる皆さんをお迎えするにあたって、受付や案内を市民の方で構成された実行委員の方々や、市内の中学生が中心となって活躍していただきました。また、会場入口でも、市民と保育園児で行う播州太鼓の歓迎の演奏や、市内の中学生による模擬店、オープニングでは、西脇町獅子舞保存会の皆さんによる勇壮な獅子舞の披露を行っていただき、会場を盛り上げていただきました。会場に来られた多くの方からは「こんなに歓迎してもらえるとは思っていませんでした」「また来年も来たいと思います」という言葉をいただきました。

この「上田三四二記念『小野市短歌フォーラム』」が、歌の心を語り継ぐ全国規模のフォーラムとしてだけで終わるのではなく、短歌を通して全国のみなさまとの触れ合いを深める場となり、毎年毎年進化し続ける短歌フォーラムとして、今後も市民の皆さまと共に「短歌のまち小野市」を全国に発信してまいりたいと思います。

2007年5月23日(水曜日)

市民手づくりの「小野名画劇場」いよいよ開幕

「小野名画劇場」の幕開けです。幕開けに際しての特別上映会として、先週の土曜日、オードリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日」を市民会館で無料上映いたしました。当日は、午前10時と午後1時、そして夜の7時からと合計3回にわたって上映を行い、年配の方から高校生や中学生の方まで1日で約1500人の方に大きなスクリーンでの臨場感あふれる映画を楽しんでいただきました。夜の部でも約400名の方が来られていて、映画会社の方の話によると、最新の映画でもなく、土曜日の夜にこれだけの人が鑑賞されるのは神戸の映画館でもあまりないそうです。私も、久しぶりに、学生時代に戻った気分で、懐かしい映画を楽しんでまいりました。

この、「小野名画劇場」では、6月16日(土曜日)から12月15日(土曜日)までの間、6回にわたって合計12本の映画を上映いたします。「武士の一分」「硫黄島からの手紙」など昨年話題になった映画から「第3の男」や、「誰がために鐘はなる」といった昔なつかしの映画までバラエティーに富んだ構成になっています。そして今年は、この他にも、文化庁優秀映画や子ども向けの映画の上映といった特別企画も予定しています。

この映画を見ていただくためには、「おのシネマゴールドカード」が必要です。このカードは、1枚2000円で、これから上映予定の12本の映画全て見ることができます。4月からの販売で、これまでに約1200枚が売れました。また、多くの方に気軽に映画を楽しんでいただきたいことから、一般によくあるような、会員のみしか使えないといったような規制は設けず、家族や、友人に自由に貸与して使っていただくことができます。

こういったアイディアのほかにも、上映映画の選定、ポスターの製作などこれらは全て公募で募集した、映画が好きな20代から70代の市民12名による「小野名画劇場実行委員会」の手により行なわれています。また、会場内のアナウンスや、照明、チケットの販売、受付、なども市民によるボランティアで行なわれていて、まさに市民手づくりによる映画会であります。

「小野名画劇場」も今年で3年目を迎えます。昨年は1年間で前の年の約2倍となる延べ約15,000人の方に楽しんでいただきました。市内では映画館もなくなってしまい、気軽に映画を楽しみたいという要望もありました。最新の映画を上映するといったわけにはいきませんが、市民自らが企画した映画会が多くの市民に支えられて発展していることをうれしく思います。
月に1度、週末のひと時をゆったりと楽しんでいただきたいと思います。

2007年5月16日(水曜日)

小野市独自の16ヶ年教育がスタート

小野市では、平成17年からテレビなどでもおなじみの東北大学の川島隆太教授に小野市の教育行政顧問に就任していただき、先生の指導のもと脳科学の研究成果をとりいれた教育を展開してまいりました。川島先生の研究によると、脳の前頭前野部は、創造力・集中力・記憶力・思考力の源となっている部分で、簡単な読み書き、計算、音読といった作業を行なうことで鍛えられ、記憶力や集中力、計算力などがアップするとともに、感情の安定、創造力の向上など、心の教育にも繋がるそうです。

今年から、この脳科学の理論を家庭教育や保育所、幼稚園などの幼児教育にも取り入れ、0歳からではなく、生まれる1年前を含めたマイナス1歳から義務教育終了までの16ヵ年にわたり一貫した理論のもとに教育を展開してまいります。

乳幼児期においては、子どもの脳は大人の1年よりも大きく成長し、3歳までに脳の重さは大人の脳の90%近くまで達するそうです。この時期に言語の習得や、基本的な生活習慣の養成など、上手に脳の活性化を図ることが何よりも重要だそうです。そういったことから、教育委員会の職員自らが、幼稚園や義務教育といった枠にとらわれることなく、産まれる前から始まる子育て教室や、子どもの定期検診などにあわせて、お父さんやお母さんに、子どもへの語りかけの重要性やスキンシップの取り方などの説明を行なっています。また、市内全ての保育園や幼稚園へも出向き、保護者を対象に脳科学の視点から、家庭での教育方法などの説明も行なっています。

また、義務教育に入ってからは、新聞やテレビでも度々とりあげられています「おの検定」に市内全小学校、中学校をあげて取り組んでいます。基礎学力の向上を目指し、9ヶ年、小中一貫教育による「漢字・計算・体力」の検定として県下で初めて小野市が独自に取り組んだもので、簡単な、読み書き、計算、音読、そろばんなどが脳の活性化に役立つという、川島先生の理論にも合致することから、先生に小野市の教育行政顧問に就任していただくきっかけにもなった取り組みであります。基礎学力の向上だけではなく、感情の安定、コミュニケーション能力の向上、といった心の成長にも繋がり、市内の不登校の生徒が6割近くも減った要因の一つになっています。

また、脳科学の研究では、10歳(小学5年生)から脳が再び大きく成長する時期にあたり、この時期に、より専門的な教育を行なうことで、脳の更なる成長に繋がっていくそうです。市内半数の小学校では、小学校、中学校の枠にとらわれず、小学5年生から、各教科毎にクラス担任ではなく専門の教師が指導を行なう「教科担任制」の導入を行なっています。年間を通して継続的にこのような取り組みを行なっているところは、県内では他にありません。
また、一部の小学校では「小中学校連携教育」も展開しております。例えば、河合小学校や来住小学校では、算数、理科、英語、情報などの教科で中学校の先生が小学校へ出向きその指導にあたっています。小学校、中学校の先生が互いに行き来きすることでお互いの理解も進み、指導方法など学習の活性化にも役立っています。

小野市では、この他にも、様々な取り組みを、最新の脳科学の研究の成果とリンクして展開いたしております。この度、脳科学の理論や16ヶ年にわたる教育の取り組みをまとめたリーフレットを作成し、市内に全戸配布いたしました。16年間にわたり一貫した理論のもとにこのような取り組みを行なうのは全国的にも珍しい取り組みで、川島先生からは、「16ヶ年という発想が素晴らしいですね。本来なら就学前と義務教育の期間で15ヶ年教育しか思いつきません」「国の教育再生会議よりも、小野市の取り組みのほうが更に進んでいますね」といったお褒めの言葉もいただきました。

ますます激変する社会環境の中にあって、将来子どもたちがたくましく、時代を生き抜く力を育むためにも、子どもたちにとって何が必要か、脳科学の明確な理論のもとに、行政、学校、家庭、地域が一体となって考え、小野市独自のオンリーワンの教育を、推進してまいりたいと考えております。

2007年5月9日(水曜日)

「らんらんバス」の乗車数 対前年度比50%アップ

らんらんバス乗客数推移のグラフ

「らんらんバス」の昨年1年間の乗車数は約6万人で、前年と比べ約50%増加いたしました。
「らんらんバス」は、これから高齢者が増え、車を運転できない交通弱者がますます増加していく中にあって、市内の各公共施設や、市の中心部への移動手段として活用していただくために平成16年に運行を開始しました。37人乗りの小型バス3台で市内10ルート、139箇所の停留所を巡回いたしております。

運行開始当初は、乗車数も1ヶ月あたり約2700人程でしたが、現在では、1ヶ月あたり約4700人となり、5000人を超える月も多くなってきました。
運行を行なっていく中で、より多くの方に利用していただくために、ルートやバス停、ダイヤ等については、市民からの「市長への手紙」や各町の区長さんからの要望、また、各バス停ごとの詳細な乗降者数のデータをもとに、公募による市民の方も交えた「小野コミュニティバス運行計画検討会議」で検討を重ね、運行計画に反映させてまいりました。

特に利用者の少ないバス停についてはそれぞれの地元の区長さんにお知らせをして、それでも利用者の増えない場合にはバス停の廃止や統廃合を行っています。また、通勤や通学にあわせて、8時台の始発時間を7時台に早めたり、子どもたちの通学にあわせたルートやバス停の変更、など利用者(市民)のニーズに応じた改正を行なっています。

そして、昨年からは、65歳以上のお年寄りや小学生以下の子どもたちの移動手段としてもっと気軽に利用していただくために、運賃をこれまで1人100円のところを、無料といたしました。

更に、来月6月5日(火曜日)からは、現在のダイヤやルートにとらわれないでフレキシブルな形で利用ができるデマンドバスの導入(試行)を開始いたします。まずは、毎週火曜日のみの運行となりますが、10人以上の団体を対象に予約を受付け、「らんらんバス」のバス停から希望する市内の公共施設への運行を行います。老人会や近所の人たちが集まってのスポーツ施設、文化施設の利用、また、「白雲谷温泉ゆぴか」などで交流を広めていただくのに気軽に利用していただきたいと思います。(片道1人100円で利用していただけます)

市内には、小野地区、大部地区には、年間100万人が訪れる「ひまわりの丘公園」や市民活動の拠点施設である「うるおい交流館エクラ」、来住地区、市場地区には「きすみの見晴らしの森」、そば工房「ぷらっときすみの」、「白雲谷温泉ゆぴか」、河合地区には「かわい快適の森」や雨天でも使用できる屋根付の多目的広場を備えた「小野八ヶ池自然公園」、下東条地区には、「こだまの森グラウンドゴルフ場」などがあり、この他にも、現在、JR粟生駅では地域間の交流や生きがいづくりの拠点施設として陶芸館の建設を進めています。

それぞれの地域では、特色ある様々な賑わいづくりのための拠点施設の整備が進んでまいりました。誰もが気軽にこれらの施設を利用できる環境を整えていくことで、新たな交流、新たな活動が生まれ、更なる賑わいへと繋がってまいります。
地域と地域をむすぶ「らんらんバス」が1人でも多くの市民の方の夢と希望を運び、交流と活動の輪を広げ、更には生きがいづくりに役立っていくことを願っています。

2007年5月2日(水曜日)

明確にアカウンタビリティを果たすことが“まちづくり”への第1歩

先週、市内78町(自治会)の全ての区長(自治会長)さんがお集まりになる「小野市連合区長会総会」が開催されました。私は、来賓という立場ではありますが、年1回市内全部の区長さんが一同に会されるせっかくの機会でもありますので、4年前から毎年、現在の小野市の市政の概要について、私自らがパソコンのパワーポイントを使ってプレゼンテーションをさせていただいています。

例年、1月から3月にかけて各町の代表の区長さんが交代されます。新しく区長さんになられた方に、まず1番最初に、市政の概要や行政の取り組みについて知っていただくことが目的であります。
また、今回は、先日の市議会議員選挙で、新しく議員となられた方も含め勉強のためにほぼ全ての市議会議員さんも聞きに来られていました。

皆さんに説明させていただいた主な内容は次のとおりです。

ますます広がる自治体間格差について書かれている画像
  • これから目指す小野市の7つの政策と50項目の目標
  • 小野市の現在の財政状況
    • 市民1人あたりの借金は県下の市で少ない方から3番目
    • 特別会計や公社等も含めた市全体の負債総額(454億円)・実質公債比率(16.7%)(平成17年度)
  • 県下最少の職員数での業務遂行と、小野市独自の人事制度
    • 方針管理制度に連動させた能力成果主義の導入
  • 職員採用の仕組み
    • 市長の役割は人を選ぶことではなく、成果を出しうる優秀な人材を選ぶための多様な仕組み・システムをつくること
平成19年度の重点施策について書かれた画像
  • 平成19年度の重点施策 子育て支援・福祉の充実
    • 子育て支援や福祉、医療費に係る予算は約170億円(予算総額の43%)
    • 県下初の小学6年生までの医療費の完全無料化
  • 交通弱者の移動手段として定着した「らんらんバス」
    • 乗車数は前年度より約50%増加、今年度からはデマンドバスも試行運行
  • 医師不足や経営悪化で問題となっている公立病院
    • 小野市民病院(小児救急、眼科)が北播磨地域の拠点病院に指定
    • 累積欠損金(約8億円)と内部留保資金(約23億円)(平成17年度)
  • 更なる安全安心のまちづくり
    • 安全安心パトロール開始以降減り続ける市内の刑法犯罪発生件数
    • 更に今年度はパトロールカーを3台から5台に増車
  • 警察署設置要望の実状
    • 全国で警察のない市は24都道府県60市
    • 市長就任以降合計8回県警本部へ要望
  • 人権教育の再構築 ヒューマンライフグループの創設
社会資本の更なる充実について書かれた画像
  • 社会資本の更なる充実 数値目標を定めた整備
    • 市道舗装率 平成11年 76%→平成17年 94%
    • 下水道普及率 平成11年 71%→平成15年 98%
  • 市内地区別の舗装率の公表
  • 要望の多い道路整備 市道舗装はほぼ完了、今後は生活道路へ拡大
  • 広報広聴の多様な展開とシステムづくり

区長(自治会長)さんは、各町をそれぞれ代表される方であり、また、市政を支える良きパートナーであります。明確に、市民へのアカウンタビリティ、つまり説明責任を果たすことこそが「参画と協働」のまちづくりへの第1歩であり、今後の行政の目指すべき方向であると考えています。そのような思いで、担当者ではなく、私自らが先頭にたって説明をさせていただきました。
なお、今年は4年に1回行なっています各地区別の「市政懇話会」も開催いたします。市民の皆さんどなたでも参加できますので、是非ご参加いただきたいと思います。「もっと変えよう小野、もっと変わろう小野市」という強い決意で、市民の皆様とともに、小野市の更なる飛躍を目指してまいりたいと考えています。

2007年4月25日(水曜日)

職員採用における市長の関与は優秀な人材を選ぶための「多様な仕組み」をつくること

現在、お隣の市で職員採用における市長の関与が大きく報道されていますが、小野市の職員採用の方法や、市長の関わりについて皆様に理解していただくためにご紹介いたします。

小野市の職員採用は、ホームページや広報により公募します。一次試験は、一般教養、適性検査、専門試験等です。試験問題の作成は、専門の会社に委託し、採点もその会社に委託しております。しかも、個人名ではなく、あくまで受験番号のみで採点されます。従って、市の人事担当の職員すらその採点には関わっていません。

そして、一次試験結果の上位得点者から募集人員の3~4倍程度の一次合格者を選出し、二次試験を実施します。二次試験は、個別面接と集団面接の2回の面接を行います。試験委員は、個別面接では、副市長、収入役、教育長、部長職2名、女性管理職の計6名です。また、集団面接は、個別面接試験委員以外の部長職8名で行い、それぞれが採点して合計得点者の上位から合格者を決定いたします。このように、面接試験は市長を除く計14名の試験委員で判定する方法が確立されており、市長はそれに関与できない仕組み、システムであります。いかに客観的視点から採用するかであります。

職員の任命権は確かに市長にあります。しかし、職員は市民に対する奉仕者であり、採用の手順や基準は誰がみても公平、公正なものでなければなりません。重要なことは、意欲、能力がある人材を公平、公正に選ぶためのしっかりとした仕組み、システムをつくり、それをきちんと実施させることです。市長の関与は、人を選ぶことではなく、成果を出しうる優秀な人材を選ぶための「多様な仕組み、システム」をつくることであります。

一例として、小野市では、全国的にも類を見ない「期限付嘱託職員制度」(ONPM計画)という人事制度を創設しております。嘱託職員という身分ですが、補助的業務ではなく、最長3年間という期限をきって、一般職員と同様の仕事をしていただく職員です。もちろんこの期限付嘱託職員も試験により採用しています。3年後、その勤務実績をもとに、一般職員の試験を受けて正職員として採用された人も数人います。言い換えれば、実務と面接が3年と言っても過言ではありません。

私自身、民間企業で総務・人事等管理畑の仕事も長く経験いたしましたが、社員の採用では、高度な知識があっても、実際の職場で仕事ができるか、成果を出しうるのか、短時間の面接で見極めることはなかなか困難であることが経験からの教訓でありました。そのような観点から考え出した多様な採用制度であります。

3年間の勤務でテストの点数に現れない実務能力のある人材を発掘することができる一方で、「本当に正職員でなければできない仕事とは何か」を徹底的に見直すきっかけにもなります。このような制度の導入により、市民100人当たりの正職員数は、現在、兵庫県下29市中最少の職員数で業務を遂行しています。

また、逆に、市役所での勤務経験を生かして民間企業に就職された方もいます。「民間人を公務員として登用する」ことが、さも進んだ人事採用、登用のように思われる風潮がありますが、その反対に、「官」で育成して、キャリアアップしていただいて「民」で活躍されてもよいのではないか。そのような「民」でも通用する「官」を目指したいと思っています。

「官と民の役割分担の明確化」とこれからの「公務員の人材確保・育成」は、この様な「多様な採用・育成システム」に裏づけられてこそ、まさに「成果」を発揮することにつながるのです。

2007年4月18日(水曜日)

更に充実した「安全安心パトロール」がスタート

4月から「安全安心パトロール」が、これまでの3台から5台体制となり、また、警察官OBを中心としたパトロール隊員も6名から10名に増員し、新たな体制でのパトロールがスタートいたしました。

これまでは、小野・市場地区、河合・来住地区、大部・下東条地区の市内3つのコースに分けてパトロールを行なっていましたが、5台体制になったことで、人口の多い小野地区を2つに分け、小野西地区、小野東地区、河合・大部地区、来住・市場地区、下東条地区の5つのコースでより細やかなパトロール体制をとっています。また、週3日間行なっていた夜間10時近くまでのパトロールも週5日間行うとともに、交通事故の多い夕方、暗くなりかける時間帯の主要交差点での交通立番を毎日実施するようにいたしました。

小野市では、市民が安全で安心して暮らせる生活環境の実現を目指し、平成16年に、まずその土台づくりとして、組織の再構築を行い、従来、防犯、交通安全、公害対策、ゴミ問題、不法投棄は市民福祉部、防災は総務部、青少年対策は教育委員会というように分散していた業務を一元化した「市民安全部」を創設いたしました。その部長には兵庫県警察本部から現役の警視を招聘いたしております。

そして、県下で初めて、青色回転灯を装着した専用のパトロールカーと、警察官OBを専任職員として配置した安全安心パトロールも開始いたしました。今では、多くの自治体でパトロールを行なわれているようでありますが、その業務を警備会社に委託したり、単に公用車に青色回転灯を取り付け、市の職員が業務の傍らにパトロールを行なっているところが多いようです。

小野市における、「安全安心パトロール」は単に市内を巡回しているだけではありません。防犯や防災にかかる情報収集を行うことを目的に、パトロール隊員の元警察官としてのこれまでの経験を活かしたプロの目によるパトロールを行っているほか、その時間帯やルートなどは警察や住民から寄せられる情報をもとに即座に変更するなどフレキシブルに対応しています。そして、犯罪発生件数、交通事故件数などもグラフ化して事務室に貼るなど、定期的な集計と分析を行いパトロールの行動計画に反映しています。また、1日の終わりにはその日にあった出来事や気付いた事などを、きちんと日誌にまとめ、翌朝のミーティングで報告し当日のパトロールへ繋げるなど、単に計画(プラン)し実行(ドゥ)するだけでなく、検証(チェック)を行いそれに基づき次の行動(アクション)に繋げるという、PDCAのマネジメントサイクルを展開し、目的意識を持ってパトロールを行なっています。

市内の刑法犯罪発生件数のグラフ

こういった取組みにより市内の刑法犯罪発生件数は年々減りつづけ、パトロール開始前と現在とでは約35%も減少するという大きな効果をあげるとともに、市民の間でも、防犯に対する意識が高まってまいりました。市民からは、パトロール隊や市民安全部に、悪質な訪問販売や不審者に関する情報など日常生活の中のちょっとした異変なども寄せられるようになったほか、自治会や小学校区等で防犯グループも次々と結成されるようになりました。結成率は県下の平均が75%という中にあって小野市では100%を達成しています。

今後、各小学校区ごとに行政、地域の防犯グループ、そして警察が一緒になって情報交換会を開催するほか、安全安心パトロール隊がつけております日誌を毎週ホームページに掲載して、地域住民や、防犯グループとその情報を共有化していく予定です。
行政、住民、警察それぞれがバラバラで取り組むのではなく、連携を十分密にし、一体となって新しい安全安心の仕組みを構築してまいりたいと考えています。

2007年4月11日(水曜日)

今年度の市長方針は“『行政手法のイノベーション』へのチャレンジ”

平成19年度の市長方針について書かれた画像

先週もご紹介しましたが、小野市では8年前から行政経営の管理手法、ツールとして、「小野市型方針管理制度(TQC)」を実施しています。市長方針を頂点とし、それを実現するために部長、課長、係長へブレイクダウンして具体的方針をたて、PDCAのマネジメントサイクルを展開して、「結果とプロセス」を評価し、改善を進めながら組織全体として市長方針の達成を目指すというシステムです。

年度初め、真っ先に、私自ら市長方針を示します。そして、それぞれの部署が、その市長方針を達成するために、各部長は何時までに何をどうするのか、その部長方針を達成するために課長はどうするのか、その課長方針を達成するために係長はどうするのかというようにブレイクダウンして、組織内でしっかりと議論をしながら、具体的な目標を立て、それぞれの職員が「方針実行書」を作成いたします。

そして、その「方針実行書」をまとめた部毎の機能体系表をもとに、それぞれの部長からヒアリングを行い、それが市長方針に添っているのか、どのように実施していくのか、私自らチェックを行い、それぞれの業務を本格的に実施してまいります。

先週、行政手法のイノベーションの1つとして、新しく出来たヒューマンライフグループを紹介いたしましたが、行政のあらゆる分野においても職員一丸となって「行政手法のイノベーション」にチャレンジして、見える成果を出していきたいと考えています。

2007年4月4日(水曜日)

これから求められるのは『行政手法のイノベーション(技術革新)』

平成19年度がスタートしました。先週のホームページ「市長の部屋」において、本年度予算の主な点についてご説明しましたが、今回は、その重点施策を実施し成果を上げるための組織改革、人事制度の一端をご紹介いたします。

小野市では、本年度から「いじめ」などの人権問題に総合的に取組み、子供から大人、そして全ての市民がいきいきと暮らせるように、市民安全部に「ヒューマンライフグループ」を新たに設置しました。今まで教育委員会に設置されていた「人権教育課」は廃止し、市長部局において「いじめ、虐待、DV」等の相談窓口も設置して、情報を一元管理し迅速な対応を行います。

そのグループ員は、総勢22名であります。先週述べましたように、小野市は兵庫県下29市中最少の正職員数で業務を遂行していますが、そのような中で、一度に22名という職員を配置いたしました。

その背景には、複線型人事制度(グループ制)、ONPM計画(小野市独自の期限付き嘱託職員制度)、時間買取り型や知識買取り型など多様な人材の活用など市独自の様々な人事制度を活用することによって実現できたものであります。

また、タブー視されてきた「人権教育課の廃止」ということも県下で初めてだと思います。今まで、小野市においても、人権教育課が中心となって毎年「地区別人権学習会」が開催されてきました。そのような学習会の積み重ねにより一定の成果もあったように思います。

しかしながら、その人権学習会のやり方は、映画を見て感想を述べあったり、講師を招いて講演会を開くなど、ずっと30年以上にわたって毎年同じことの繰り返しであります。しかも、自治会ごとに出席者の割り当てがあり、中には、自治会の役員をしているからということで仕方なく出席されていた方もあったようです。そのような取り組みが果たしてこれ以上成果を出しうるのか疑問であります。

私は決して、人権教育を軽視しているものではありません。時代の変化とともに人々の価値観も大きく変ってきました。その結果、様々な人権侵害の事象も現れております。現在、その最たるものが「いじめ」や「DV」問題だと思います。そのような問題に対して、バラバラにではなく、全市的に総合的に取り組まなければ成果は出ないと思います。組織というのは、組織があって機能(機能とは果たすべき役割)があるのではなく、機能があって組織があるわけであります。従って、組織というのも時代のニーズにあわせてフレキシブルに変えていくことが必要であります。「今まではこうであったという前例を踏襲する事なかれ、かくあらねばならんという固定観念にとらわれることなかれ」という信念で、やはり行政も、その行政手法のイノベーション(技術革新)が求められております。そのような観点から新たに「ヒューマンライフグループ」を設置いたしました。

一方、成果を出すためには、職員のモチベーションを高め、その能力を十分に発揮させる必要があります。公務員は、仕事をしてもしなくても給料が変らないと言われる中で、小野市では「能力成果主義」を県内で先行して実践し、勤務成績等による積極的な任用と管理職には昇給幅に差をつける「査定昇給制度」も本年度から本格的に導入致しました。

その人事管理手法は、「小野市型方針管理制度(TQC)」であります。「方針管理制度」については、このホームページでも度々ご紹介してきましたが、市長方針を頂点として、それを実現するために部長、課長、係長、主務へとブレイクダウンしてそれぞれが具体的方針(上司方針を達成するために何時までに具体的に何をどうするかという目標)を立て、部ごとに機能体系表も作成します。そして、PDCAのマネジメントサイクルを展開して、結果とそのプロセスを評価し改善を進めながら組織全体としてトップ方針の達成を目指すシステムであります。

そこでの評価は、上司評価だけではなく自己評価、また、方針(目標)達成の難易度も加えた評価方法であります。加えて、その「方針管理制度」に基づく評価は、導入後8年間の運用実績があり、ここ1、2年のにわかづくりの評価手法ではありません。このような今までの取組みを踏まえた本年度からの「査定昇給制度」の本格実施であります。この「小野市型方針管理制度」については、昨年より全国あちこちの商工会議所の会報誌で紹介されたり、最近では、「ガバナンス」という地方自治の雑誌の4月号に詳しく掲載されています。

「行政もまさに経営」であります。「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を絶えず追求することが重要であり、それを実現するためにはきちんとした仕組み、システムが不可欠であります。組織の活性化を図り、職員のモチベーションを高め、県下最少の職員数で成果を出すために更なる行政手法のイノベーションに取り組みたいと考えています。

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