2013年4月~6月分のバックナンバー

更新日:2022年02月15日

2013年6月26日(水曜日)

「行政も経営」と捉えた人件費削減のあるべき姿とは

国家公務員給与を平均7.8%引き下げる臨時特例措置に伴う国からの地方公務員給与の減額要請に対して、各地方自治体の対応が分かれています。

小野市では、「行政も経営」であるとの基本理念のもと、「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を追求し、徹底した行財政改革と業務の見直しを行い、総人件費の削減に取り組んできました。

県内における人口10万人未満の市では最少の職員数を実現し、また、「理屈に合わないお金は支出すべきでない」との考えに基づいて、特殊勤務手当をほぼ全廃したほか、地域手当の全面廃止や、今なお多くの自治体で支出されている職員互助会への公金支出の全廃、更には時間外勤務の目標設定による削減など数々の人事制度改革を実施し、毎年約6.6億円、累積では67.5億円という市税総額にも匹敵する人件費削減を行い、一方で、その捻出財源により数々の施策を展開し市民サービスの向上を図ってきました。

重要なことは、これらが単なるコスト削減を行ったということではなく、きちんとした理念、一貫した理念のもと、新たな仕組み・システムの構築の上に立った改革、改善の成果であるということです。

これらの総人件費削減の実績、そして、地方分権を推進していくという立場から、今回の国の要請に基づく一時的な給与削減は行わないことについて、既に市議会のご理解も頂き5月10日に決定し、発表したところです。その考え方の詳細は、この小野市ホームページの「こんにちは市長です」(http://www.city.ono.hyogo.jp/p/1/7/4/43/)においても掲載(5月15日)して、広く市民の皆様へも情報発信を行ってきました。

この度の国からの要請について、それぞれの自治体の事情により対応が異なるのは止むを得ないことだと思います。しかし、制度に基づかない国の一方的な押し付けに対して、それを批判し、また、地方分権・自治体の自主性を阻害すると反論をしながらも、結局は国に従い一時的な職員の給与削減に応じている自治体が非常に多い状況です。今回の対応については、地方分権の時代にあって、まさに主体性を持った自治体経営を行うべきはずの、首長の姿勢、リーダーシップが問われる内容ではないかと考えています。

「行政もまさに経営」であり、給与の削減については、本来、地方自治体の人件費はどうあるべきかを考えることが大切です。「人件費の本質」は、「経営の本質」に関わる問題です。市の発展、市民サービスの向上を図っていくため、人・もの・金等の経営資源を有効に活用し、職員のモチベーションを高めながら様々な創造性のある事業を行い、その成果を出し続けていくことこそが重要なのです。

そのためにも、職員が誇りと責任をもってチャレンジし続ける環境をつくること、公務員を目指す人たちに夢を与え、優秀な人材を確保し、育成していくことは、行政運営の根幹に関わる最も重要な課題です。さらに、「行政も経営」である以上、総人件費をいかに削減していくのかという視点が必要なことは言うまでもありません。

しかし、先に述べました各種職員手当、職員互助会の負担金、その他人事制度構築や、職員の意識改革とスキルアップ、最少の職員数による行政運営など、これらは国が基準としているラスパイレス指数(国家公務員と地方公務員の基本給料額を比較する際に使われる)の算出の対象としないものばかりです。ラスパイレス指数のみで判断すること自体に限界があるのです。

今回の各自治体の対応の中には、ラスパイレス指数の算出基礎となる本給の引き下げを行う一方で、対象としない期末勤勉手当や、地域手当、管理職手当等で増額調整をして、一見国からの要請に応じたかのような見せかけだけの体裁をとるところも見受けられます。
給与改正の趣旨を「自治体経営における総人件費をどう削減するか、公務員の給与とはいかにあるべきか」という本来あるべき視点ではなく、「ラスパイレス指数をいかに下げるか」という体裁のみを捉えた視点に立った対応であり、人件費の本質を見誤ったものと言わざるを得ません。

いずれにしましても、小野市では、国からの人件費削減の指導が有る無しにかかわらず、また、ラスパイレス指数に影響するしないにかかわらず、きちんとした仕組みシステムの中で、国以上に総人件費の削減にこれまでから取り組み、その実績をあげてきました。今後も、「行政もまさに経営」であるという一貫した理念に基づき、小野市らしさをもった施策を、信念をもって自ら判断、実行し、小野市の新たな創造と変革に向けて絶えずチャレンジし続け、「見える成果」を追求していきたいと考えています。

2013年6月19日(水曜日)

空き家問題にどう向き合うか

今、全国で空き家の増加が問題になっています。老朽化した空き家が放置され、適正な管理がされていないと、景観の悪化のみならず、台風など風水害による倒壊、犯罪・火災の誘発、ごみの不法投棄など、周辺に危険や迷惑が及ぶ可能性があります。総務省のまとめによると、平成20年の全国の空き家は757万戸(空き家率:13%)あり、ここ20年で倍増しています。
現在、国から実効的に対応できる方針や施策が示されていない状況において、自治体自らが条例を制定して空き家の適正な管理に取り組む動きが広がりつつあります。

全国市長会議で市長が前で発表している写真

そのような中で、衆参の自由民主党国会議員で組織する「空き家対策推進議員連盟」から、「先進的な取り組みをしている小野市の話を聞きたい」との依頼を受け、今月の5日、東京での全国市長会議に合わせて同議員連盟の総会に出席してきました。
国会会期中にもかかわらず、宮路和明議員連盟会長(九州比例区)をはじめ、国会議員の方々のほか、総務省、法務省、国土交通省、環境省などからも担当職員が多数同席されました。

総会では、最初に私から、小野市における空き家の現状(注釈)と、本市の条例の特徴である、(1)市民・自治会・議会・行政が一体となって取り組むこと、(2)実効性がある「行政代執行」(危険廃屋等を所有者に代わって、市が取り壊しを含む必要最低限の処置を行う)を県内で初めて盛り込み、本気で取り組む姿勢を明確にしていること、(3)自治会が行う跡地の有効活用に対して市独自の助成制度があること、(4)所有者不明の場合は市が危険予防措置を実施することなどを説明しました。
また、今年1月の条例施行後、市民が自主的に廃屋を撤去された事例も紹介したところです。
一方で、国に対して、解体して更地にすると固定資産税の減免措置が受けられなくなるといった問題提起のほか、具体的な廃屋基準の制定、解体費用の助成、相続登記の義務化といった要望も合わせて行いました。

空き家対策の基本理念は、小野市の行政経営の柱の一つである、「言われてからやるのではなく、言われる前にやる」という『後手から先手管理』への転換です。これは、平成19年に制定した「小野市いじめ等防止条例」、今年4月施行の「小野市福祉給付制度適正化条例」も同様で、全国どこにでも起こり得る問題、起こっている問題に対し、市民の声に耳を傾け、全国に先駆け実践しているものです。

人口減少や超高齢化が進む中、今後も空き家問題が深刻化していくことが予想されます。解決すべき様々なハードルはありますが、国や県とも連携し、市民・自治会・議会の皆さんとともに取り組んでいきたいと考えています。

(注釈)市内における一戸建て空き家数;545戸(空き家率;4%)、内55戸で倒壊の恐れあり。(平成23年10月~24年5月市内全域実態調査による)

2013年6月12日(水曜日)

「短歌、詩歌のまちおの」を全国に発信

6月1日の土曜日、うるおい交流館エクラにて短歌、俳句、詩に関する最も優れた作品を顕彰する第5回「小野市詩歌文学賞」授賞式並びに、小野市出身の歌人、故上田三四二氏の功績をたたえる第24回「小野市短歌フォーラム」表彰式を開催しました。

式典では最初に、昨年、小野市詩歌文学賞を受賞された歌人の花山多佳子(はなやま たかこ)さんに「日常の歌と時代」をテーマに講演をしていただきました。花山さんは、東北地方のブロック紙「河北新報」の歌壇選者をされていることもあり、東日本大震災の被災者が厳しい現実に際して詠んだ歌を日々目にされる中で「これまでから、一人ひとりの何でもない、ささいな日常の歌が時代を映してきた。短歌はそういう意味でとても有効である」と改めて日常の歌の価値について語られていました。

詩歌文学賞で男性が市長から表彰されている写真

今年の詩歌文学賞受賞作品ですが、短歌部門では高野公彦(たかの きみひこ)さんの「河骨川(かうほねがは)」と伊藤一彦(いとう かずひこ)さんの「待ち時間(まちじかん)」がダブル受賞、俳句部門は友岡子郷(ともおか しきょう)さんの「黙礼(もくれい)」、詩部門は「該当作品なし」という結果でした。私から受賞者の方々に、正賞の盾と副賞の100万円(ダブル受賞は各50万円)を授与させていただいたところです。

短歌フォーラムで前のスクリーンに受賞した詩が映し出されている写真

一方、短歌フォーラムですが、日本国内はもとより海外からも投稿があり、一般の部では、1,353首、小・中・高校生の学生の部では、5,371首、あわせて過去最高となる6,724首の作品が寄せられました。なお、昨年から「学校賞」を創設し、3首以上の入賞があった学校に賞状と5万円の短歌に関する教材を贈っています。日常の出来事を瑞々しい感性で表現する若者たちの力をますます伸ばしてほしいと思っています。

さて、今年は上田三四二先生生誕90周年の記念の年です。また、第2回小野市詩歌文学賞の短歌部門で受賞された故河野裕子先生の3回忌の年でもあります。河野先生のご主人は、宮中歌会始の選者である永田和宏先生です。生前上田三四二先生は宮中歌会始の選者を8年務められ、また河野先生も宮中歌会始の選者でした。
河野先生をはじめ、歴代の小野市詩歌文学賞の受賞者は、詩歌の分野の第一線でご活躍の方ばかりです。また、この賞の選考委員は、馬場あき子先生、辻井喬先生、宇多喜代子先生、永田和宏先生とまさに日本の文学界を代表する方々に就任していただいています。

受賞者を含め、このような方々が一堂に会する「小野市詩歌文学賞」は、いまや国内でも屈指の文学賞に育ってきたと自負しています。今後さらに権威のある文学賞へと高めるとともに、「短歌、詩歌のまちおの」を全国に発信していきたいと考えています。

2013年6月5日(水曜日)

防災は、一人ひとりの意識改革から

先月29日「小野市防災会議」を開催しました。この会議では、自衛隊、警察、企業、国、県、市などの関係機関の各防災担当の皆さんに、防災計画の見直しや防災体制の強化を図る目的で毎年協議していただいています。昨年県が発表した山崎断層帯による地震被害想定で、市内で2万4千棟あまりが全半壊し、死者は千人、避難者は実に2万9千人にも及ぶという大幅な見直しがあったことを受け、この情報を市民の皆さんと共有するために昨年度実施した「地区別市政懇話会」での意見も踏まえ、今年は従来の防災計画を大幅に改訂しています。

小野市防災センターの完成予想図

防災の取り組みとして小野市では、市域を超えて加古川の無堤地区の解消や、災害時には緊急道路となる東播磨南北道路の早期完成に向けた要望活動を積極的に行っています。また、今年10月オープン予定の北播磨総合医療センターは、免震構造を採用しており災害時の広域拠点病院になると考えています。さらに、市庁舎に隣接して、同じく免震構造の「小野市防災センター」を18億円をかけて建設中で(来年3月完成予定)、消防機能に加え、地震、台風、集中豪雨などの災害時における指揮命令系統のまさに拠点となります。

災害用市民開放井戸の登録プレートの画像

一方、災害時の生活用水確保のため、井戸を提供していただく制度を創設し、既に市内221箇所の井戸を「災害時市民開放井戸」として登録していただいているほか、飲料水についても、大池総合公園内に既設の耐震性貯水槽をはじめ、市内各水道施設において、市民5万人の1か月分に相当する約4100トンの確保を進めています。また、災害時要援護者対策として介護保険施設など7施設にご協力いただき福祉避難所として協定を結んでいます。

このように市では、ハード、ソフト両面で防災対策を進めておりますが、大切なことは、いかにして市民の皆さんと情報を共有し、連携をとって迅速に行動できるかということと、同時に、小野市の行政経営の基本理念である「意識改革なくして行動なし」、すなわち「市民の自立、自覚」が不可欠だということです。

防災会議の前日、折しも政府の中央防災会議の作業部会において、マグニチュード9級の南海トラフ巨大地震対策の最終報告書が公表されました。報告書では、前例のない超広域災害で支援が限定されるため「地域で自活する備えが必要」として、自分の身は自分で守る「自助」が強調されています。

私は常日頃から「行政がすべて面倒をみる時代は終わった」と申し上げています。市民の皆さんには、この「自助」と住民同士で助け合う「共助」の重要性を改めて認識いただき、「公助」を担う我々行政との連携を深めながら防災対策を一つずつ、着実に積み上げていく必要があると考えています。

2013年5月29日(水曜日)

企業、地域住民、行政によるコラボレーション~シスメックスの森の誕生~

青々と茂る樹木の力強さを感じる季節になりました。今月の19日(日曜日)「シスメックスの森」の森開き式典に参加してきました。血球計数装置で世界トップシェアを誇るシスメックス株式会社が、青野ヶ原台地の東端にある「かわい快適の森」内のほぼ中心部、約2ヘクタールの広さを有するエリアを「シスメックスの森」と命名し、CSR(企業の社会的責任)の一環として、ハイキングコースの修繕、枯れ木の伐採、下草刈りなど森林保全活動に取り組まれることになりました。

平成14年に整備された「かわい快適の森」は、兵庫県では数少ない、里山、ため池、湿地等が一体となった里山生態系が形成されています。南北には全長約4キロメートルのハイキングコースがあり、自然豊かな里山を散策していただけます。加えて、周辺には「夢の森公園」をはじめ、フットサル等を楽しめる「龍翔ドーム」があり、大人から子供まで楽しんでいただくことができますし、秋には「里山フェスタ」も開催されるなど、里山が起点となった賑わいを創出しています。また、日頃から地元の有志で構成された里山森林ボランティアの方が維持管理されており、美しい自然環境が保たれているところです。

シスメックスの森の森開き式典で植木をしている写真と、協定証を正面に向けている写真

この日は早朝から、シスメックスの社員の皆様や、地元区長様など、多くの方にご出席いただき、新たな森の誕生を記念して植樹を行いました。また、この森の発展と、次世代の子供たちへこの里山を残していきたいという願いを込めて協定を交わしました。

この辺りは私の家からも近いのですが、私が幼かった時はこういった整備された里山はありませんでした。しかし、現在は手入れが行き届いた中で、皆さんが安全安心に楽しんでいただけることを嬉しく思っています。

シスメックスの森の看板の前での集合写真

小野市の「行政経営」の行動指針の一つである「参画と協働の推進」すなわちコラボレーション(Collaboration)をいかに推進していくかがこれからの行政の課題と言えます。企業、地域住民、行政のコラボレーションによって誕生したこの森は地域住民のみならず当市にとって貴重な財産です。この森の更なる充実・発展を願うと共に、このような活動が一層活発になることを期待しています。

2013年5月22日(水曜日)

まちづくりの主役はやっぱり市民

先週15日の夕方、県内のさまざまな情報を発信するNHK「ニュースKOBE発」で、県内各地から生中継する「ふるさとキャラバン」が小野市にやってきました。
皆さんもご覧になりましたでしょうか?
当日は約500人もの方々にお集まりいただき、市民の皆さんも番組に出演されて、小野市のホットな話題がお茶の間に流れました。

ハートフルサロンの会場で「ニュースKOBE発」の収録を行っている様子の写真

中継会場となったのは、うるおい交流館エクラのハートフルサロン。平成17年に新たな市民活動の拠点としてオープンしたエクラは、その管理・運営をNPO法人北播磨市民活動支援センターに全面的に委任しています。市内外から年間約28万人もの利用があり、昨年10月には開館からわずか7年半で来館者が200万人に達しました。
市民の皆さんの活動、発表、交流の場として、さらには気軽なおしゃべり、放課後の自習や受験勉強のスペースなど、子どもからお年寄りまで多目的に利用できるこのハートフルサロンは、明るく開放的な空間も相まって、今回の番組の企画にまさにうってつけの会場でした。

番組では、小野市のご当地グルメ「おの恋ホルモン焼きそば」や市内の各コミュニティレストラン自慢の一押しメニューを放送中に作ってもらい、アナウンサーや会場に来られた方に提供していただきました。また昨年も123チーム、2700人余りが参加するなど関西最大級のダンスイベントとなった「おの恋おどり」を代表して、裏播州鬼灯の皆さんによる迫力ある踊りの披露、6月1日(土曜日)にエクラで開催される「小野市詩歌文学賞」と「上田三四二記念小野市短歌フォーラム」の紹介もありました。

さらには、全国大会で毎年活躍されている小野高校放送部の生徒がインタビュアーを務めたり、ひょうごグリーンスタッフの皆さんには、会場の飾りつけで、まさに番組に花を添えていただくなど、多くの市民活動団体のご協力によって番組を盛り上げていただいたところです。

小野高校放送部の生徒がインタビュアーを務めている写真と、沢山の観客で会場がにぎわっている写真

地域が活性化するには、「3つのおこし」が不可欠です。イベント等にみられる「ことおこし」、ものづくりにみられる「ものおこし」、そしてそれらを支える「ひとおこし」であり、それらが三位一体となって「地域の絆」が更に深まり、「市民力」「地域力」が高まり、そして、「ふるさと小野市への愛着づくり」につながっていくものと確信しています。

今回の番組を通して、参加された皆さんの活き活きとした表情を見るにつけ、「まちづくりの主役はやっぱり市民の皆さんである」と改めて感じるとともに、こういった市民活動がますます活発になっていることを誇りに思います。

2013年5月15日(水曜日)

地方公務員の給与削減は、パフォーマンスではなく“見える成果”が重要

国では、その厳しい財政状況及び東日本大震災に対処することを目的として、平成24年度及び平成25年度の2年間、国家公務員給与を平均7.8%引き下げる臨時特例措置を実施しています。そして、地方自治体に対しても今年の7月から来年3月までの9か月間、地方公務員給与を国家公務員と同様に引き下げるよう要請されています。

この要請は、平成25年度限りの臨時的な措置で、「日本の再生のために、防災・減災事業に積極的に取り組むとともに、一層の地域経済の活性化といった課題に迅速かつ的確に対応するため」として、国にならって当然に地方も削減すべきであるとの考え方にたったものです。しかしながら、多くの地方自治体では、国からの要請を受けるまでもなく、従前から独自の行財政改革に取り組み、国以上に人件費削減に取り組んでいるところです。

小野市では、「行政も経営」であるとの基本理念のもと、「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を追求し、単なるパフォーマンスとしての一時的な給与削減ではなく、徹底した業務の見直しの中で総人件費をいかに削減するか、という視点で取り組んでまいりました。

私が市長に就任した平成11年度当時と比較すると一般行政職で107人、28.2%の職員数を削減し、人口100人当たりの職員数では0.534人となり、人口10万人未満の市では、県内で最も少ない職員数となっています。
(職員削減率 国:-3%、全国市町村平均:-16%、小野市:-28%)

また、「理屈に合わないお金は支出すべきではない」との考えのもと、21項目あった特殊勤務手当をほぼ全廃したほか、地域手当の全面廃止や、今なお多くの自治体で支給されている職員互助会への公金支出の全廃、更には時間外勤務の目標設定、全国初のONPM計画(期限付嘱託職員制度の構築)など数々の新しい人事制度改革を、見える形で成果を出しながら行ってまいりました。

その結果、総人件費は、ピーク時に比べ毎年約6.6億円の減となり、累計人件費削減額では、約67.5億円とちょうど年間の市税総額にも匹敵します。その捻出財源によって、小野市では中学3年生までの医療費の完全無料化や小中学校校舎の早期の耐震化100%を完了させ、加えて全教室に空調設備を設置するなどの市民サービスの向上に取り組んでいます。

一方で、小野市はこれまでから一貫して人事院勧告制度を尊重し、国が現在も実施を先送りしている平成18年給与構造改革に伴う現給保障制度(改定前との給与差額を補う経過措置)の廃止や55歳昇給停止にも速やかに対応しており、自ら襟を正し実施してまいりました。

企業の経営者であれば、従業員のモチベーションを高めながら様々な創造性のある事業を行い、その成果を出し続けていくことこそが重要で、従業員の給与をカットすることはいわば最終手段であり、恥じるべき行為です。また、地方固有の財源である地方交付税を給与引き下げの手段として用いることは、地方分権の流れに反し、私の言う「成果と報酬が連動しない公務員の社会」における「画一的横並びの仲良しクラブ」をますます奨励するかのような要請であります。

小野市では、国からの人件費削減の指導の有る無しにかかわらず、国以上に総人件費の削減に取り組み、その実績をあげてきております。人事制度改革のみならず、「行政手法のイノベーション」を進め、更なる創造と変革へ向けて絶えずチャレンジし続けながら、引き続き「見える成果」を追求してまいります。

2013年5月8日(水曜日)

女性の力で自治会活動をパワーアップ

平成25年度小野市連合区長会総会でスクリーンを前に市長が発言している写真

4月25日(木曜日)、うるおい交流館エクラの大会議室で「平成25年度小野市連合区長会総会」が開催されました。毎年、来賓として出席しておりますが、一堂に会された各自治会のリーダーの皆さんの前で、今年も月並みの祝辞に代え、市政の現状等についてスライドを使って説明させていただきました。

「行政も経営」という基本理念と4つの柱、市財政の健全性の維持などに加え、国の緊急経済対策事業を先手管理でフルに活用する中で積極型となった今年度の予算の概況と主要な施策、プロジェクト等についてお話ししました。

いよいよ10月のオープンが近づいてきた地域医療の拠点病院となる「北播磨総合医療センター」、先頃着工し来年3月完成予定の災害時の拠点施設となる「防災センター」、年間利用者が10万人を超えたらんらんバス運行の拡充、新病院への新たなアクセス道路となる新都市中央線の整備、オープン10周年を記念してリニューアルする白雲谷温泉ゆぴか、市内7つめのコミュニティレストランとなる下東条地区の観光交流施設の建設など、市民の皆さんの関心が高いと思われる事業や施策を中心に説明したところです。

加えて、この度の「小野市福祉給付制度適正化条例」についても、私が市長就任以来一貫して言い続けている「行政経営4つの柱」の一つ「後手から先手管理」の実践、すなわち「言われてからやるのではなく、言われる前にやる」ことの取り組みであり、その本質は、

  • 自立支援のために、当たり前のことを当たり前に言える環境を整えること
  • 生活保護を含めた福祉給付制度の信頼を取り戻すこと
  • 地域社会と行政が一体となって受給者の自立を支援していくこと
  • 「無関心から関心へ」と市民の意識改革を促すこと

にあるという点を自治会長の皆さんの前で改めてご説明させていただきました。

ところで、今年の総会では、小田下町から自治会活動の事例発表があり、その中で2名の女性役員を登用されていることを報告しておられました。市としてもこのような自治会での女性参画を積極的に進める取り組みを支援するため、今年の新規施策に、自治会役員に女性を継続登用する仕組みを構築した場合にインセンティブ(奨励)として自治会へ助成する、「自治会役員女性参画推進事業補助金」を創設したところです。

東日本大震災における避難所生活では、リーダーのほとんどが男性であり、女性への配慮が行き届かなかった等の課題も浮き彫りになりました。災害時のみならず、安全・安心な暮らしを維持・確保していくには、市民力、地域力が重要であり、その潜在能力を引き出すためには、女性の力こそが「カギ」を握っています。地域をよくしようと考えているのは、女性も男性も同じです。今後、自治会役員に女性が積極的に登用され、男女がともに自治会役員を担うことにより、新しい視点での取り組みが生まれ、自治会活動の更なるパワーアップに繋がることを期待しています。

2013年5月1日(水曜日)

姉妹都市交流の新たな展開を期待

4月17日から22日まで、姉妹都市提携40周年を記念して米国カリフォルニア州リンゼイ市を訪問してきました。市長就任の翌年、平成12年(2000年)の訪問から、実に12年ぶりです。リンゼイ市との最初の交流が始まったのは1973年。以来両市の訪問団の相互派遣は40回以上、述べ700人を超える市民の方々が、お互いの文化を肌で体験されました。

今年もつい先日、学生主体の11名の小野市民がリンゼイ市を訪問し、ホームステイしながら、様々な異文化体験をしてきました。出発前の壮行会に私も出席し、「実際に自分の目で見て、手で触れて、そして体験する“STA(See and Touch and Ask)”が大切である」とお話ししたのですが、帰国後の報告会で出会った彼らは一様にたくましくなって、ひと回り成長したように感じたところです。

パレードで先導する真っ赤なオープンカーの写真と、市長とリンゼイ市民でリンゼイ市の旗を持っている写真

さて今回の訪問ですが、40周年を記念して、現地で「小野通り」と命名された公園内の通りで落成式が行われました。通りには、手作りの「モザイクアート」があり、両国の国旗などを掲揚できるポールも設置されています。また、ちょうど開催されていた毎年恒例の「オレンジ花まつり」のパレードがあり、私も真っ赤なオープンカーに乗り先導役を務めさせていただいて、約2キロに渡り沿道のリンゼイ市民から歓待されたところです。リンゼイの気候は日本の5月下旬頃の陽気で、雲ひとつない晴天にも恵まれ、まさに気分は最高でした。

訪問中、パディーヤ・リンゼイ市長、クリーグル姉妹都市親善委員長らと姉妹都市交流について意見交換をしたり、40年もの長きにわたって小野とリンゼイの架け橋として活動していただいた現地にお住いの親善特命大使「加来(かく)ゆり子」さんに感謝状をお渡しすることもできました。

プレゼンテーションで小野市をPRしている写真と、パディーヤ市長と加来さんと市長の3人の記念写真

また祝賀パーティでは、120名の皆さんを前に、私自ら英語を交えて小野市を紹介するプレゼンテーションもさせていただきました。

このように多くの方々のお世話になり、大変楽しく、また充実した時間を過ごし、いろいろな機会を通じて本当の交流ができたように思います。そして今年の8月には、小野まつりの時期に合わせて、リンゼイ市の皆さんをお招きすることも約束してきました。

今回の訪問でも感じたのですが、やはりこういった交流の原点は何と言っても市民です。一昔前のように行政が主体となる時代ではありません。市としてもサポートを継続してまいりますが、リンゼイ市民と小野市民の皆さんが主体的に交流する新しい姉妹都市のあり方を、市民主導で構築され、ますます交流が深まっていくことを期待しています。

2013年4月24日(水曜日)

より安全でおいしい水を ~市場水源地紫外線処理施設が完成~

皆さんは小野市の水道水がどこでつくられているかご存知でしょうか。
市全体の約66%が、船木浄水場、市場水源地、河合第1水源地、同第2水源地の4つの施設でつくられ、不足する分(約34%)は、兵庫県から供給を受けています。今月の12日、この市場水源地の浄水施設がリニューアルしました。
市場水源地では、約16%を供給していますが、ここの水は、加古川の伏流水を水源とした浅井戸水で、濾過(ろか)施設を必要としない良好な水質と、豊富な水量を維持しており、小野市の貴重な自己水源のひとつとなっています。

市場水源地紫外線処理施設の完成を記念するテープカットの写真

近年、通常の塩素処理では死滅せず、感染すると下痢や腹痛などを引き起こす耐塩素性病原生物クリプトスポリジウムなどへの対策として、紫外線による処理技術の安全性が確認され、その技術指針が整備されたことから、日本でも紫外線処理施設が導入されるようになってきています。
小野市においては、これまで水道水の原水からこの病原生物が検出されたことはありませんが、「先手管理」で、船木浄水場の膜処理施設(平成21年完成)に続き、この市場水源地において約5億円をかけ紫外線処理施設等の整備を行ったところです。

ひまわりと小野市の地図のイラストでデザインされた新しいパッケージの2本のおのみ~ずの写真

この施設の完成を機に、市場水源地の水を使用した水道水のペットボトル「安心して“おのみ~ず”」もパッケージデザインを一新しました。小野市の水道水は、50項目の検査(ミネラルウォーターは18項目)をクリアした、まさに安心・安全な軟水で、赤ちゃんのミルクをつくるのにも最適です。また外出時の水分補給や、災害時の備蓄用にも、ぜひご活用ください。1本100円で、水道部窓口のほか、イオン小野店やコミュニティレストランなどでも購入いただけます。

水は生命の源であり、市民の日常生活には欠くことのできない貴重な資源です。市民の安全・安心を担う水道事業の管理者としてその責任を果たすために、必要な投資は惜しむことなく、また一方で北播磨の中で一番安い上下水道料金を維持しながら「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を基本理念として、今後も水道事業に取り組んでまいりたいと考えています。

2013年4月17日(水曜日)

順調に建設が進む 北播磨総合医療センター

小野市と三木市との統合病院「北播磨総合医療センター」のオープンまで、残り半年となりました。皆さんも国道175号市場東交差点付近を通行される際、緑に囲まれた東側の高台に大きくそびえる病院本館の姿をご覧になられることがあると思います。私も出張の折などにはいつも気にかけて見ていましたが、今月の初めにちょうど建設現場を視察する機会を得ました。

建設中の北播磨総合医療センターを視察している市長達の写真

視察には、同医療センター企業団の長である私のほか、副企業長の三木市長、両市の市議会議員など約50人が参加しました。工事担当者から説明を受けながら、小野・三木両市内が一望できる屋上のヘリポートから順番に、手術室や診察室、最新鋭の放射線治療室の設備なども確認しました。病院本館の建築工事は順調に進んでおりまして、進捗状況は70%、6月にも完成する運びで、その後内装や外構工事、医療機器の搬入等を経て当初の計画通り10月に開業する予定です。

同センターの建設については、平成19年に神戸大学からの提案を受け、平成20年に小野市と三木市が市民病院の統合に合意。大学と行政が連携して病院を建設するという、全国でも例を見ない先駆的な取り組みとしてスタートしました。新病院は、敷地約9万平方メートル、建物は地上7階建で、免震構造を採り入れています。診療科は、内科系13科、外科系14科の27科を設け、一般病棟は450床を配置します。また患者や医師が移動しやすい動線に配慮するなど、来院者に分かりやすい構造となっているほか、駐車場も約1200台収容できます。

また、その南側には国立病院機構「兵庫青野原病院」の移転も決定。すでに造成工事も始まっており、その病床数250床を合わせると700もの病床数を有する県下でも屈指の医療拠点となります。さらに、小野市民病院の跡利用については、昨年末に社会福祉法人「栄宏福祉会」と基本協定を締結し、医療施設と特別養護老人ホームとして、平成26年度に開業される予定です。

北播磨総合医療センターの完成予想図

これら3つの病院がリンケージするとともに、先頃県により正式にルート決定された「東播磨南北道路」が開通すれば、車で約5分で往来できるようになる3次救急の県立加古川医療センターとの連携も強化され、更なる医療拠点として発展すると考えています。

新病院の病院長には、前神戸大学副学長の横野浩一氏に就任いただくことも内定しています。「医療に市境はない」という考えのもと、近隣の病院や地域の開業医と連携を取り、地域医療の充実をさらに進めながら、人材と設備のそろった北播磨随一の総合病院を目指してまいります。

2013年4月10日(水曜日)

小野の桜で春色満喫

皆さんは、もうお花見に出かけられましたか?

国宝浄土寺を彩る桜の写真と、ライトアップされた市役所前の夜桜の写真

今年も市内の随所で満開の桜を楽しむことができました。国宝浄土寺を彩る桜、総合体育館アルゴ周辺、匠台公園そしてライトアップされた市役所前の夜桜もきれいですが、なかでも、一番の見どころはやはり加古川の粟田橋下流から東条川古川橋までの全長4キロメートルに及ぶ「おの桜づつみ回廊」です。

全部で650本ある桜並木はまさに圧巻。私も市役所への行き帰りなどに立ち寄りましたが、年々美しさとスケールを増しており、まさに西日本有数の桜の名所になりつつあります。

ソメイヨシノやシダレザクラなど5種類の桜が咲く桜づつみ回廊の桜のトンネルの写真

おの桜づつみ回廊は、国の協力により加古川の堤防改修にあわせて平成14年から整備し平成20年に完成しました。ソメイヨシノやシダレザクラなど5種類の桜がそれぞれ若干咲く時期をずらしながら、上流から下流へ早咲きから遅咲きへと順番に開花していきますので、これからでも十分楽しんでいただけます。

おおべの大なべ特製の豚汁が配られている写真

7日の日曜日には恒例となった大部地区地域づくり協議会主催の「桜づつみウォーク」も行われました。風が強く少し肌寒いあいにくの天候でしたが、それでも700人を超える方が参加され、「おおべの大なべ」特製の豚汁も無料で振る舞われるなど、桜を通して人と人との交流の輪が広がっています。

地域活性化の柱は、「ことおこし」、「ものおこし」、それらを支える「人おこし」です。桜づつみ回廊の例を挙げるまでもなく、施設整備も単なるハード事業ではありません。「ものおこし」の一環であり、いわばソフト事業と位置づけています。この「3つのおこし」が三位一体となって、「賑わいづくり」が「誇りづくり」となり、その「誇りづくり」が地域を愛する「愛着づくり」へと繋がっていくものと確信しています。

2013年4月3日(水曜日)

新年度の方針は、「未来への布石、将来の礎」を見える成果へ

平成25年度の市長方針について書かれた画像

いよいよ新年度が始まりました。「変えよう小野、変わろう小野市」をスローガンに掲げ、市長に就任以来、早や4期15年目を迎えています。その間、人口減少、超少子高齢化の進展そしてエネルギー問題等々、社会情勢は予想をはるかに超えるスピードで変化し、市民ニーズも多様化してきております。時代とともに市民満足度も変わる中で、20年、30年先をしっかりと見据えつつ、将来の小野市の確固たる基盤を築いていくため、今年の市長方針を「“未来への布石、将来の礎”を見える成果へ」としました。

小野市では、行政経営の管理手法・ツールとして、「小野市型方針管理制度(TQC)」を実施していますが、まず、その年度の主軸となる“市長方針”を私自らが真っ先に示します。この市長方針を頂点とし、それを実現するために部長、課長、係長そして主務へブレイクダウンして其々が具体的方針をたて、PDCAのマネジメントサイクルを展開して、「結果とプロセス」を評価し、改善を進めながら組織全体として市長方針の達成を目指すというシステムです。

国政を取り巻く環境は、直接、間接を問わず、我々自治体にも様々な影響を及ぼしており、今後もこれまで以上に厳しい環境に直面していくと考えられます。不確実な未来を可視化できない社会経済情勢にあって、我々に求められるのは、大きな流れや情勢をしっかり見極め、物事の本質を見抜く「洞察力」。目指す目標を達成するために行動につなげ、新しい価値観を生み出していく「構想力」。そして、それらを、胆力と精神力でスピード感をもって実行に移す「決断力」であると確信しています。

そのような中で、本年度は、三木市との統合病院「北播磨総合医療センター」のオープン、安全安心の拠点となる「防災センター」の建設、そして「ホテル」の誘致と隣接する「市民交流ホール」の整備等、将来の小野市発展の礎となるビッグプロジェクトが結実する重要な年になります。

「行政も経営」という基本理念と「顧客満足度志向」「成果主義」「オンリーワン」「後手から先手管理への転換」という「行政経営4つの柱」を基軸として、今年度の市長方針である、20年、30年先を見据えた「未来への布石、将来の礎」の見える成果を追求してまいります。

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