○小野市いじめ等防止条例
平成19年12月21日
条例第33号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 責務及び役割(第4条―第9条)
第3章 基本的施策(第10条―第16条)
第4章 雑則(第17条)
附則
すべて人は、かけがえのないひとりの人間として互いに尊重されなければなりません。小野市では、市民憲章や差別を許さない明るい都市宣言の下、あらゆる人権課題の解決に向け、積極的な施策を展開しています。しかし今日、物質的には豊かな生活の中で、心の荒廃やいじめ等の問題が家庭、学校、企業、地域社会などあらゆる生活環境において、憂慮される事態となっています。
いじめ等は、基本的人権を脅かす行為です。この問題の背景には、家庭、学校、企業、地域社会などのそれぞれの要因が複雑に絡み合った根深いものがあり、根本的な問題解決のためにはこれらすべての関係者の協力が不可欠です。
小野市では、いじめこそあらゆる人権侵害の根源であると捉え、学校におけるいじめだけではなく、家庭、企業、地域社会などでの虐待、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメントなどの問題を解決することが、人権侵害そのものの解決につながるとの認識から、いじめ等を絶対に許さないという断固たる姿勢で、すべての市民の総意の下、その防止に取り組みます。
ここに私たちは、いじめ等のない明るく住みよい社会づくりを目指し、市民が様々な地域活動の中で築いてきた活力や学校における充実した教育力を基盤に、それらの力を結集していじめ等を防止するため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、いじめ等の防止に関する基本理念を定め、市、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、家庭及び地域社会の責務並びに役割を明らかにするとともに、市の基本となる施策及びその推進体制の整備等に総合的かつ計画的に取り組むことにより、いじめ等のない明るく住みよい社会を実現することを目的とする。
(1) いじめ等 言葉、文書(電子媒体を含む。)、暴力等による心理的及び物理的な攻撃、無視、差別的な扱い等による精神的な苦痛を与えるもの並びに児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)及び配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)に規定する虐待、暴力等をいう。
(2) 市民 市内に住所又は生活若しくは活動の拠点を置く者及び一時的に市内に滞在する者をいう。
(3) 関係機関 警察署、児童相談所、配偶者暴力相談支援センター及び健康福祉事務所等の相談協力機関をいう。
(基本理念)
第3条 すべての市民は、何人に対しても、いじめ等をしてはならない。
2 いじめ等の防止の推進は、基本的な人権を侵害する行為を許さない明るく住みよい社会が構築されることを旨として、行われなければならない。
3 いじめ等のない明るく住みよい社会の実現に当たっては、市、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、家庭及び地域社会の構成員がそれぞれの責務及び役割を自覚し、主体的かつ相互に連携及び協力して活動を展開しなければならない。
第2章 責務及び役割
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、家庭及び地域社会と連携するとともに協力して、いじめ等の防止に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、いじめ等に関する通告、通報、相談等を受けた場合には、必要に応じて関係機関と連携し、問題の解決に当たらなければならない。
3 市は、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、家庭及び地域社会におけるいじめ等の防止活動について必要な支援を行うとともに、活動の促進を図るための調整に努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 すべての市民は、基本理念にのっとり、市、学校、社会福祉施設、企業、公的機関及び地域社会が実施するいじめ等の防止に向けた事業、活動等に積極的に協力しなければならない。
2 すべての市民は、いじめ等を発見した場合又は知った場合は、速やかに市、学校又は関係機関に情報を提供しなければならない。ただし、法律に定めのある虐待、暴力等にあっては、関係法令に基づき通告し、又は通報しなければならない。
(学校及び社会福祉施設の責務)
第6条 学校及び社会福祉施設は、いじめ等の防止に向け、日常の取組、個別の対応等により、互いの権利を尊重することを推進する活動に努めなければならない。
2 学校及び社会福祉施設において、いじめ等を把握した場合は、その解決に向け速やかに対策を講ずるとともに、市に報告しなければならない。学校及び社会福祉施設だけで対応できない事案にあっては、市と相互に連携し、事案の早期解決に向けた措置を講じなければならない。また、法律に定めのある虐待、暴力等にあっては、関係法令に基づき通告し、又は通報しなければならない。
3 学校及び社会福祉施設は、市、地域社会等が実施するいじめ等の防止に向けた活動に積極的に協力しなければならない。
(企業及び公的機関の責務)
第7条 企業及び公的機関は、事業活動等を通じて地域社会に貢献すべき社会的使命を有していることを認識し、経営者、管理者、従業員及び職員が相互に連携するとともに協力して、いじめ等のない職場づくりに努めなければならない。
2 企業及び公的機関は、職場内でいじめ等を把握した場合には、速やかにいじめ等の解決に向けた対策を講じなければならない。
3 企業及び公的機関は、市、学校、社会福祉施設及び地域社会が実施するいじめ等の防止に向けた活動に協力しなければならない。
(家庭の役割)
第8条 父母その他の保護者は、子どもの豊かな人間性を育むために、基本的な生活習慣、社会の決まり等を身に付けさせる役割を果たさなければならない。
2 家族は、明るい家庭づくりのために、いじめ等を正しく認識するとともに、家庭内における意思の疎通を図り、お互いを認め合ってよりよい人間関係を築くようにしなければならない。
(地域社会の役割)
第9条 地域社会の構成員は、様々な地域活動で得た人と人とのつながりを活かし、相互に助け合い協力して、いじめ等の防止に向けた活動への役割を果たすとともに、市、学校又は関係機関への情報の提供に努めなければならない。
2 地域社会の構成員は、様々な地域活動の中で、いじめ等のない明るく住みよい社会づくりに寄与するよう努めなければならない。
第3章 基本的施策
(計画の策定)
第10条 市は、基本理念にのっとり、いじめ等のない明るく住みよい社会の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、当該施策に関する行動計画(以下「行動計画」という。)を策定するものとする。
2 前項に規定する行動計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) いじめ等の防止に向けた教育や人づくりに関すること。
(2) いじめ等の防止に対する意識の高揚を図るための啓発活動に関すること。
(3) 家庭、学校、社会福祉施設、企業、公的機関及び地域社会におけるいじめ等の防止活動への支援等に関すること。
(4) いじめ等のない地域づくりを推進する人材育成に関すること。
(5) いじめ等の防止及び解決に向けた関係機関との連携の強化に関すること。
(6) 前各号に掲げるもののほか、いじめ等のない明るく住みよい社会を実現するために必要なこと。
3 市は、行動計画を策定及び実施するに当たり、あらかじめ第15条に規定するいじめ等防止市民会議の委員や市民の意見を聴くとともに、その意見を施策に反映させるものとする。
4 第1項の規定により、行動計画を策定したときは、市はこれを公表するものとする。
(いじめ等の相談窓口の設置)
第11条 市は、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関及び地域社会からのいじめ等の相談に応じるため、相談窓口を設置する。
(啓発活動)
第12条 市は、いじめ等の防止に関する意識の高揚と普及啓発を図るために市民運動、教育活動等を展開し、あらゆる機会をとらえて啓発活動を推進するものとする。
(関係機関との連携)
第13条 市は、いじめ等の防止及び解決に向け、情報の共有と迅速な対応を図るため、関係機関との連携ネットワークの強化に努める。
(推進体制の整備)
第14条 市長は、いじめ等の防止に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、必要な推進体制の整備を図るものとする。
(いじめ等防止市民会議の設置)
第15条 市長は、いじめ等のない社会づくりを推進するため、いじめ等防止市民会議(以下「市民会議」という。)を設置する。
2 前項に規定する市民会議は、次に掲げることを行う。
(1) この条例に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項について、意見を述べること。
(2) 行動計画の策定及びその実施に対して、市民の意思を反映した意見を述べること。
(個人情報に対する取扱い)
第16条 市は、この条例の施行に当たっては、知り得た個人情報の保護及び取扱いに万全を期するものとし、当該個人情報を業務の遂行以外に用いてはならない。
2 いじめ等に関する通告、通報、相談等に関係した者は、正当な理由なく、その際に知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。
第4章 雑則
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。