市長施政方針

更新日:2026年02月25日

令和8年2月 第457回小野市議会(定例会)

はじめに

第457回市議会定例会の開会にあたり、令和8年度当初予算をはじめ、重要案件の慎重なるご審議をお願い申し上げますとともに、市政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解とご支援を賜りたいと存じます。

MATERIALIZE THE ONO VISION ~挑戦の先へ「理想の具現化」~

昨年は、世界における政治や経済情勢、国際秩序が大きく揺れ動いた一年でありました。年初には、第2次トランプ政権が発足し、「ドンロー主義」とも評される「保護主義による関税政策」や「他国の主権を軽視した内政干渉」など、一方的な独自の理論による前例のない施策を推し進められたことにより、日本も含めた世界が翻弄されました。

その結果、今や世界は、いわゆる大国と呼ばれる国々が、これまでの多国間協調を軽視し、自国が持つ経済力や軍事力を背景に、勢力圏の拡大や資源の確保など、国益を最大化させるため、自国第一主義の政策を推し進め、一方的に現状を変更する「力の時代」に逆戻りしつつあるのではないかとも思えます。

この「力の時代」の再来は、日本においても憂慮すべき岐路に直面しているのであり、東アジアにおける対中関係の緊張や、アメリカの政策不確実性など、外交安全保障の問題だけでなく、国内経済や産業における予見可能性においても深刻な影響を及ぼしています。

この歴史的にも混沌とした先行きの見えない国際情勢に、日本は、今まさに直面しているのであり、これまで以上に、大国などとの外交関係や、世界各国の動向を注視しなければならず、我々は、このような無秩序な時代の渦中にいるという冷静かつ客観的な視点を持つ必要があります。

一方、国内に目を向けますと、昨年は、日本の憲政史上初の女性内閣総理大臣が誕生いたしました。新政権では、責任ある積極財政を基本方針として「生活の安全保障・物価高への対応」や「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」、「防衛力と外交力の強化」を柱とし、大胆な投資促進とインフラ整備を一体的に講じることにより、地方に成長産業を呼び込み、戦略的に産業クラスターの形成を推進するなど、強い経済、豊かな日本を目指すとしております。

そのためもあってか、日経平均株価においては、昨年4月には、トランプ米政権の関税政策による景気後退リスクを背景に一時大幅に下落したものの、企業における本年3月期決算の増益を射程圏にとらえた10月には、人工知能や半導体関連企業における株高により5万円を突破し、さらに、本年に入ってもこれらAI関連企業などの成長産業が牽引する株価の上昇基調は続き、1月に5万4000円台、そして衆議院議員総選挙後の自民党が圧勝した今月には、安定政権により6万円台も視野に入る長期株高への成長期待も寄せられています。

その一方で、高市政権が掲げる「積極財政」が、物価高を助長しているとも言われ、外国為替市場では「財政規律が緩む」との懸念から円売りが加速するとともに、財政赤字拡大を通じて国債の信認リスクが高まり超長期国債の金利も上昇しております。物価高対策の救世主として、先日の衆議院議員総選挙の争点となった消費税減税という「減税ポピュリズム」により、インフレが経済構造に組み込まれる「構造インフレ」の懸念が高まるとも言われており、これからが真の正念場であると考えております。

このたびの選挙結果を受けて、食料品に係る消費税が2年間減税されようとしております。その結果、小野市への地方消費税交付金は2億円程度の減収が見込まれます。消費税は、年金、医療、介護、子育て支援などの社会保障を支える安定財源であり、まさに「次の世代」に関わる問題でありますので、「政争の具」とすべきではありません。我々は、次の世代のことを考え、将来への贈り物として、小野市の将来ビジョンを明確にし、見える成果として具現化するための「胆力のある投資」や「行政経営基盤の再構築」を行い、次の小野市発展の基礎を構築していかなければなりません。

日本は、これまで「期待と失望」の無限のループの中で、多くの税金と時間を消費してきており、それが「失われた30年」であります。国内では、「静かな有事」と呼ばれる人口減少、超高齢社会の進展、物価高騰や実質賃金の低下など、将来への不安や不透明さを背景に、排外主義が広がっておりますが、それとは裏腹に、働き手不足が一気に深刻さを増す「2040年問題」も露呈してきており、これらの厳しい課題に対する「解は、自分自身で見つける」しかありません。

さらに、本来は大衆の利益を追求する思想であるポピュリズムが、大衆を扇動し、大衆から人気を得ることを第一とするような、急進的、非現実的な主張が大きな広がりをみせております。地方行政においても、自治体のリーダーの資質や能力の低下、それに伴う行政の混乱や停滞、住民間での分断などが続いており、政治が信頼を失った先に待つのは、どのような社会なのか、我々は肝に銘じる必要があります。

これは、SNSをはじめとする、様々な媒体から自然発生的に発信される「断片的な極論」により「争点対立」から「感情の対立」への誘導が進み、さらに分断が加速化することによって、本来あるべき「均衡点」が移動してしまい、結果的に民主主義に基づいた民意であったとしても疑問視される時代になっていると考えられます。

このような状況下においては、自治体のリーダーに対し、その資質や能力が求められることは言うまでもなく、市民におかれても、多様なメディアから発信される様々な情報を的確に捉え、適切に行動するために、いかに自律した自己を確立するかが重要になるのであります。

すなわち、理想の「未来」を創り上げるためには、自治体のリーダーだけに頼るのではなく、市民においても「自らが未来を切り拓く」という気概を持っていただくことが重要であり、そのためには、国や自治体の政策運営に対し積極的に関心を持っていただくとともに、市民においても「社会的価値に対する判断力」や「意思決定力」が問われる時代になっているのであります。

これはまさに、小野市の行政経営における「無関心から関心へ」の理念そのものであり、時代は変わろうとも、「民間の感覚と感性で小野市を変える」と決意し、「変えよう小野、変わろう小野市」というスローガンを掲げた当時と、その思いは同じであります。

このような混沌とした時代における首長の使命は、現状を「洞察」し、未来の小野市のあるべき姿(VISION)を「構想」し、スピード感を持って「決断」することにより、それらを見える成果として、「具現化(MATERIALIZE)」することであります。

昨年11月末には、市長就任時からの大きなプロジェクトであった東播磨道が開通いたしました。この道路は、県立加古川医療センター、加古川中央市民病院、北播磨総合医療センターを結ぶ「命の道」であり、災害時における「安全安心の確保」、さらには臨海部と内陸部の連携強化による「雇用創出」や「定住促進による少子化対策」につながるものであります。

また、新たなまちづくり構想として、都市機能が集積するシビックゾーンと一体となる「図書館東側区域区画整理事業」や「大型商業施設の開業」、「浄谷黒川丘陵地整備事業」など、官民連携により小野市の更なる発展に向けた基盤づくりを積極的に進めております。

このような道路交通網などのインフラ整備や、新しいまちづくり構想は、小野市が持つポテンシャルを更なる高みへと引き上げ、資産価値を高める「次世代、将来への贈りもの」であり、これが未来に飛躍するための「スタートライン」になるものであります。

いかに時代や、国内外の情勢が変化し、混沌とした社会になろうとも、更なる小野市発展の礎を築くためには、時代の潮流を的確に捉え、目標とする将来ビジョンを明確にし、確固たる成長戦略のもと、市民の方々とともに新たな創造と変革に挑戦し続ける必要があります。

小野市が、成長トレンドの波に乗れるか否か、また、生き残りではなく勝ち残りを目指すためには、受け身の姿勢ではなく、むしろ、この機をチャンスと捉え、したたかに、そして積極的に新しいものに果敢にチャレンジするという強い意思があってこそ成し得るのであります。

小野市が飽くなき挑戦者であり続け、後に「英断」であったと言われるように、令和8年度においても引き続き、行政経営の基本理念に基づき、積極的に事業を展開してまいります。

その基本理念となるのが、四半世紀に及ぶ市政運営において、決してぶれることのない「行政も経営」であり、「より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するか」を追求することであります。

また、そのための「行政経営4つの柱」すなわち、

1つに、市役所は市内最大のサービス産業の拠点であり、市民=顧客と捉えた「顧客満足度志向(CS志向)の徹底

2つに、何をやっているのかではなく、何をなし得たかを問う「成果主義

3つに、画一的横並びの仲良しクラブから脱却し、ここにしかない小野らしさ、持ち味を追求する「オンリーワン」、

そして4つに、言われてからやるのではなく言われる前にやる「後手から先手管理への転換

を基軸に、飛躍する小野市の理想の「未来」に向け、積極的な市政運営に果敢に立ち向かうという姿勢は、何ら変わるものではありません。

新年度予算の主な施策

令和8年度の一般会計予算総額は、242億4千万円としております。昨年度と比較しますと、6億3千万円、2.7%の増とし、11年連続で200億円超えの積極型予算であります。国の補正予算の関係で3月補正予算に前倒しした12億7千万円と合わせますと総額255億1千万円となり、250億円超えは2年連続となる“超積極型予算”であります。

歳入の主軸となる市税収入は、ひょうご小野産業団地における工場などの新築による固定資産税や、個人所得の伸びによる市民税の増加に伴い、対前年度当初予算比で1億1千万円の増となり、過去最高となる80億4千万円を見込んでおります。

基金からの繰入金は、対前年度当初予算比6億3千万円増の23億4千万円、市債発行額は6億1千万円減の7億1千万円としており、物価高騰などの影響により財政基金取崩額は20億9千万円と過去最高となりますが、徹底した無駄の排除に取り組むことで、持続可能な健全な財政基盤を確立してまいります。

令和8年度の予算編成においては、全国的な物価高騰などにより大変厳しい状況にありましたが、このような厳しい状況であるからこそ、将来にわたる持続可能な財政基盤を確立するとともに、更なる発展の礎となる積極的で大胆な投資と、市民満足度の高い、きめ細かな施策の充実を念頭に置いた予算編成としております。

この令和8年度予算における重点項目は大きく「5つ」であります。
1つには、小野市の実情に応じたきめ細かい「物価高騰対策」
2つには、「新たな価値を創出するまちづくり」
3つには、「子育て支援・教育環境の充実」
4つには、「活力ある地域づくりの推進」
5つには、「安全・安心に暮らせるまちづくりの推進」であります。

≪1. 物価高騰対策≫ 

1つ目の重点項目、『小野市の実情に応じたきめ細かい「物価高騰対策」』についてであります。

昨年の12月補正予算でご決定いただいた物価高騰の影響を受けている市民及び市内商業者を支援するため、プレミアム率50%の「第7弾おの恋らっきゃプレミアム商品券」を3月25日から販売いたします。

この支援策に引き続き、物価高騰に対する緊急支援策として、暮らしの安心感を確保するため、高校生以下のこどもに1万円分、65歳以上の高齢者に5千円分の「第8弾おの恋らっきゃらっきゃ券」を配布することにしております。この商品券は、長期間にわたり市内で循環することによる相乗効果を生み出すことが狙いであり、総合的に10億円を超える経済効果を見込んでおります。

また、保育所や認定こども園、放課後児童クラブなどにおいて、物価高騰下であっても、継続して安心したサービスが受けられるよう、光熱費、食糧費等の利用者負担を増加させないための支援を実施することにしております。

学校給食費につきましては、子育て世帯を支援する観点から、国の方針に沿って、小学校や特別支援学校小学部の「学校給食費の抜本的な負担軽減」、いわゆる“給食無償化”を実施いたします。中学校や特別支援学校中学部においては、食材費の高騰の影響を受ける学校給食会計に対し、支援を行うことにより保護者が負担する価格への転嫁を避けるとともに、学校給食の品質や量の維持を図ってまいります。

さらに、修学旅行については、子どもたちにとって、仲間との体験を通じて社会性を育み、日本の地域や歴史を学ぶ重要な教育活動であり、かけがえのない思い出となる『特別な学びの場』でもあることから、修学旅行代金の一部を補助し、子どもたちが、安心して学びの機会を得られるよう、家庭への負担軽減を図り、子どもたちの更なる教育環境の充実を推進いたします。

これら物価高騰対策は、小野市の実情に応じ、きめ細やかで、市民満足度と経済効果とを狙い、実施しようとするものであります。また、その実施に際しても、これまで、関係団体や、市内の事業者の皆様とともに培ってきた独自のノウハウを最大限に活かし、迅速かつ確実に実施するものであります。

≪2. 新たな価値を創造するまちづくり≫

次に、2つ目の重点項目、「新たな価値を創出するまちづくり」についてであります。

現在進めております、都市機能が集積したシビックゾーンと一体化させ、新たな商業地等を形成する「図書館東側区域区画整理事業」につきましては、令和8年度では、事業認可取得に向けた計画書を策定するなど、引き続き、官民連携した事業展開を推進してまいります。

この官民連携した区画整理事業により、来年秋にオープンする大型商業施設とともに、活気と賑わいがあふれ、小野市の資産価値を見える形で高め、持続可能なまちづくりを引き続き、進めてまいります。

また、AI(人工知能)やデータセンターなどの最先端産業の進展による全国的な産業用地不足を背景に、産業用地整備の支援事業として国が実施している「産業用地適地選定調査業務」に昨年、近畿圏で唯一、小野市が採択されました。現在、浄谷黒川丘陵地における産業用地整備に向けた本格的な調査を行っており、その活用手法について、引き続き検討を進めてまいります。

さらに、浄谷黒川丘陵地内の「小野希望の丘陸上競技場アレオ」周辺において、高い確率で発生が予測される南海トラフ地震による大規模災害に備えるため、防災機能とレクリエーション機能を兼ね備えた公園整備を計画しており、平時においては市民の健康づくりや憩いの場として活用しながらも、有事の際には防災救援物資の集積所としても利用できる施設の整備を進めてまいります。

また、貴重な歴史遺産であり、地域のシンボルである「金つるべ城跡広場」においても、老朽化した木橋を更新することにしております。

次に、道路や水道などのインフラ整備の推進についてであります。昨年11月末に、国道2号バイパスと国道175号とを結ぶ「東播磨道」が全線開通し、さらに12月15日には山田町から小野ニュータウンへと抜ける「新都市南北線」も全線開通いたしました。

さらに、三木市と共同で工事を行っており、小野工業団地等から山陽自動車道へのアクセスが大いに向上する「(仮称)三木スマートIC」の整備についても、令和8年度末の完成に向け順調に進捗しております。

これらの道路整備は、交通渋滞の緩和や交通利便性の向上だけではなく、医療ネットワークを飛躍的に向上させるとともに、東播磨地域と北播磨地域との連携強化による雇用の創出、沿道における開発促進など、小野市だけでなく北播磨地域全体のポテンシャルを飛躍させる「ストック効果」が期待できる基盤整備であります。

令和8年度は、「道路整備がもたらすストック効果」を追求し、次世代を担う人々への「将来への贈りもの」として、新たな道路整備構想を進めてまいります。

具体的には、「図書館東側区域」の区画整理を見据えて、市街地内における東西方向の幹線道路の充実を図るための「大池横断道路」、新都市南北線の全線開通により、「小野長寿の郷構想・山田地区」へのアクセスが飛躍的に向上したことから、小野ニュータウン東側に位置する山林の土地活用を想定した「小野長寿の郷構想・山田地区内道路」などの基本構想を行うことにしております。

次に、市民生活を支えるライフラインである水道事業については、浄水場や配水池など全ての水道施設の運転を遠隔監視、制御できるシステム整備を行ってまいります。また、配水管の耐震化についても加速化して、引き続き進めてまいります。

次に、「新ごみ処理施設」についてでありますが、令和7年度より、庁舎内に新ごみ処理施設整備を主導する組合の組織として「建設推進室」を設置し、基本計画等の策定を進めてまいりました。令和8年度においては、基本設計や生活環境影響調査、敷地造成の実施設計に着手するなど、令和16年度の稼動を目指し、基本理念である「地域に親しまれ、開かれた施設」の実現に向け、整備計画をより具現化してまいります。

また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、「エネルギーの創出」と「資源の循環」の両面から温室効果ガスの排出抑制や低炭素社会の実現を推進するため、各家庭において、自家消費する再生可能エネルギーを普及促進させる、住宅用太陽光発電設備と蓄電池の一体的な導入を支援してまいります。

加えて、循環型社会の推進として、市内で発生する年間約900トンに及ぶ刈草や剪定枝について、これまで「ごみ」として小野クリーンセンターで焼却処分を行ってきておりましたが、これらを「資源」と捉え、堆肥へとリサイクルさせることにより、地球温暖化対策を含む、持続可能な社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

≪3. 子育て支援・教育環境の充実≫

次に3つ目の重点項目、「子育て支援・教育環境の充実」についてであります。

まず、平成28年7月から、県内でいち早く開始した「高校3年生までの医療費の所得制限なしでの完全無料化」は、令和7年度時点では、県内の26市町、約63%の自治体にまで広がり、小野市は、その先駆者としての役割を果たしてまいりました。引き続き、この事業を実施していくとともに、令和8年度からは、子どもを望まれるご家庭が、安心して不妊治療を受けることができる環境を整備するため、保険診療、保険外診療にかかわらず、不妊治療に対する助成制度を創設し、経済的な負担の軽減を図ることにしております。

具体的には、不妊治療1回あたり5万円を助成し、女性の年齢が40歳未満の方は、1子ごとに6回まで、40歳以上の方は1子ごとに3回までの助成を行うことにしております。

加えて、健やかに妊娠期を過ごし、安心して出産を迎えることができるよう、遠方の周産期医療センターへ通院する必要のあるハイリスク妊婦等を対象として、妊産婦健診や出産のための通院にかかる交通費の8割助成を開始いたします。

また、5歳児を対象とした健康診査を保健センターで実施し、こどもの特性を早期に発見し、特性に合わせた生活習慣、その他育児に関する指導を行い、幼児の健康保持、増進を図るとともに、1歳から2歳の乳幼児に対しては、家庭の経済的負担の軽減に加え、髄膜炎や難聴などの合併症のリスク軽減と、おたふくかぜの感染予防のため、ワクチン接種費用の一部を助成することにしております。

また、RSウイルスが予防接種法のA類疾病に分類されたことにより、妊婦と生まれてくる新生児のRSウイルス感染予防、重症化リスクの低減のため、妊娠28週から37週に至るまでの妊婦に対し、RSウイルスワクチンの接種費用を全額助成することにしております。

学校施設の老朽化対策については、「河合中学校」において、省エネルギー化や多様な学習形態が可能となる大規模改修(長寿命化)工事を実施するほか、「旭丘中学校」においては、昨年に引き続き体育館建替工事を進めるなど、安全・安心な教育施設環境整備を推進いたします。

また、各学校施設において、教室の空調設備更新、照明のLED化、エレベーターの設置などの整備も積極的かつ計画的に進めてまいります。

さらに、平成30年度に策定した「小野市学校施設長寿命化計画」について、策定後7年が経過し、社会情勢の変化や学校施設を取り巻くニーズの変化、将来の児童生徒数の推移などに柔軟に対応するため、現行計画を見直し、将来の学校施設のあるべき規模や配置に向けた調査を進めてまいります。

「おの夢と希望の教育」を更に推進するため、「NEXT GIGA(ネクストギガ)」、すなわちGIGAスクール構想の第2段階として、1人1台端末の更新や新たな授業支援ソフトなどを導入し、ICT教育環境整備を進化させてまいります。

また、不登校児童生徒の多様な学びの機会を保障し、子どもたちが自分らしい成長とかけがえのない思い出を深められるよう、家庭の負担軽減を図りつつ、安心して学びの場を選び、仲間や地域とのつながりを保ちながら学び続けられるよう、フリースクール等民間施設に通う児童生徒の授業料の一部を支援することにしております。

部活動の地域展開についても、計画的に環境整備を進めており、部活動を担当する教員の負担軽減を図りながら、部活動指導員の配置により、中学生がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる環境づくりを推進してまいります。

次に、令和4年度から整備を進めてまいりました「おの幼稚園」でありますが、2月2日に、竣工式を盛大に開催し、いよいよ、この4月から、小野市の教育行政顧問である東北大学川島隆太教授の「脳科学理論」に基づく幼児教育を実践する場として開園します。隣接する小野小学校との幼小連携に加え、異年齢との交流活動など様々な体験活動の充実や、親子の愛着形成を図る取組など、小野市独自の幼児教育を進めてまいります。

また、学童保育(アフタースクール)においては、利用者ニーズの高まりから毎年、年度当初に待機児童が発生していた現状があったことから、小野東小学校敷地内での新たな教室の建設や、空き教室の活用などにより、現在の10教室から13教室へと拡充し、待機児童の解消を目指します。

保育環境充実の観点から、毎年計画的に老朽化した保育所・こども園の園舎整備に取り組んでおりますが、令和8年度は、「小野こども園」の全面建替工事に着手することにしております。

また、河合運動広場においても、施設利用者の利便性向上、低炭素社会の推進、運営経費削減などの観点から、多目的グラウンド及びテニスコートにおける夜間照明のLED化を進めてまいります。

≪4. 活力ある地域づくりの推進≫

次に、4つ目の重点項目、「活力ある地域づくりの推進」についてであります。

地域力の要となる自治会活動に対して、従来の「健康」、「防災」、「教養」活動への支援を継続し、地域力を醸成するとともに、自治会活動の持続可能性を高めるため、電子回覧板の導入などにより、更なる自治会業務の負担軽減や効率化に対する支援を継続してまいります。

加えて、令和8年度は、急増する外国人と地域との共生を進めるため、「多文化共生社会」の形成を推進する自治会活動に対して支援を拡大するなど、地域の課題解決に取り組む自治会に対し、積極的な支援を行ってまいります。

さらに、住民同士のつながりや、地域コミュニティとしてのふれあい、支え合いの仕組みを育む「地域の居場所づくり」を支援するため、地域住民により運営され、独居高齢者等へのボランティア的な弁当配達を含む食事の提供など、地域住民の生活の拠り所となっている団体に対し、支援を行ってまいります。

また、関西内陸部最大規模のイベントに成長した「小野まつり」については、創意工夫による新たな「まつりの姿への創造」を期待しつつ、市民と行政との「参画と協働」が目に見える形の「まつり」として、元気な小野市を発信することにしております。

さらに、今年で13回目を迎え、「冬のおの恋」として定着した「小野ハーフマラソン」についても、市民のボランティアマインドを結集し、全国から多数集まったランナーを「おもてなし」の心で出迎え、元気な小野市を発信してまいります。

市民活動の拠点として多くの方々にご利用いただいております「うるおい交流館エクラ」は、平成17年3月にオープンし、昨年、開館20周年を迎えております。施設を安全・安心かつ快適に利用していただくため、令和5年度から計画的に改修事業に取り組んでいるところですが、令和8年度は、照明設備更新工事を実施するとともに、令和9年度以降の改修計画を策定することにしており、市民活動活性化の中心施設としての役割を担ってまいります。

また、営農者の減少や高齢化により、実施が困難となっている水路やため池等の「草刈り作業」の負担を軽減するため、ラジコン草刈機の導入(購入・リース)を支援することにしております。この支援事業は、草刈り作業を受託する農作業支援事業者についても対象にしておりますので、農作業支援事業者の育成と、重労働である草刈り作業を支援事業者に委託できる環境を整えることで、新たなモデル事業を構築してまいります。

≪5.安全・安心に暮らせるまちづくりの推進≫

最後に、5つ目の重点項目、「安全・安心に暮らせるまちづくりの推進」についてであります。

平成16年1月から運行を開始した「らんらんバス」は、現在、9台、11ルート、175箇所の停留所を設置し運行しております。運行当初は、年間約3万人の利用者でしたが、令和6年度では、過去最高の約20万人の利用者となり、高齢者だけでなく、遠距離通学の小学生児童、匠台の企業に従事する労働者の移動手段としても利用されており、今や市民生活において、欠かすことのできない交通手段となっております。

さらに、令和4年10月から運行を開始した「らんらんタクシー」も、利用登録者数が約1,500人、令和7年度の利用件数は約2万件になる見込みであり、定時定路線型の「らんらんバス」を補完するシステムとして、十二分にご利用いただいておりますので、多様な移動ニーズに応えるため、継続して実施してまいります。

次に、市内の刑法犯認知件数は、ピーク時の平成13年には1,473件でありましたが、令和7年には283件と81%も減少するなど、地域全体で犯罪等を未然に防ぐための取組が、“見える成果”として表れ、市民の体感治安の向上に寄与しております。

警察官OBを隊員とする「安全安心パトロール」は、警察官として培ってきたプロの目線による警戒活動だけでなく、市内の環境美化、児童や生徒、高齢者の見守りなどの活動も含め、行政や警察の目が行き届かない、ニッチ(隙間)を埋める活動も行っております。

加えて、防犯カメラや防犯灯の設置、警察と連携した防犯情報を配信する「安全安心メール」などにより、まちの防犯機能、防犯意識を高めるなど、継続して市民が安全で安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

県道三木宍粟線の「粟生交差点」では、その北側の市道127号線の幅員が狭小なため、車両のすれ違いが困難であり、児童生徒の通行にも危険を及ぼしております。このたび、この市道拡幅と交差点改良を行い、安全かつ円滑に通行できる道路環境を整備してまいります。

老朽化が進み、自治会からも多くの要望がある、幹線道路や生活道路の舗装修繕につきましても、老朽度や交通状況等を考慮し策定した「舗装修繕計画」に基づき、計画的かつ効率的な修繕を実施することにより、安全な交通環境を継続して確保するとともに、通学路の安全対策につきましても、定期的な関係機関による合同点検実施などに継続して取り組んでまいります。

橋梁につきましても、その多くが老朽化する中、5年毎に実施する点検結果を反映した長寿命化修繕計画に基づき、計画的かつ効果的に補修を実施するとともに予算の平準化とトータルコストの低減に取り組みます。さらに、市が管理する河川につきましても、近年頻発する豪雨に備え、河川に堆積した土砂の撤去や支障木の伐採による通水断面の確保、洗堀された河床の補修、護岸ブロック工事等の実施により、災害を未然に防ぐための対策を講じてまいります。

ため池においても、台風や豪雨、地震による決壊等から、住宅や農地を守るため、順次、耐震工事や、利用されていないため池の廃止工事を行っております。令和8年度は、八ヶ池(はちがいけ)(河合中町)、下鹿野(しもしかの)(だに)池(敷地町)、境田(さかいだ)池(西脇町)及び奥タバ池(曽根町)の耐震工事等を予定しており、災害に強い、安全・安心な農業基盤整備を進めてまいります。

また、一昨年の1月に発生した、能登半島地震の課題を踏まえ、家屋被害認定調査や罹災証明書の発行を迅速に行うため、県内統一した被災者支援システムを導入することにしております。この県内統一システムを導入することにより、災害時の応援や、受援体制などの連携が容易となり、全市町の情報が、県へ集約されることになることから、広域防災を担う県が、速やかな被害状況及び調査状況の把握が可能となり、被災市町への円滑な支援に役立つものと考えております。

市民の生命、財産を守る消防業務において複雑多様化する火災や救助現場にも的確に対応できるよう、新たな「訓練施設」を整備することにしております。この訓練施設は火災防御をはじめとした実践的な訓練環境を整備し、より実災害に近い条件下で一連の訓練を可能とすることで、職員の技術力及び現場対応能力の向上を図り、更なる消防体制の強化につなげてまいります。

全国的に増え続ける空き家について、令和5年の住宅土地統計調査で、小野市の空き家率は12.5%と、全国及び県の数値を下回ってはいるものの、5年前の調査より、約1%上昇しております。今後、空き家は、増加が見込まれることから、先手管理として、老朽危険空き家の解体や、リフォームにかかる経費の一部を補助する制度を創設することにしております。また、空き家に対する意識改革を促し、放置空き家の発生を未然に抑制するため、市民向けの相談会や、管理や売却、相続などを専門家から気軽に学べる啓発セミナーなどを開催することにしております。

次に、令和6年度から令和8年度までの3年間を集中取組期間として「ごみステーションの整備と美化」を推進しており、令和8年度が最終年度となります。この集中取組期間における、自治会への整備経費の助成額を、上限30万円、補助率2分の1に引き上げており、ガラスびん回収用ドラム缶についても、希望する自治会に対し、軽量で景観に配慮したプラスチック製のものへの交換を「無償」で進めております。

令和6年度からの2年間で交換申請があった市内70以上の自治会(交換対象自治会の75%以上)のドラム缶をプラスチック製のものへと無償交換が完了しておりますが、残る自治会に対して、令和8年度が最終取組年度であることから、積極的に周知を行い、ごみ出しに対する市民の負担軽減と意識改革に取り組んでまいります。

また、市民の健やかな暮らしを守り、健康に対する意識向上を図るため、「国保ミニドック」の全額助成を実施いたします。これは40歳から74歳までの国民健康保険に加入されている市民の方々を対象に、特定健診とがん検診(肺・大腸・前立腺・乳・子宮がん)をセットにして、健診費用の全額助成を行うものであり、市民の健康づくり、健康への意識啓発により、健康を守るための取組を推進してまいります。

また、障がい者やその家族の方々が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、「障がい者基幹相談支援センター」を中心として、コミュニケーション支援や移動支援、障がい福祉サービスに係る給付などの必要なサービスを提供するとともに、相談窓口と地域生活支援体制の充実を図ってまいります。

最後に、北播磨総合医療センターについてであります。開院から13年目を迎えた北播磨総合医療センターは、名実ともに北播磨医療圏域の「基幹病院」として機能しているところであります。急性期だけでなく高度急性期の医療を担い、より質の高い医療を目指し、地域の関係機関との「機能分化・連携強化」によって、地域で完結する切れ目のない医療の提供に努めております。

実稼働病床につきましては、5階西病棟の再開によって、概ねコロナ前の状況に相当する375床まで回復しており、残る7階東病棟の再開に向けた準備も、着々と進めているところです。

一方で、人事院勧告に伴う給与アップや物価の急激な上昇は、病院経営を圧迫しており、経常赤字や累積損の発生を余儀なくされ、病院の自主的・主体的な努力のみでは、到底、立ち行かない状況が続いております。令和8年度の診療報酬改定は、30年ぶりに3%台の引上げとなりましたが、まだまだコストの急増には追いつかず、非常に厳しい経営が予測されております。

このため、病院の設立母体である小野市と三木市で、合計20.2億円の関係市負担金を予算措置し、市民の命と健康を守る「最後の砦」である北播磨総合医療センターを支援してまいりたいと考えております。

予算総額と健全な財政運営

以上、令和8年度予算は、一般会計242億4千万円、特別会計108億5千万円、企業会計58億円で、総額を408億9千万円としております。

財政状況につきましては、積極的に様々な投資事業や施策を実施する一方で、行政運営を効率的に進めてきた結果、基金、いわゆる預金の残高は、令和8年度末において、約77億円を確保し、独自財政指標のガイドラインである70億円を堅持できる見込みであります。

一方、借金にあたる地方債残高は、学校の長寿命化改良工事や空調更新工事などによって、令和8年度末に194億円となる見込みでありますが、そのうち約64%にあたる123億円は、後年度に国から補填されるため、市の実質負担は約36%の71億円であります。

また、次世代が負担すべき借金をはかる「将来負担比率」は、決算が確定した令和6年度において「マイナス6.2%」であり、引き続き、令和8年度も県内市平均を下回る見込みで、将来に「ツケ」を回すことなく、健全財政を堅持できるものと考えております。

今期定例会には、一般会計予算案をはじめ、27件の議案を提出しております。細部につきましては、各担当者が説明いたしますので、慎重にご審議のうえ、ご決定いただきますようお願い申し上げます。

おわりに

「よく見れば、なずな花咲く、垣根かな」

松尾芭蕉の句でありますが、多くの情報があふれている時代において、人は見ようとするものしか見えないものであり、さらに、同じような情報に繰り返し触れることで、あたかも多数意見かのような錯覚に陥り、結果的に「無関心化」を助長する危険性が指摘されています。

また、一方的にメッセージや情報を拡散することができるSNSなどは、それを駆使した者が、受け手側の意思だけでなく、民主主義に基づく民意そのものをハックする(乗っ取る)可能性も指摘されています。

混沌とした世界情勢への危機感、物価高騰、人口減少、理性的な議論より感情に流される「情動の政治」など、このような不安定な時代だからこそ、物事の表面的な情報だけで判断し、行動するのではなく、その本質や背景、隠された意味、その原因などを見抜く力、すなわち「洞察力」が、自治体のリーダーにおいても、市民においても問われているのであります。

「未来」とは、過去と現在とを結んだ延長線上にあるのではなく、既成概念を打ち破った先にあるのであり、「明日」は今日の延長であるという錯覚から脱却しなければなりません。そのためには、「熟議を尽くし、考え抜いて構想し、揺るがず決断する」という、覚悟が必要であります。

それこそが、小野市が「未来」に勝ち残り、まだ見ぬ「新たな価値」を見いだし、それを見える成果として「具現化」することだと考えております。困難な課題であっても、揺るがず決断した未来に向かって、挑戦していく努力の中に、やりがいがあり、生きがいがあるのであります。

そのためには、「今まではこうであったという前例を踏襲することなかれ、かくあらねばならんという固定観念に捉われることなかれ」と、自らに課し、先人から受け継いだ「我がまち小野」の希望ある未来を切り拓いていくことが、我々の責務であり使命であります。

「政治とは無限の理想への果てしなき挑戦」であります。その「挑戦」の先にある「理想の具現化」に向けて、「行政も経営」という、一切変わることのない理念のもと、混沌とした世の中の変化にも柔軟に対応し、かつ、ポジティブに挑戦し続ける挑戦者として、粉骨砕身、邁進してまいりますので、皆様のより一層のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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