涼をまとう浴衣(ゆかた)


大正時代の浴衣(左)と銭湯で敷物や着物を包んでいた「風呂敷」(右)
 

夏らしい風流な着物と言えば、「浴衣」ですね。浴衣とは、その昔、「湯帷子(ゆかたびら)」と呼ばれていました。もともと帷子(かたびら)とは、麻で作られた白無地の単衣(ひとえ)で、平安時代(約千年前)以来、高貴な人たちが宮中の正装である束帯(そくたい)の下着として着用していました。中でも、風呂(当時は蒸し風呂)に入る時に着たのを【湯帷子(ゆかたびら)】と呼んだとか。桃山時代(約450年前)以降、夏になると盆踊りが盛んに行なわれ、その時の祭礼着物として使用されたのが踊り浴衣でした。江戸時代中ごろ、木綿が広く普及するとともに、銭湯を利用することで、浴衣は庶民の間で夏の着物として大衆化していき、現在まで根強い人気となっています。ちなみに、昔から浴衣には昼用には白地、夕方から夜は紺地が多いのはなぜでしょう?実は、白色は涼しく見えるため、紺色は染料「藍」の香りを虫が嫌うためだとか。暑い夏を快適に過ごす工夫がなされているんですね。