足袋(たび)をはく


足袋(左)と一文銭(右)
 

着物には足袋(たび)がつきものですが、昔から足袋はあったのでしょうか?その足袋の原型は【襪(しとうず)】ではないかと考えられています。この【襪】とは、今でいう靴下で、指の股がなく、付け紐を足首に結んで履きました。絹や麻で作られ、奈良時代から高貴な人々が靴ずれ防止に使っていたらしいのです。では、名前の「タビ」はどこからなのでしょうか?語源にはさまざまな考えがあるようですが、武将が使っていた【単皮(たんび)】(はき物の底が1枚皮で作られている意)が、略されて「タビ」になったといわれています。儀式の正装や日常で、武士は裸足でした。【単皮】を履くのは、もっぱら戦の時であり、ほかに高齢者・病人などが履くことを許されていました。足袋の指先が割れたのは室町時代。革製から布製に変わったのは江戸時代、1657(明歴3)年以後のことです。歴史上有名な大火災・「明暦の大火(めいれきのたいか)(振袖火事(ふりそでかじ))」が起こり、皮革が値上がりしたため、安くて暖かい木綿製の足袋が防寒用の必需品として一気に広まったというわけ。ちなみに、足袋のサイズを昔は何文(もん)と言っていましたが、これは江戸時代の一文銭の直径を単位としていたからです。一文銭は約2.4センチなので、24センチの足のサイズだと、十文、つまり一文銭を10個並べた長さと同じになります。