雛人形の衣装~十二単(じゅうにひとえ)~

 

雛祭りといえば、今は3月3日で「桃の節句」とも呼んでいますが、昔は旧暦の3月3日(今の暦より約1か月遅い)に行なっていました。好古館でも2月上旬から1か月遅れの4月3日まで雛人形を飾ります。金屏風の前に座るお内裏様とお雛様が主役ですが、このお雛様の衣装を【十二単】と呼んでいます。実は、好古館ではその雛祭りに合わせて『十二単の着付』を毎年開催しています。着られた方の感想は「きれい」「かわいい」や、「重い」「暑い」とよく言われます。好古館で着用している【十二単】は、正確には「女房装束(にょうぼうしょうぞく)」(宮中に勤める位の高い女性の制服)といいます。十二単という名前を聞くと、よく「12枚着るの?」と質問されます。略式なので襟元だけ数枚重ねて実際に着るのは半分の枚数でした(重さは約10㎏)。ところが、今年1月から登場した新しい十二単は12枚の着物を重ねて着ます。重ね衿のついた衣装1枚が「五衣(いつつぎぬ)と呼ばれて、5枚きているように見える仕掛けだったのですが、本当に5枚着るのです。時には衣服を12枚以上着ていたこともあったのですから、昔の女性は、長髪のうえ、たくさんの着物を着込んで大変だったことでしょうね。