まことさん はなこさんによるかなのおけいこ         ~文部省著作教科書~


表紙(左)と内容(右)
 

昭和22年(1947)、国民学校は小学校、中学校となり、6.3制が発足しました。新しい学校制度とともに、新時代の要求に応えるため、「話す」「聞く」「読む」「書く」に主眼をおいた戦後最初の国語教科書ができました。これを、【文部省著作教科書】と呼んでいます。昭和24年には、「まことさん はなこさん」等3冊が発行されました。新しく始まる教科書の検定制度のため、民間で出版される新しい国語教科書のモデルとして、GHQ(占領下の日本を統括する連合軍総司令部)の提案により文部省が作成したものです。好古館にあるのは、『まことさん はなこさんによる かなのおけいこ』です。小学1年生用で、話す、書くことに重点をおいています。まず絵を見て話し合いをし、児童たちに言葉を把握させた後、書き方に移ります。戦前とは違い、カタカナより先にひらがなを学ばせるため、例えば「まことさん」という字の点線をなぞらせ何度も書かせるようになっています。挿絵には色も塗れます。これらは、石森延男(いしもりのぶお)(1897~1987、北海道出身の童謡作詞家)らを中心に編集されました。国語入門教科書として、その後の検定教科書への影響は大きかったことでしょう。