帯をしめる


めでたい鶴が描かれた帯
 

昔から、浴衣や着物の前がはだけないように帯をしめます。帯が登場するのは、小袖が普及した近世(今から約400年前)からのことです。それまでは、帯は細く、帯の両端を前で結ぶ程度でした。江戸時代中ごろ、帯の幅が広く、長くなり、結び方にも様々な形が現れました。今や定番になっている「お太鼓結び」は、文化年間(1804~18)に亀戸天神の太鼓橋(半円形に沿っている橋)の再建を機に流行したといわれ、これから帯締め【丸ぐけ】も使われはじめました。ちなみに、今は結びの位置は後ろ(背中)ですが、むかしは若い女性(未婚者)は後帯、年配者(既婚者)は前帯と、区別されていました。また、帯は結ぶものであることから、人と人を結びつける呪術的なものとしても扱われていました。古代には女性が糸を紡いで染め、織って帯を作り、夫となる人に贈る習慣があったとか。ロマンチックな話ですね。一方、妊娠5か月で腹帯をつける祝い「帯祝い」、3歳の幼児が着物の付け紐から初めて帯を締める儀式「帯結び(七五三)」は、現在も行なわれています。人と帯の関係は、思った以上に深いですね。