~教科書で見る郷土・小野~


「東播郷土史概説」(左)と「東播の地理」(右)
 

教科書シリーズもいよいよ最終章。
前回までは、江戸時代から明治、大正、昭和戦前・戦後の教科書を紹介しました。
今回は小野が題材の教科書です。昭和初期、郷土に対する教育が脚光を浴びたため、地元の歴史・地理を記した教科書が出ました。小野中学校(現在の県立小野高校)の『東播郷土史概説』(昭和11年)や『東播の地理』(昭和14年)です。『東播郷土史概説』は、東播全域にわたる古代から明治時代初期までの歴史を網羅し、源義経・赤松氏等にまつわる伝説や「重源上人と浄土寺」【写真】等の地元ネタが多く載っています。『東播の地理』は当時の統計や生徒の調査内容を集録し、教諭が刊行したもので、今はなき「小野無電受信所」が載っているのも珍しいです。兵庫県では、昭和5年を皮切りに郷土読本が10冊以上刊行されました。小野にも、昭和14年に小野小学校が作った『小野郷土読本』があります。内容は「私達の学校」や「小野と一柳家」から始まり「兵庫県」で終わります。小野から兵庫県全体へ、話題が広がっていくのです。昔から、「自分の故郷を知ることで郷土への愛着や自信が生まれる」という教育がされていたことの証ですね。