小野翠光園(おのすいこうえん)


絵はがき「小野翠光園」(左)と現在の「小野翠光園」跡地(右)
 

暑い季節には、涼しげな情景をご覧いただきましょう。
今回の絵はがきは、現在の市役所付近、大池にあったと言われる「翠光園」です。大池北側の弁天さん付近にあり、池の上に浮かぶ形でしつらえた座敷に、橋を渡って行けるしくみでした。『播州鉄道沿線百景』(大正4年発行)では、「小野の大池」に「<前略>盛夏の候(こう)或(あるい)は舟を浮かべ或は池畔の旗亭(きてい)に涼(りょう)を納(い)れる者(もの)多く、舟中の絃歌(げんか)、楼上の嬌声(きょうせい)に和(わ)して漫(そぞろ)に水郷の美を偲(しの)ばしめる」と、「納涼台」と題した写真と合わせて紹介しています。暑い夏に舟を浮かべ、大池傍の料理屋で涼む人が多く、舟からは三味線や歌声などが聞こえていたのでしょう。夜には提灯の灯りがともり、大池南側の繁華街とともに、ひときわ賑やかな夏の風物詩だったことがうかがえます。