A:平成17年3月20日にオープンしたうるおい交流館は、市民の方々の様々な意見を踏まえながら、今の小野市に必要な施設として、市民活動の拠点(場所)の創出を目指したものです。施設は、市民活動の拠点施設に必要な機能として、各種の会議室、打合せやワークスペースとしてのサークル室、音楽の練習やダンス等に使える防音機能を備えたスタジオ、交流の場でありますハートフルサロン、また、要望の多かった500人規模のホールを取り込んだ施設となっています。そして、今後ここでの様々な活動や交流の中から、まちづくりや地域を担える人やグループが育つことを期待しています。
小野市の地域経営を考えていくとき、これまでは、行政が政策展開を考え、住民の要望を受けながら公共サービスを提供するという時代でしたが、地域社会を取り巻く環境は大きく変化し、今、地方自治体は大きな曲がり角にきていると考えています。地域住民の価値観も多様化しているなかで、行政には、その効率性、効果性、そして成果が求められていますし、それらは行政の大きな責任だと考えています。そのため、従来の考え方や手法を大きく組み替え、経営という観点から住民や民間事業者の手法を導入し、住民を中心とした多様な担い手による地域経営が必要だと考えています。
さて、NPOへ委託した経緯(選択のし方)ですが、うるおい交流館は、市民活動の活性化と協働の拠点として設置するにあたり、従来の市の施設のように市の職員が管理運営するのではなく、地域の住民や団体等が自らその自主性により管理運営するほうが、施設目的の達成に効果があるとの判断を行いました。そのような中、地域で行われている様々な市民活動に対して中間支援団体となり、活動を啓発、支援しようとする団体が誕生しました。「NPO法人北播磨市民活動支援センター」については、市はその設立、活動を支援すると同時に、このうるおい交流館エクラの管理運営を全て託す決定を行いました。また、NPO法人北播磨市民活動支援センターをうるおい交流館の管理者にすることは、議会の議決によって決定をしていただきました。
委託の範囲についてですが、指定管理者(制度)として管理運営を委ねており、これは施設の管理運営にかかる全てを任せるものです。具体的に例をあげますと、建物、設備、駐車場、物品等の維持管理、貸館業務として予約の受付から利用の許可、利用料金の収受まで、交流館で行う事業の計画・実施などです。これに対し、市民会館や公民館の管理運営は市が直接行っています。なお、公民館はこの平成17年4月からコミュニティセンターおのとして生まれ変わりましたが、今後、他のコミュニティセンターも含め、地域やNPOが管理するなど、新たな運営方法の検討をはじめています。
次に、委託料ですが、エクラを管理運営していくためには、管理運営にかかる人件費、電気・水道・下水道・ガスといった光熱水費、消防設備や自動ドアからホールの照明・音響・吊りものに至るまで様々な設備の保守管理経費、外の植栽管理、清掃経費、施設に使う消耗品など大きな費用が必要となります。光熱水費等は施設がどの程度の利用をされるかにも大きく影響するところですが、17年度の管理委託料として総額で1億1千万円を予定しています。
うるおい交流館の管理運営において、より効率的効果的な運営を目指し、「いかに良いものを安く買うか」「いかに低コストで高サービスを提供するか」の思いは、市も指定管理者であるNPO法人も同じです。指定管理者制度は、NPO法人や株式会社、地元協議会等を対象とする制度で、行政のルールをそのまま適応するわけにもいきませんが、市の購入方法や物品の単価契約等活用できるものは活用し、市に準じた形で、競争性、公平性を確保し効率化を目指しています。
指定管理者NPO法人北播磨市民活動支援センターは、指定管理者として独自の判断により効率的な運用ができるように市当局から権限と責任を委ねられたわけですが、公的な施設の管理運営という業務の性格を鑑み、物品購入や業者の選定に関しては、市当局に準じた手法で行っています。たとえば消耗品等の購入は、小野市が行っている単価契約に基づき、小野市が購入している業者から小野市と同一の価格で購入しています。さらに、5万円以上の物品もしくはサービスを購入する際には、3社以上からの見積もりを取り、最低価格を提示した業者から購入しています。一部の委託業務に関しては、業者と金額の決定そのものを市当局が代行したケースもあります。周辺の花の植栽や管理などはボランティアの方々の手によって管理をしていただいています。また、同法人は、現在主に北播磨地域に在住している25名の一般市民からなる理事および評議員によって運営されていますが、運営方針や資金の執行にかかる決定は、同理事・評議員からなる理事会(もしくは理事・評議員会)で決定ないし承認を受けることになっています。
次に、NPO有給職員の人件費ですが、同法人の職員は、若干の正職員と契約職員・パートタイマーで構成されており、それぞれの雇用形態に応じて、地域の相場や他のNPO法人の状況を勘案し、理事会にて決定しています。
税金を利用して運営されていく指定管理者制度ですので、できるだけコストを下げ効率のよい運営ができるように同法人も努力しています。
次に、NPOに委託したメリット、デメリットですが、デメリットは、行政が直接管理運営をするのに比較して市の思いや考えが直接反映されにくい点や議会や監査の直接チェックということからは少し遠のくことなどが考えられます。逆にメリットとしては、施設の管理運営がより効率・効果的な運営ができるということです。例えば、開館時間は現在22時までとし、なかでもスタジオの利用は24時までとしています。このように、市民の皆さんのニーズを踏まえた、よりフレキシブル且つスピーディな対応や運営が可能となりました。また、人のネットワークを生かした運営(各種ボランティアや出演団体等)も始まっていますし、多くの方からの斬新で多様な発想による多くの事業の企画や実施が既に行われています。そして、特に重要に考えていますことは、それらが行政とNPOひいては地域の方々との役割分担と協働により進んでいっている点であり、新しいシステムへのチャレンジを共に行っている点です。評価は、現時点では前記しました様な取組みが始まったことを評価していますが、本当の評価は、今後、1年後、数年後に市民の皆さんがどう評価されるかであろうかと思っています。
最後に、市の各施設の運営形態についてですが、現在は、市民会館のように市が直接管理運営しているものと、公園管理やアルゴ、アクトなど財団法人都市施設管理協会へ委託し管理しているもの、ユピカやこのエクラの様に指定管理者を指定して行っているものがあります。公共施設の管理に関しての法律の改正もあり、指定管理者制度への移行の中で、施設の管理運営のあり方をどうするかの検討を進めているところであり、今後うるおい交流館エクラと同じように民間、地域、NPOなどが指定管理者として運営に携われることも近いうちに訪れるものと期待しているところです。
うるおい交流館は、住民と行政の協働(パートナーシップ)の位置付けでスタートし、NPOや各種グループの新しい公共を担う活動が動き始めたところです。どうぞ、ご理解を賜り、ご支援をいただければ幸いです。