○小野市環境基本条例

平成20年12月25日

条例第31号

私たちの小野市は、県下最大の流域をもつ一級河川加古川が流れ、その左岸には河岸段丘が発達し、なだらかな丘陵地で形成された、緑豊かな地域として、快適で豊かな生活基盤を築いてきた。

自然豊かな環境は、自然を構成する様々な要素が地球という枠の中で密接に関わりあい、微妙な均衡の中に保たれている。しかし、近年の経済の発展と急激な都市化の進展は、資源やエネルギーを多量に消費し、環境への負荷を増大させ、これが地域、国を超え、地球的規模で深刻さを増し、地球全体の生物の生存を脅かすようになっている。

もとより、私たちは、快適で豊かな環境を享受する権利と、その環境を将来の世代に引き継いでいく責務を有している。

私たち一人ひとりが、これまでの生活を省み、その生活様式を見直していくことにより、地球全体の持続的発展が可能な社会を構築し、将来の世代に対して誇りうる環境をつくりあげていかなければならない。

ここに、私たち自ら、積極的に環境保全活動に取り組み、快適な環境の形成の実現を目指して、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境保全についての基本理念を定め、小野市(以下「市」という。)、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来において市民の健康で安全安心な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で安全安心な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境保全上の支障のうち、事業活動その他人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生活環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、市民が健康で安全安心な生活を営むことができる生活環境及び自然環境を維持し、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。

2 環境の保全は、人と自然とが共生することができ、かつ、環境への負荷の少ない循環を基調とした持続的で発展することができる社会を構築することを目的として、市、事業者及び市民がそれぞれの責務に応じた役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 地球環境の保全は、人類共通の課題であり、市民の健康で安全安心な生活を将来にわたって確保する上で重要であることから、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める環境保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境保全に関する総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。

2 市は、環境への影響に関する施策を策定し、及び実施するには、環境の保全を優先し、環境への負荷の低減その他必要な措置を講ずる責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び廃棄物を適正に処理し、並びに自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、その事業活動を行うに当たって、生産される製品その他のものが廃棄物になった場合にその適正な処理が図られるように、必要な措置を講ずるとともに、環境負荷の低減に資するように努めなければならない。

3 事業者は、地域における環境保全に自ら努めるとともに、市が実施する施策に積極的に参加し、協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、その日常の生活に伴う環境への負荷の低減及び快適な環境の形成に資する行動に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、環境保全に自ら努めるとともに、市が実施する施策に積極的に参加し、協力する責務を有する。

(基本方針)

第7条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づいて、環境保全に関する施策を策定し、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより、人の健康を保護し、生活環境を保全し、及び快適な都市環境の確保を図ること。

(2) 人と自然が共生する豊かな生態系を維持するため、河川、山林等の自然環境の保全を図ること。

(3) 廃棄物の減量並びに資源及びエネルギーの有効利用を推進することにより、環境への負荷が少ない生活及び事業活動への転換を図ること。

(4) 豊かな地球環境が、将来にわたって健全な状態に保たれるよう、すべての主体が自主的かつ積極的な取組を図ること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、小野市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定する。

2 前項の環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する長期的目標及び総合的施策の展開

(2) 前号に定めるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見が反映されるように必要な措置を講ずるとともに、第24条に規定する小野市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合)

第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図り、環境保全に配慮しなければならない。

(環境に関する報告)

第10条 市長は、市域の環境の現状及び環境保全に関して講じた施策の状況等について定期的に報告書を作成し、これを公表するものとする。

(規制の措置等)

第11条 市は、公害の原因となる行為及び自然環境の保全に支障となる行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 市は、環境の保全を図るため必要があると認めるときは、市民等に指導又は助言をすることができる。

(経済的措置等)

第12条 市は、市民又は事業者が、公害防止のための施設や省エネルギーに資する設備の整備その他環境への負荷の低減のための適切な措置をとることを促すとともに、特に必要あるときは、適正な経済的な助成措置を講ずるものとする。

(環境影響評価の推進)

第13条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする事業者が、あらかじめその事業に伴う環境への影響について、自ら調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境保全に資する公共的施設の整備等)

第14条 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備に当たっては、その計画的配置に努め、環境への負荷の低減を図り、自然環境の保全及びその健全な利用を促進することにより、良好な環境の形成に資するよう必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的な利用等の推進)

第15条 市は、持続的発展が可能な社会の実現のため、市民及び事業者自らが、社会経済活動や生活様式を見直し、資源及びエネルギーの消費抑制、資源の循環的な利用並びに廃棄物の減量化が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(自然環境の保全)

第16条 市は、人と自然との豊かな触れ合いが保たれるよう、森林、農地、河川、ため池等における多様な自然環境の適正な保全に努めるものとする。

(環境教育及び環境学習の振興)

第17条 市は、市民、事業者及び民間団体(以下「市民等」という。)が環境の保全について理解と認識を深めるとともに、これらの者の環境の保全に配慮した生活又は行動を行う意欲が増進されるように、環境の保全に関する教育及び学習の振興その他必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の意見の反映及び参画等)

第18条 市は、環境の保全に関する施策に、市民等の意見を反映させることができるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境の保全に関する施策を策定し、実施するに当たり、その施策を効果的に推進するため、市民等の参画が得られるように努めるものとする。

3 市は、市民等による環境の保全に関する自主的な活動が促進されるように、支援その他の必要な措置を講ずるものとする。

(情報の収集及び提供)

第19条 市は、環境の保全に資するため、市における環境資源の状況、環境の保全に向けた取組の現状や成果その他関連する情報の収集に努めるものとする。

2 市は、第17条の教育及び学習の振興並びに前条第3項の市民等の活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(調査研究、監視等)

第20条 市は、環境の保全に関する事項について必要な調査研究に努めるとともに、環境の状況を的確に把握するため、必要な監視、測定、検査等の体制の整備に努めるものとする。

2 市は、特に人の健康を損なうおそれがある物質等について、調査研究、監視その他の必要な措置に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第21条 市は、市民等と連携、協力して、環境の保全に関する施策を積極的に推進するための体制を整備するものとする。

(地球環境保全の推進)

第22条 市は、地球環境保全に資するため、地球の温暖化防止、オゾン層の保護等の施策を推進するものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第23条 市は、環境の保全を図るための広域的な取組を必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(環境審議会)

第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき小野市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関する事項

(2) 環境の保全に関する基本的事項

(3) その他環境の保全に関し、市長が必要と認める事項

3 審議会は、委員16人以内をもって組織する。

4 委員は、環境の保全に関し識見を有する者のうちから市長が委嘱する。

5 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(小野市環境保全対策審議会条例の廃止)

2 小野市環境保全対策審議会条例(昭和47年小野市条例第17号。次項において「旧審議会条例」という。)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行前に旧審議会条例の規定に基づく小野市環境保全対策審議会(以下「旧審議会」という。)の委員に委嘱されていた委員は、この条例の施行日に新たに第24条第4項の規定により審議会の委員に委嘱された者とみなし、同条第5項に規定する任期は旧審議会において委嘱された日から起算するものとする。

(小野市民の良好な環境を保全する条例の一部改正)

4 小野市民の良好な環境を保全する条例(昭和48年小野市条例第22号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

5 委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和35年小野市条例第23号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

小野市環境基本条例

平成20年12月25日 条例第31号

(平成20年12月25日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成20年12月25日 条例第31号