時の木漏れ日になつかし風景に出会う

更新日:2021年12月28日

広い空の下に広がり遠くまで見渡せる金つるべ城遺跡広場の写真

稲作が始まった弥生時代、人々は青野ヶ原の突出部に集落をつくりました。これが金つるべ遺跡で、加古川流域で高地性集落の存在が初めて発見された遺跡です。ここは、古来より交通の要衝で、幾多の人々がこの地を行き来し、弥生時代の経済・文化・情報伝達の重要な役割を果たしてきました。調査の結果、弥生時代中期から後期のものと思われる竪穴住居や石鏃(せきぞく)などが見つかっています。住居のまわりには、全国でも珍しい周提と呼ばれる壁がめぐらされていたこともわかっています。
また平安時代末から室町時代にかけては、市の中心地は奈良東大寺の荘園大部荘(おおべのしょう)に属していたため、経済的な拠点として重要な役割を担っていました。

浄土寺に収められた仏像と観音様や満開の桜に囲まれた浄土寺の外観の3枚の写真

治承4年(1180年)、平家の焼き討ちで東大寺が焼失。その再建にあたって勧進職(かんじんしき)として活躍した重源上人(ちょうげんしょうにん)はこの荘園を視察し、東大寺再建の経済基盤として、小野市浄谷町に浄土寺を建立しました。
八幡信仰および浄土思想を重んじた重源の意志のもと建てられた浄土寺は、その伽藍配置全体が数少ない貴重な文化財となっています。国宝浄土堂は宝形造りで本瓦葺きの東大寺南大門とならぶ純粋に近い大仏様(天竺様)建築です。堂内の阿弥陀如来像や観音勢至菩薩は、鎌倉時代の有名な仏師快慶の作品で、張りのある若々しい面貌や鋭い眼差しなどが中国の宋時代の様式を彷彿させます。さまざまに凝られた意匠により、西方浄土から現世に来迎する仏たちの姿がいきいきと表現されています。歴史遺産のひとつひとつにふれる時、遠い昔の人の営みが鮮やかに蘇ってきます。

郷土の歴史・芸能・風土を体験する。

好古館の展示品と実体験コーナーで貴族衣装や鎧を身に着けた男女の写真

小野藩一柳家の陣屋跡に建つ「好古館」は、市の歴史・芸能・風土に関する資料などを収蔵、展示する資料館です。館内の実体験コーナーでは、十二単(じゅうにひとえ)や鎧(よろい)を実際に身につけ、平安時代の貴族の気分を味わうことができます。また、小野市の地図を立体的な地形模型で再現した「私たちの小野」や、昔からの民俗行事や芸能を時代の流れの中で体験できるコーナー、まちの歴史と風土を映像でわかりやすく紹介するビデオコーナーなどが設けられています。その他、古代の出土品や遺品をはじめ、絵画や文書なども展示されており、郷土を楽しく探求することができます。

暗闇の中で外灯の明かりに浮かんだ柳風亭の外観の写真

好古館の敷地内には、情緒ゆたかに佇む茶屋「柳風亭」があります。瓦葺き・木造・平屋建て、床面積61.94平方メートル(二乗)の室内には澄み切った空気が流れています。ここでは、茶道を通して日本の純粋な伝統文化にふれ、わび・さびといった閑寂でうるおいのある美が堪能できます。茶庭は、木・竹・石のそれ本来が持つ自然な姿が見事に調和し、しっとりとした風情が感じられます。またこの庭には、手水に使われた水のしずくが瓶に反響して心地よい音を奏でる「水琴窟」があります。その音は風鈴の音色のように聞こえるため、柳風鈴と呼ばれており、訪れる人の心を楽しませています。

この記事に関するお問い合わせ先

小野市立好古館
〒675-1375 兵庫県小野市西本町477番地
電話番号:0794-63-3390
ファックス:0794-63-3462

メールフォームによるお問い合わせ