鎧(よろい)の下に着る服

 

先月に引続き、五月人形つながりで鎧兜にまつわる小話をひとつ・・・。
鎧兜は、強くて逞しい武者姿ですが、鎧の下には「鎧直垂(よろいひたたれ)」とよばれる衣装を身につけていました。「直垂」は、もともと庶民の日常(仕事)着でしたが、平安時代末(今から約千年前)に平清盛・源義経といった武家が台頭してくると同時に、武士も好んで着るようになりました。そのため、鎧下としてやや小形に仕立て、動きやすいように上衣の袖口と袴の裾口はくく括りお緒で括りました。しかし、利便性追求だけではなく、そこは見せる衣装としての役割もあったのです。戦陣での武将の晴姿を飾るため、綾(あや)や錦(にしき)などの高級な生地に多様な文様を施し、贅(ぜい)を尽くしたとか。 戦国時代、鎧が【大鎧(おおよろい)】から【当世具足(とうせいぐそく)】に変わると、体を防御する上でたくさんの小具足(こぐそく)(篭手(こて)・脛当(すねあて)など)をつけるため、見せる衣装「直垂」が見えなくなりました。そこで、具足の上から着る【陣羽織(じんばおり)】(袖なしの上着)が新たに流行し、鎧兜にも趣向を凝らすようになり、次第に見せる「直垂」は地味になっていきました。ちなみに、好古館体験用の鎧下着は忍者っぽいです!